馬場大門のケヤキ並木    ~並木の景観を街の未来として次世代に継承するために~

鳥海 浩子

はじめに
馬場大門のケヤキ並木(以下、馬場大門)はさまざまな顔を持っている。神社の参道、公道の街路樹、そして国指定天然記念物だ。街のシンボルである馬場大門の景観を活かし維持するためには、欅の保護は不可欠である。馬場大門は文化財と街路樹の両方を踏まえた保護・保全が必要とされる。馬場大門の景観を次世代へ最良の状態で継承するため市の保護管理対策と現状から、今後の課題と展望を考察する。

1.基本データ【資料1参照】
東京都府中市(1)に位置する馬場大門は大國魂神社(2)の大鳥居から北へ600メートルほどに欅が植えられ、緑のトンネルをつくっている。神社の参道であり、その両側は馬場であった。例大祭「くらやみ祭」(3)の行事の一つ競馬式において馬を走らせることから、「馬場大門」の名がついたと言われる。1924年、国指定天然記念物(4)となる。ケヤキ並木としては国内唯一の国指定天然記念物として「文化財保護法」によって保護されている。

2.並木の成り立ち
2-1 歴史的背景【資料1参照】(5)
前九年の役(1051∼1062年)での源頼義・義家父子奥州征伐の祈願成就による、欅の苗木1000本の奉樹が起源とされる。また徳川家康が大坂夏の陣(1615年)の後、馬場の寄進とケヤキを補植し、江戸後期には現在に近い並木となる。明治維新の社会改革の中、境内区域法の改正から馬場大門は境内から外され公道となる。街の交通機関の発達により、甲州街道を挟む南北の景観に違いが見られるようになる。

2-2 街路樹の現状【資料2参照】
馬場大門は植樹された時期が古く、一列に整然と配置された並木ではなくランダムに植えられた自然な姿を残している。本来街路樹は人が作り出した人工的な景観であり、都市の中の緑陰効果や道路における安全性を担う。天然記念物であり街路樹でもある馬場大門は、道路の安全管理を優先としながら文化財としての欅の保護が求められる。古木は枯死により生育の見込みがない場合のみ伐採される。歴史ある馬場大門の欅は減少の一途をたどっており、文化財として保護だけでなく更新や再生への対策が検討されている。天然記念物指定後に植樹された欅(ほとんどは50年以上経過)は指定外であるが、並木の景観の一部として市の保護対策(6)には含まれる。

3. 評価点
3-1 「参道」としての並木
馬場大門は四季折々の風景を楽しませてくれる市民の身近な公道であるが、元は由緒ある大國魂神社の参道であった。年末年始は参拝を待つ初詣客が並木に長い列を作る。この時期は葉が落ち、欅の樹冠の美しさを堪能できる。2023年、コロナ禍で中止となっていた神社の祭りが4年ぶりに再開された。特に例大祭「くらやみ祭」において、大太鼓や神輿の通る馬場大門は欠かせない存在だ。祭りの期間は歩行者専用道路となり、太鼓や囃子の音や子供神輿の声が一日中響き渡る。変化する街において、馬場大門の景観は時間が経過しても変わらない安心感を与えてくれる。

3-2 人と「共存」してきた並木
かつて府中は人や物の行き交うにぎやかな宿場町であり、旧甲州街道がメインストリートであった。しかし公共交通機関(7)の発達により、馬場大門を介した交通路の利便性が上がっていった。甲武鉄道(中央線)の開通に伴い、府中駅までの交通路を確保するため並木の北側はバス通りとなり、国分寺街道へと繋がった。このことから馬場大門の景観は、南側は参道の姿を残した公道、北側は交通路の印象が強い公道へと変化していった。街が発展し府中駅前南口再開発が進むと、昔ながらの商店街や路地は失われ、歴史ある建築物は府中郷土の森博物館(8)へ移築された。現在も街に残る馬場大門は、街と人を見守り続けている。

3-3 並木の景観を保護し継承するための活動【資料3・取材記録参照】
市は馬場大門を「個性を表象する景観資源であり、中心市街地の軸となり快適な空間を提供している。」(9)とする。景観資源を保護・保全するため、市は様々な取り組みを進めている。街路樹は安全確保が第一である。そして一般的には、育成環境や樹木の状況に応じて伐採や植え替えが可能である。しかし天然記念物の街路樹は古木の保護が求められる。天然記念物は「日本列島が辿ってきた『自然史』としての意義を持ち学術上の価値が高く重要」(10)とされるからだ。そこで市は、限定される対処法からできうる対策の一つとして東京農業高校と連携し、育成と植樹の取り組みを進めている。この活動を教育の場に取り入れることは、馬場大門の景観保護を次世代へ周知できる機会となる(11)。

