2021年3月

奥野 恭代

柏原伝統産業「注染」の現状と繁栄への可能性

 注染の技法は、明治20年頃に大阪で開発された技術であり、浴衣や手ぬぐいの大量生産を可能にした。その技術を持つ工場は戦後、大阪市内から柏原と堺に分かれて移転し...

合田 陽一

清澄白河のアライズコーヒーはなぜ人を惹きつけるのか?

① はじめに 2015年の正月、東京の清澄白河にあるコーヒースタンド併設の焙煎所、アライズコーヒーに初めて足を踏み入れた。毎年恒例の深川七福神巡りを参拝中、交...

ライト 文子

篠原風鈴本舗「江戸風鈴」 ―変化する風鈴の在り方―

1.はじめに  江戸風鈴とは、江戸時代から伝わる技法を受け継いで作られるガラス風鈴である。空中でガラスをふくらます宙吹き[1]で形を作り、内側から絵付けをするのが...

津下 陽子

デジタル時代の美術館―アーティゾン美術館の挑戦―

1 事例について評価しようとしている点 インターネット、スマートフォンやタブレット、それに付随するサービスや娯楽の出現により、現代の人々、特に若者のマインドと...

五味 稔康

大田区の地域情報誌『月刊おとなりさん』は何故長年愛読されてきたのか?

はじめに 大田区は、多摩川を越えて東京に入る南端の入口にあたる。中核となる大森・蒲田の商業地、東京湾に拡張する羽田空港、散在する町工場、中央に池上本門寺、馬込...

諏訪 瑞枝

鹿児島ジャズフェスティバルに期待されるイベントの変容について

はじめに    鹿児島ジャズフェスティバル(以下「KJF」)は、2017年に一人の若手ジャズピアニスト・松本圭使氏が始めたイベントである。 鹿児島を愛し、鹿児島...

田代 佳津子

横浜市大倉山記念館 ~施主と建築家の思いがこめられた歴史的建造物の存在価値~

1.はじめに  横浜市北東内陸部に位置する港北区は、人口が市内一多く東京のベッドタウンである〔1〕。港北区の小高い丘に自然豊かな大倉山公園とレトロな西洋建築、横...

阿部 直樹

岡崎市が生んだ「味噌六太鼓」

1:はじめに  「味噌六太鼓」(図1)とは、岡崎市で製造される「八丁味噌」を仕込む木桶を用いて作られた大太鼓(桶胴太鼓)(図4-1)である。桶胴に用いられる古材は...

岡田 昌之

「あじき路地」の景観とコミュニティが育む、暮らしを温かくするものづくり

はじめに  京都には多くの路地がある。中でも庶民の生活空間である町家長屋の路地には、昔ながらの景観とコミュニティが存在する。五条坂の北、花街宮川町のほど近くに...

野嵜 辰己

血縁によらない絆の継承 ~山形県鶴岡市のケヤキキョウダイ~

1.はじめに  山形県の西部、鶴岡市大岩川地区(以下「浜中集落」という)[写真1]には、12歳、13歳になった女児が、くじ引きによって義姉妹の組み合わせを決め、生...