都心の居場所づくり〜「芝のはらっぱ」の活動と地域のコミュニティ
1、はじめに
東京タワーから徒歩15分、「芝のはらっぱ」という小さな庭がある〔写真①:上図〕。港区芝地区の北四国町会エリアの中心に位置し、建物の取り壊しによって駐車場になる予定だった場所に作られたコミュニティひろばである。老若男女が自由に過ごせるこの庭は1年ほど前に地域住民らが作ったまちの庭で、都心の人々の居場所となりコミュニティを育む場となっている。運営スタッフやボランティアへの取材やイベント参加から、都心に新しくできたこの庭と周りのコミュニティが地域の中でどのような役割を果たしているかを考察する〔1〕。
2、基本データ
名称:芝のはらっぱ〔写真②〕
所在地:東京都港区芝3丁目36番地10
広さ:164平方メートル(約49坪)
土地の貸与先:北四国町会
運営:北四国町会 芝のはらっぱ実行委員会
設立:2021年春
協力:芝の家、ご近所イノベーション学校(港区芝地区総合支所×慶應義塾大学)
利用時間:土曜日の午後を中心に月7〜8回オープン。
活動内容:DIYや庭づくり、フリーマーケット・足湯・音あそび実験室などの行事、防災講座などのワークショップ、まちを楽しくするアイデアを形にする等〔写真③〕
3、芝のはらっぱ オープンの背景と経緯
3−1、港区芝地区について
東京都港区の芝地域は、JR田町駅の北側徒歩10分、東京タワーから徒歩15分の位置にある〔2〕。現在、芝3丁目界隈は昔ながらの一軒家が多く残る地域だが、近年は都市開発が進み銀行やホテル、高層マンションも増え、平面駐車場になる土地も増えている〔写真①:下図〕。このような都心部にある問題として考えられるのは高齢者や子育て世代の居場所づくりである。港区政策創造研究所の調査によると、高齢者の居場所づくりや若い世代のご近所付き合いができる場所づくりが必要だということがわかった〔3〕。
3−2、オープンまでの道のり
芝のはらっぱは2008年から運営する芝の家〔資料①〕〔写真④〕の跡地にある。2008年に港区の芝地区地域事業「地域をつなぐ!交流の場づくりプロジェクト」〔4〕の拠点となり開設された。芝の家は、港区芝地区総合支所と慶應義塾大学が協働で運営し、他にも町内会や地域住民、ボランティア、ご近所イノベータ〔5〕などが加わってコミュニティを作っており、高齢者と子育て世代の居場所づくりのモデルとなって活動してきた。2018年に芝の家は建物の老朽化により取り壊すことになり、4軒ほど隣に2019年1月に移転した。その跡地がコインパーキングとなる計画があったが、まちの要である場所を残したいと考えた北四国町会会長の働きかけで土地の持ち主から貸与されることになった。
2020年2月に北四国町会、芝の家、ご近所イノベータらが協働でコミュニティを運営していく「芝のはらっぱ実行委員会」が発足した。8月に地面を掘り起こしてガラ拾いをする「あきち活動」、10月に町内むけ説明会の開催、冬から芝のはらっぱづくりが始まった。コロナ禍によってなかなか進まない中でも一つづつ手作りで庭を作っていき、2021年春に「まちの交流を豊かにする実験の場」としてオープンした。
現在は庭や畑の手入れやイベント開催などさまざまな世代や職業の人が集まり、ボランタリーも関わって「まちの庭」づくりを楽しみながらコミュニティを発展させている〔6〕〔7〕。
4、評価している点
4−1、港区の地域事業が機能し、コミュニティが連携している
港区は区を5つの地区に分け(芝・麻布・赤坂・高輪・芝浦港南)、各支所が地域の特性を活かしたまちづくりを展開している。芝地区は商業地区と住宅が共存した地域であり、商店のにぎわいと住宅が調和したまちづくりを目標としている〔8〕。
各支所に港区から予算が与えられ、芝地区では年間1300万円が芝の家とご近所ラボ新橋〔9〕の運営資金となっている。2008年に開設された芝の家は地域のまちづくり活動拠点として10年以上機能している。北四国町会と共に地域の居場所をつくり、それに関わる人がいろいろな人を呼び込んで芝のはらっぱを新たに作り出した。公共である港区の事業と芝の家、北四国町会、ボランティアがつくった芝のはらっぱが相互に協力してコミュニティができている〔10〕。