4.特筆 「感覚的共感」を抱ける緑の景観(12)【資料4参照】
同じ街路樹であっても、戦災からの復興事業として計画された仙台市の「定禅寺通のケヤキ並木」(以下、定禅寺通)(13)と構成の違いやそれによる人や街への影響を比較し、特筆点を考察する。
定禅寺通は地下鉄が最寄り駅であるため線路に分断されることなく、周辺環境も整った街路樹だ。中央に遊歩道とその両側にそれぞれ片側3車線の車道を持つ「杜の都」仙台のシンボルである。馬場大門と幅員の豊かさは共通するも、街路樹と歩道の構成が違う。緑の景観を体感できる定禅寺通と横から街路樹を眺める馬場大門では、人々に与える印象や居心地の良さに差が出る(14)。日常でもイベントにおいても、車両が視界から外れるため、人々は安心感とともに楽しめ並木を身近に感じられる。遊歩道により守られた緑の景観は都市の中の癒しとして心理的な影響を及ぼす(15)。今後、馬場大門は南側を終日歩行者専用道路へと移行予定であり、「感覚的共感」は大きく改善されるだろう。欅の排気ガスによる影響の軽減など育成環境においても、また市民の景観の体感にも効果的であり、特筆される対策である。市の迂回路を新設してまでも実施を目指すこの対策は、人と共存してきた馬場大門と向き合い、街とのあり方を見直して今後を見据えるものである。

紫牟田伸子は「その土地、その場、時代に即していかに再編集して新たな魅力ある都市に再生するかという観点でも編集力が問われます。編集は、常に与件と予見の組み合わせです。」と述べる(16)。前述した保護・保全活動や終日歩行者優先道路への移行は、馬場大門の景観を次世代へとつなげるための街の再編集と言える。

5. 今後の展望
街とともに馬場大門の景観は変化している。しかし馬場大門自体は変わらないまま役割りが増えているのだ。参道としてつくられた馬場大門は「神社」、「人」、「地域」とつながり、文化財としての「価値」が付加された。この「価値」は風土に根ざし人と共に歩んできたことを意味するが、時間の経過による風化は止められないため、人が関わり保護の対策を講じる。馬場大門と人は相互に存在しているのだ。多くの人々にこの現状と、文化財としての保護・保全活動を理解してもらうことが必要である【資料5参照】(17)。再開された神社の祭りやイベントは日常に非日常の時間を設定し見慣れた景観に意味を持たせ、その「価値」を見直す機会となる(18)。継続性のある神社の祭りは、効果的なものとなりうる。馬場大門での体験は人々の五感に伝わり、潜在的に記憶されるのだ。また週末開催される「府中ストリートテラス」の椅子とテーブルの設置や「ホテルケヤキゲート東京府中」の窓際のベンチスペースは、馬場大門の景観を日常的にも活用する取り組みである【資料6参照】。

6.まとめ
馬場大門は戦後復興の街路樹のように計画されたものではなく、古くは参道や宿場町の身近な足としてつくられた自然に近い並木である。街の歴史とともにこの景観も変わってきた。しかし今、市は景観保護を掲げ、馬場大門を将来のまちづくりの付加価値として考慮している。景観とは時間をかけてできるものであり、地域の風土と文化を育んできた既存樹を活かすことはその周辺の自然環境や生態系も変えずに済むのだ。失くしたら二度と取り戻すことはできない。次世代へ継承するためには、この「価値」が街路で生きていける環境を維持する人間にかかっている(19)。馬場大門の景観を活かす街の再編集は未来へと繋がるのだ。

  • 資料1_page-0001
  • 資料1_page-0002 資料1
  • 81191_011_32086054_1_3_%e8%b3%87%e6%96%992_page-0001 資料2
  • (差替)資料3_page-0001
  • (差替)資料3_page-0002 資料3
  • 資料4_page-0001 資料4
  • 81191_011_32086054_1_6_%e8%b3%87%e6%96%99%ef%bc%95_page-0001 資料5
  • 資料6_page-0001 資料6