芝のはらっぱと芝の家の聞き取り調査および芝の家定例ミーティングにおいて、芝のはらっぱと芝の家と北四国町会が連携して活動していることがわかった。現在まで国内外から芝の家の活動を知りたいと見学に訪れる人が多くいたことからも、地域のコミュニティづくりが成功していると評価できる〔11〕。
4−2、居場所づくりの役目を果たしている
芝のはらっぱは、道路に面した角にあり、地域住民の目に留まりやすい場所にある。花やハーブや野菜を育てているため毎日の水やりが必須であるが、実行委員(スタッフ)が交代ですることもあれば、ご近所の人が代わりにしてくれることもある。スタッフは無償のボランティアでそれぞれ仕事を持っているため、スタッフだけではらっぱを維持することは難しいが、地域の人が関わっていくことではらっぱを維持しやすくなる。協力者である高齢者や近隣住民にとっては人と関わるアクションを起こすきっかけになっている。共にはらっぱを育てていくことで、高齢者や子育て世代の居場所づくりに役立っているのだ。
5、「バスあいのり3丁目TERRACE」との比較
芝のはらっぱと同様に都心の空き地をまちに貢献できる場にした例で、新宿3丁目の「バスあいのりTERRACE」がある。三菱地所が所有し2年ほど更地だった場所をコインパーキングにする案が上がったが、「バスあいのり」事業をしていた会社と協力して70坪の小さなグリーンテラスをオープンすることとなった。企業がコラボレーションしてこの土地ににぎわいと憩いの空間を提供し、緑の風景をつくっている〔12〕。
2つの事例は、緑をより良いまちをつくるための重要な素材と考え、まちづくりの手段としている〔13〕。芝のはらっぱに特筆したいことは、一人一人が自発的に積極的に参加して成り立つ場であり、誰でも参加できるという公共(パブリック)と芝のはらっぱ実行委員会スタッフのようなボランティア(プライベート)が協力して作り上げていることだ。参加する人が自分でこの場所を作ったと感じることができている〔14〕。芝のはらっぱは、緑をきっかけとして誰もが参加できる居場所となって地域に貢献している。
6、今後の展望
現在は安全面を考慮し運営スタッフがいる時だけのオープンとなっている〔15〕。今後は町内会にも対応できる人を増やしてオープンできる時間を増やすことが目標である。また、緑の維持や諸経費を助成金によってまかなっているがそれだけではなくフリーマーケットや寄付などで運営費を増やしていくことも検討される。
そして町内住民に限定せず、活動に興味のある人が誰でも関われる庭であることを活かし、広く存在を知ってもらうことが重要だ。SNSの情報発信を頻繁に行いイベントを通して参加者を増やすなど、より多くの人の居場所になることを期待する。
7、これからのコミュニティ
芝のはらっぱは、都市開発がすすめられる都心で豊かなまちづくりにチャレンジしている新しいコミュニティ活動である。高齢者や子育て世代をはじめとする全ての人が交流できる居場所を提供するという役割を果たしている。
現代では町会に参加するにはハードルが高いと思う高齢者や若い世代もいるが、芝3丁目地区のコミュニティには自分の居場所を自分で選択できる場所がある。芝のはらっぱや芝の家などのように、誰でも気軽に立ち寄れる居場所が地域の中につくられていくことが、これからのまちづくりにとって大切だ。
この事例はコミュニティをみんなで作り維持していくまちづくりが成功している例であり、都心のコミュニティづくりの先陣としてモデルを示していると考える。芝3丁目も今後は地域の都市開発は避けられないが、コミュニティは進化しづつけながら未来へつながっていくだろう。
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〔写真①〕
上図:芝のはらっぱ(2022年6月18日筆者撮影)
下図:東京都港区芝3丁目付近(2022年7月17日筆者撮影)
緑色の丸が芝のはらっぱ、黄色の丸が芝の家の位置。周辺にはコインパーキングになっている土地が目立つ。 -
〔写真② 芝のはらっぱ〕(2022年7月14日②から⑧の写真は筆者撮影)
①芝のはらっぱ通信(2021年2月10日発行、芝のはらっぱホームページよりダウンロード)。
敷地内の配置がわかる。