参考文献

<註>
(1)東京都府中市
府中市は、東京のほぼ中央に位置する。南端に多摩川が流れ、平坦地が広がる。人口は約26万人であり、東京の中核的都市である。古代には国府が置かれ政治・文化・経済を中心に栄えた場所である、近世には宿場町として賑わい、長い歴史と伝統に培われた町である。水と豊かな緑の空間にも恵まれた土地である。
府中市ホームページ<概要>
位置・地勢 東京都府中市ホームページ         
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/fuchusinogaiyo/gaiyo/ichi.html
(2023/07/20閲覧)
景観保全部門
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/kekaku/tosikiban/kekankekaku/keikansyou2.files/keikansyoukirokusi04-11.pdf (2023/07/20閲覧)

(2)大國魂神社(府中市宮町3-1)
創立111年と伝えられ、大化の改新後は「武蔵総社六所宮」と呼ばれた。本殿は、1646年の府中の大火により焼失した後、徳川家康の命により1667年に再建されたものである。一年を通じて毎月祭りが開催されており、季節を感じることができる。例大祭「くらやみ祭」においては、馬場大門のケヤキ並木は無くてはならない存在である。
厄除け・厄払いは東京府中の大國魂神社
概要 https://www.ookunitamajinja.or.jp/ (2023/07/20閲覧)
馬場大門のケヤキ並木
https://www.ookunitamajinja.or.jp/meguri/keyaki.php (2023/07/20閲覧)

(3)「くらやみ祭」 
大國魂神社の例大祭 
毎年4/30~5/6に様々な行事が執り行われる。5/3の「競馬式(こまくらべ)」は、国司が駿馬を朝廷に献上するために良馬を府中に集め、馬場で走らせ選定したことから行事として続けられている。馬の速さや着順を競うものではなく検閲のためのものであった。5/5の神輿渡御は見どころであり、8基の神輿と大太鼓が御旅所まで渡御する。
くらやみ祭|大國魂神社
https://www.ookunitamajinja.or.jp/matsuri/5-kurayami.php (2023/07/20閲覧)

(4)史跡名勝天然記念物 
天然記念物 | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/tennen_kinenbutsu/ 
(2023/07/20閲覧)
馬場大門のケヤキ並木 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/401/685 (2023/07/20閲覧)  
「天然記念物」指定概要  「馬場大門ノ欅並木」
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/kekaku/tosikiban/keyakinamiki_hogokanri_keikaku.files/hogokanri_keikaku_article2_9.pdf (2023/07/20閲覧)  

(5)馬場大門の歴史的背景
『府中市郷土の森博物館 ブックレット7 国指定天然記念物 馬場大門のケヤキ並木』、 編集・発行(財)府中文化振興財団 府中市郷土の森博物館、 2005年(p.4∼11.37∼39)

(6)府中市の取り組みについて
府中ケヤキ並木 捕植について
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/singikyogi/bunka/bunkazaihogo/bunkazaihogosingikaigijiroku_23.files/bunkazai_hogosingikai_gijiroku23_2.pdf (2023/07/20閲覧)
府中市 馬場大門のケヤキ並木 概要・現状
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/kekaku/tosikiban/keyakinamiki_hogokanri_keikaku.files/hogokanri_keikaku_chapter2.pdf (2023/07/20閲覧)
府中市 馬場大門のケヤキ並木 保護管理計画
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/kekaku/tosikiban/keyakinamiki_hogokanri_keikaku.html (2023/07/20閲覧)
府中市ケヤキ並木 緑の現状と課題(保護と更新)
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/singikyogi/tosikiban/midorinokihonkeikaku/dai5kai.files/siryou1.pdf (2023/07/20閲覧)
府中市景観ガイドライン 緑化編
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/kekaku/tosikiban/kekangaido/guidelineryokukahen.html (2023/07/20閲覧)
地域分類別の緑化指針(大國魂神社・ケヤキ並木)、維持管理の留意点
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/kekaku/kankyo/midori/midorikihonkeikaku.files/keikaku5.pdf (2023/07/20閲覧)
<安全管理>
①欅の枝をケーブリングという手法を用いて、災害時においての落下に備える。
②定期的な剪定と落ち葉などで滑る危険性を考慮し清掃を行うこと。
③放置自転車を無くすための駐輪場設置(駅周辺6か所)。
<保存育成・景観保護>
①欅の種の収集・育成・植樹・研究
東京農業高校による種の収集・育成・植樹の活動が、府中第一中・小学校の生徒と行われている。東京農工大学の敷地内にもケヤキ並木が存在し、種の研究が行われている。
②府中駅南口開発において、並木の欅の保護・育成のため商業ビルのセットバック・高さ制限を規定。並木の周りに設置された石積を一段下げ、以前の並木景観に戻す取り組みにより市民に並木をより身近に感じてもらうよう試みた。
③排気ガスによる影響を軽減させるため、週末と祭日午後は歩行者専用道路としている。2025年までに、終日歩行者専用の移行を目指している。
④近隣企業と商店による清掃ボランティアやケヤキ並木の保護啓発の取り組み(イベント・ポスター制作など)。
その他、多数。

(7) 京王線・甲州街道
1889年、甲武鉄道(現・中央線)が開通し国分寺駅ができたことで、甲州街道を利用した東京への遠出から汽車の利用が増えだした。そのため、馬場大門ケヤキ並木は国分寺道として利用され、乗り合い馬車が交通手段となった。鉄道に付随する町の発展に取り残されないよう、ケヤキ並木も整備が必要となった。1916年、京王電車が府中まで開通し、馬場道から住民の重要なメインストリートとなる。1927年、府中から東八王子を結ぶ玉南電気軌道を買収した京王電鉄が、新宿―八王子間の運転を開始したことでケヤキ並木を鉄路が横切ることとなった。甲州街道20号線は、1956年に開通する。
『府中市郷土の森博物館 ブックレット7 国指定天然記念物 馬場大門のケヤキ並木』、 
編集・発行(財)府中文化振興財団 府中市郷土の森博物館、2005年(p.38∼39)

(8)府中郷土の森博物館 
敷地内には府中の歴史的建築物を移築し復元している。館内には、府中の歴史や環境、祭りを伝える展示室がある。
府中市郷土の森博物館ホームページ
http://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/index.html (2023/07/20閲覧)
園内のゾーニングと復元建築物|公益財団法人府中文化振興財団
http://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/about/1000090/1000092/index.html
(2023/07/20閲覧)
宿場のにぎわい|公益財団法人府中文化振興財団
http://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/tenji/1000108/1000113.html (2023/07/20閲覧)
変わりゆく府中|公益財団法人府中文化振興財団
http://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/tenji/1000108/1000114.html (2023/07/20閲覧)
都市と緑と|公益財団法人府中文化振興財団
http://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/tenji/1000108/1000115.html (2023/07/20閲覧)

(9)府中市ケヤキ並木 緑の現状と課題(保護と更新)
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/singikyogi/tosikiban/midorinokihonkeikaku/dai5kai.files/siryou1.pdf (2023/07/20閲覧)

(10)「文化財とは?」「歴史の証人」「日本の自然誌」「人と自然のかかわり」「意義といかす」
文化庁「天然記念物って、なに?」文化庁記念物課
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/shuppanbutsu/bunkazai_pamphlet/pdf/pamphlet_ja_09.pdf (2023/07/20閲覧)

(11)農業高校との連携・欅プロジェクト 保護更新プロジェクト 連携協定を締結
沿革 | 東京都立農業高等学校
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/closeup/r2/DFcontentFN_D0050022021031108521.
html (metro.ed.jp) (2023/07/20閲覧)
「国天然記念物 馬場大門のケヤキ並木」で 小中高生による 『次世代継承の種まき』 を行いました!
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/kekaku/tosikiban/keyakinamiki_hogokanri_keikaku.files/hogokanri_keikaku_chapter2.pdf (2023/07/20閲覧)

(12)「感覚的共感」を抱く街並みや店が減少している。」(p.24)
「五感のまちづくり」の伝統を受け継ぐことが、現代の都市に足りないもの。都市の機能は必要であるが、工学的に設計しただけの街づくりとなってしまう。」(p.140)
山下柚美編、荒井眞一・内藤克彦著『五感で楽しむまちづくり』、学陽書房、 2011年

(13)仙台市・定禅寺通のケヤキ並木
所在地:仙台市青葉区国分町2丁目付近
概要:仙台大空襲の後、1946年に戦災復興事業として都市計画道路16路線が定められ、
最大50mに及ぶ幅員が計画された。定禅寺通では、1957年から植栽された。4列
のケヤキ並木と中央緑道、片側3車線の道路を2車線と自転車専用道路に移行中
である。仙台市と東北電力(株)の間で、市内主要道の無電柱化が合意された。こ
れは街路樹を大きく生育できる要因の一つとなった。現在、定禅寺通再整備方針
が出されている。
『防災機能強化と都市美化のための道路緑化のあり方に関する調査・研究』、企画・編集・発行 公益財団法人都市防災美化協会、平成29年 (街路樹のあゆみ 仙台市 p.35)
仙台市ホームページ 「定禅寺通 再整備方針」
https://www.city.sendai.jp/jigyochose/documents/01_jozenjisaiseibihousin_dai1syou.pdf (2023/07/20閲覧)