②南側から見たところ。変化しづつける場にするために、中央に余白を残し、芝生を張っている。
③パーゴラ。バラなどのつたの長い草花が彩り、旧芝の家で使っていた黒板がある。
④屋根付きデッキ。雨の日や陽射しの強い日にも一息つける。屋根の上にはグミの木が植えられている。
⑤掲示板。旧芝の家で使っていた棚板を利用してつくられた。
⑥縁側ベンチ。旧芝の家の縁側があった位置に設置された。芝のはらっぱがクローズしているときもいつでも座れる。
⑦西側から見たところ。縁側ベンチがこちら側にもある。畑にはたくさんの野菜が育っている。
⑧シンボルツリーのジューンベリー。周りにはナツハゼとアオダモがある。 -
〔写真③芝のはらっぱ・最近のイベント〕
●コーヒー足湯(2022年7月9日筆者撮影)
毎月1回、いろいろな足湯の日がある。毎回とても好評で、遠方からのリピーターも来ていた。
●音楽イベント ブルーカーボンの日 気にやるやつら(2022年7月17日筆者撮影)
バンドのライブ、トーク、昆布楽器セッション、フジツボの飾り作り(写真右下)など。 -
〔資料①:芝の家:外観〕(2022年7月17日筆者撮影〕
表にはたくさんの植物があり、朝は地域の人が水やりをすることもある。 -
〔写真④芝の家:内観〕(2022年7月19日筆者撮影)
①中央のくつろぎスペース。
②中から外を見ると、通りがよく見える。窓を開けて外の人とコミュニケーションをする場所
③駄菓子コーナーは入ってすぐにあり、駄菓子を買う目的だけで立ち寄る人もいる。
④電子ピアノと掲示板。まちの情報やイラストや写真など。
⑤節電が実施されたときは施設は閉室になる。公共の施設であることがうかがえる。
参考文献
《注釈》
〔1〕この卒業研究は、京都芸術大学通信教育部芸術学部芸術教養科「芸術教養演習2」のレポート課題(2021年11月提出)五十嵐加奈子(筆者)の『地域の交流の場づくりプロジェクト「芝の家」の運営について』を参考にした。
〔2〕江戸時代には四国の大名の各藩邸があり明治時代には政府の御用地だった。明治中期に民間に払い下げ大小の工場が立ち並ぶ工業地域となり、明治32年には日本電気(現NEC)が設立されたことをきっかけに、明治・大正・昭和初期にかけて機械器具や電気機器の工場ができ、多くの職工や庶民が住み商店街も繁栄した地域である。
[参考文献]熊倉敬聡・望月良一・長田進・坂倉杏介・岡原正幸・手塚千鶴子・武山政直編著『黒板とワイン もう一つの学び場「三田の家」』、慶應義塾大学出版会、2010年、p9−p10
〔3〕港区政策創造研究所ー2011年に設置された企画経営部内の総合研究所で、港区が今後直面するであろう課題を予測して行政経営運営を担う全庁支援を強化するために、情報収集・分析を行っている。
https://www.city.minato.tokyo.jp/seisakukenkyu/documents/pamphlet20190401.pdf(2022年7月22日閲覧)
【港区における75歳以上高齢者を含む2世帯の生活に関する調査報告書[概要版]平成25年(2013年)5月港区政策創造研究所(企画経営部)】
(2022年7月22日閲覧)
●日ごろ親しくしている友人・知人がいるかー「いない」27.5%
●近所づきあいの程度ー「あいさつをかわすくらい」「まったくつきあいがない」53.2%
●外出の頻度ー「1週に1回くらい」「ほどんど外出しない」18.5%
●外出が少ない理由ー「行く場所や用事がないから」27.2%、「出かけるのがおっくうだから」26.2%
●参加している団体・集まりー「参加していない」49.2%、「町会・自治会」23.1%
●団体・集まりに参加しない理由ー「自分の興味をひくものがない」32.8%、「参加したくないから」21.9%
●団体・集まりへの今後の参加希望ー「とてもそう思う、まあそう思う」30.1%、
この結果、団体・集まりに参加しない理由は活動のニーズに起因するものが多いことがわかった。今後の参加へ意欲を見せる人が3割いることから、何か興味のもてる場所や行事があれば活動しようと考える高齢者も増えると考えられる。
【港区における子どもと子育て家庭の生活と意識に関する調査報告書[概要版]平成26年(2014年)2月港区政策創造研究所(企画経営部)】