(14)「景観論の基礎(1)景観の論じられ方の種類、(2)シーン景観の基礎的構造」から(1)-①固定的な視点からの眺めと(2)‐①視点場によって、主対象の見え方や感じ方が異なる。(芸術教養演習1において、下村泰史学科長により提供された資料:景観編資料)

(15)「都内の代表的な街路樹であるケヤキとイチョウの樹冠が大きい街路の印象は総じてよく評価されたが、とりわけケヤキでは樹冠の小さな街路との違いが大きかった。この意識的反応に対して、無意識反応が多くを占める眼球運動は樹冠の大きな街路ではゆったりとした動きであり、また無意識の自立神経反応である心拍変動性・心拍数では副交感神経系優位の状態であった。つまり、樹冠の大きいケヤキとイチョウの街路では、剪定によって樹冠が小さい街路に比べて生理・心理的に好適に評価されリラックスした状態となることが明らかとなった。」(p.2)
『防災機能強化と都市美化のための道路緑化のあり方に関する調査・研究』、企画・編集・発行 公益財団法人都市防災美化協会、平成29年

(16)「編集は、イメージをマネージすること」「デザインは産業との結びつきによって発展してきましたが、近年は、社会の課題と向き合うことが必至です。・・・その土地、その場、時代に即していかに再編集して新たな魅力ある都市に再生するかという観点でも編集力が問われます。編集は常に与件と予見の組み合わせです。問題提起としての編集力は、先のことを予測し、計画とイメージを同時進行させることです。現実と未来の間を橋渡しするものごとを組み立てる想像力、構想力が必要でしょう。」
(第5章これから必要とされる「編集力」とは p.202∼208)
紫牟田伸子著 早川克美編『編集学―つなげる思考・発見の技法』、藝術学舎、2014年

(17) 資料・アンケート(筆者作成 2023/07/20)
ケヤキ並木から近いのは、府中町・宮町・寿町である。1番の「大國魂神社の参道、府中のシンボル」にほとんどの人がイメージを持っているため知名度・関心度は府中全域に及ぶのが分かる。しかしながら、2番の取り組みに関しては「なし」の回答により知名度・認知度は低いことが分かる。下記アンケート(市の公式ページ)からも関心度の高さは理解できるが市の保存継承の取り組みに対して市民の貢献度の低さが分かる。
第38回市政調査・ケヤキ並木アンケート
*問25による市民の関心度、問20による並木に関する施策、問22、27による景観と調和に関する認識(2005,2006年)
府中ケヤキ並木
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/kekaku/kekaku/tosikiban/keyakinamiki_hogokanri_keikaku.files/hogokanri_keikaku_article10_13.pdf (2023/07/20閲覧)

(18)「私たちは、みずから意識する、しないにかかわらず、時間を不連続なものと位置づけ、特定の時間を切り取り、そこに意味を付与したり、特別な役割を与えたりしています。」
(p.14∼15)
「人間の文化には、日常の時間と非日常の時間があり、非日常の時間が通過儀礼にあたり
としています。通過儀礼では、日常の時間が切り取られ(分離)、それが非日常の時間と
して置き換えられ(移行・境界)、再度日常の時間に組み込まれる(統合)というプロセ
スを踏みます。」「儀礼というイベントは、いわばデザインされた時間の中で行われてい
るのです。」(p.23∼26)
中西紹一・早川克美編 『時間のデザイン―経験に埋め込まれた構造を読み解く』、    藝術学舎、2014年 (第1・第2章 p.11∼32)
「生きた景観を支える空間要素、イベントを日常に非日常として単発的でなく一定期間実施する。まちに現れる生きた景観は普段まちで生活する人々にはその価値が認知されないことも多い。非日常を設置することで見直す機会となる。」(生きた景観を支える P154~156)
日本建築学会編 嘉名光市・大影佳史・栗山尚子著 『生きた景観マネジメント』、鹿島出
版会、 2021年 

(19)「街路樹には、自然界の木のように他の樹木と競争する必要はないが、反面街路で生きていく様々な条件を備える必要がある。その条件を備えた木だけが、人間に選ばれ、生き残ることができる。街路樹の世界では、自然界にはない人為的な淘汰によって、人間の都合の良いように進化が行われる。」(p.16)
渡辺一夫著 『街路樹を楽しむ15の謎』、築地書館(株)、2013年 
    
<参考文献>
『芸術教養演習1:景観編資料』、(下村泰史学科長より芸術教養演習1にて提供)、2023/02/01
中西紹一・早川克美編 『時間のデザイン―経験に埋め込まれた構造を読み解く』、 藝術学舎、 2014年
紫牟田伸子著 早川克美編 『編集学―つなげる思考・発見の技法』、 藝術学舎、 2014年
山下柚美編 荒井眞一・内藤克彦著 『五感で楽しむまちづくり』、 学陽書房、 2011年
鈴木敏著 『誰だって街を歩きたい 道のユニバーサルデザイン』、 技報堂出版(株)、 2006年
渡辺一夫著 『街路樹を楽しむ15の謎』、 築地書館(株)、 2013年
日本建築学会編 嘉名光市・大影佳史・栗山尚子著『生きた景観マネジメント』、 鹿島出
版会、 2021年
社団法人日本建築学会著 『生活景 身近な景観価値の発見とまちづくり』、 学芸出版社、   2009年
市倉宏佑著 『和辻哲郎の視圏―古寺巡礼・倫理学・桂離宮』、 (株)春秋社、 2005年
島澤誠著 『日本の特別天然記念物』、 JTBパブリッシング、 2006年
中川幾郎・南博史・高岡伸一・朝倉由希・信藤勇一・高島知佐子・森屋雅幸・西村仁志・石本東生・藤野一夫著 松本茂章編 『ヘリテージマネジメント 地域を変える文化遺産の活かし方』、 学芸出版社、 2022年
立正大学仏教文化財修復研究・実習室 秋田貴廣著 『文化財保存学入門―感じとる智慧・つながる記憶』、 丸善出版(株)、 2012年
日本遺産プロジェクト編 『日本遺産 時をつなぐ歴史旅』、 東京法令出版株式会社、 2016年
八木牧夫著 『健康が歩いてやってくる!五街道ウォークのすすめ』、(株)山と渓谷社、 2018年
PHP研究所編 『京王電鉄のひみつ』、(株)PHP研究所、 2012年
東京歴史研究会著 『京王沿線ぶらり歴史散歩』、(株)かんき出版、 2011年
かぶらぎみなこ 『FUCHU府中まちあるきイラストガイド』、(株)遊泳舎、 2021年
府中市文化スポーツ部文化振興課文化財係発行 『府中らしさを活かす魅力あるまちづくりをめざして けやき並木の景観整備』、 平成20年
『防災機能強化と都市美化のための道路緑化のあり方に関する調査・研究』、 企画・編集・発行 公益財団法人都市防災美化協会、平成29年
『府中市郷土の森博物館 ブックレット7 国指定天然記念物 馬場大門のケヤキ並木』、
編集・発行(財)府中文化振興財団 府中市郷土の森博物館、 2005年 
2015年3月23日 府中市と協働・連携のための相互友好協定を締結 | 2014年度 プレスリリース一覧 | プレスリリース | 広報・社会連携 | 大学案内 | 国立大学法人 東京農工大学 https://www.tuat.ac.jp/documents/tuat/outline/disclosure/pressrelease/2014/201503161819151084809132.pdf (2023/07/20閲覧)
<府中市ホームページより> (2023/07/20閲覧)
けやき並木通り車両交通規制 東京都府中市ホームページ
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kurashi/machi/koutuukisei.html (2023/07/20閲覧)
府中市街路樹の管理方針について 東京都府中市ホームページ
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kurashi/machi/dourokouen/gairoju_kanrihoushin.files/gairoju_kanrihoushin.pdf (2023/07/20閲覧)
府中けやき並木イルミネーション2022 広報ふちゅう(1868号)「竹のあかり」
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/johokokai/koho/kohoshi/koho/heisei30nenhakkou.files/181221kouho_HPall.pdf (2023/07/20閲覧)
「馬場大門のケヤキ並木」の保護啓発看板設置と市立中学生作品展示 広報ふちゅう(1872号)
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/gyosei/johokokai/koho/kohoshi/koho/reiwa1nenhakkou.files/190201kouho_allHP.cleaned.pdf (2023/07/20閲覧)
地域安全・環境美化の日(8月18日金曜日)
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kurashi/sekatu/bika_gaichu/Region_Safty_and_Envi_Clean.html (2023/07/20閲覧)
「落ち葉の銀行」について
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kurashi/sekatu/shizenhogo_seibutsutayousei/otibanoginkou.html (2023/07/20閲覧)

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