https://www.city.minato.tokyo.jp/seisakukenkyu/documents/kodomo-gaiyouban.pdf(2022年7月22日閲覧)
●居住年数が1年以下の世帯
祖父母に頼れるかー「頼れない・いない」21.4%、その人は他に頼れる人がいるかー「いない」77.7%
家族以外の会話相手がいるかー「いない」11.8%
近所で子供同士を遊ばせる頻度ー「ほとんどない」42.0%
母親は地域活動に参加しているかー「参加していない」64.0%
●小学生のいる世帯
子どもは地域活動に参加しているかー「参加している」38.3%
子育てで悩んでいることはあるかー「学習や進路の悩みがある」37.3%、相談先があるか「ない」29.5%
私立学校、所得が高いほど地域活動に参加しない傾向があるー放課後に地域の施設・公園で遊ぶのは公立学校の児童が多い傾向にある
この2つの報告書から、高齢者や子供、子育て世代に居場所をつくることが必要だということがわかる。
〔4〕「地域をつなぐ!交流の場づくりプロジェクト」
港区が地域を良くする活動の拠点を運営するプロジェクト。「芝の家」と「ご近所ラボ新橋」の2ヶ所を拠点とする。地域の人たちの日常を見守り、子どもが安心して遊べ、高齢者が孤立することなく暮らせる地域づくりを推進している。(事業費は年間1300万円)
・港区ホームページ>芝地区総合支所が独自に取り組む事業
https://www.city.minato.tokyo.jp/shibachikusei/tiikijigyou/04badukuri_pj.html(2022年7月24日閲覧)
〔5〕「ご近所イノベータ」
港区芝地区総合支所の「地域コミュニティサポートスタッフの養成」事業の一環として2013年から毎年開講している「ご近所イノベーション学校」の講座を受講した人で、特技を生かして地域づくりに積極的に取り組み、芝地区のコミュニティづくりをになっていく人材である。
「ご近所イノベーション学校」は、その活動を支援するために「芝の家」と「ご近所ラボ新橋」二つの拠点を通じて活動内容を広めてネットワーク作りを促進し、活動に役立つ情報の提供を行うプロジェクトである。港区芝地区総合支所と慶應義塾大学の連携によって実施されている。
・ご近所イノベーション学校ホームページ https://gokinjo-i.jp(2022年7月20日閲覧)
・ご近所イノベータ養成講座、リーフレット
〔6〕村松仙泰さん・吉田聰子さん(芝のはらっぱ実行委員/ご近所イノベータ)にインタビュー(2022年6月18日オープン時間、芝のはらっぱにて)
●ご近所イノベータ養成講座で知り合った仲間で何か地域に貢献したいと考えていたところ、芝の家跡地を北四国町会会長の働きかけにより地主から借りられることになり、芝のはらっぱをつくることになった。庭のデザインはランドスケープデザイナーにお願いし、実際につくっていくのはボランティアで集まった人である。コロナ禍で予定通りにすすまない中でもいろいろな世代の人いろいろなところから参加して協働で手作りした。旧芝の家で使っていた棚板をリメイクしたり、黒板を生かしたり、失敗を繰り返しながらも楽しく作業できた。
●芝を張ったり、畑を作ったり、植える木もみんなで相談して決めている。作業工程も聞くことができた。
●オープンできる時間帯が週末の数時間やイベント開催時になっているが、はらっぱの周りにあるベンチはいつでも利用できる。誰かがいることで町の防犯にも役立っている。
●地域のボランティアが水やり隊・見守り隊などで参加している。
●「令和3年度東京都地域の底力発展事業助成」、第31回緑の環境プラン大賞(都市緑化機構、第一生命財団)、2021年度「住まいとコミュニティづくり活動助成(ハウジングアンドコミュニティ財団)、「環境市民活動助成・花と緑の助成」(セブン-イレブン記念財団)を受け、運営している。
〔7〕芝のはらっぱ通信第1号(2021年2月10日発行)
不定期で発行されるリーフレットで、実行委員が記事を書く。はらっぱの紹介や日誌など、はらっぱの「今」を伝えている。第1号では、新しくできた芝のはらっぱがどんな場所なのかどんな人が活動しているのか、これまでとこれからなどを紹介している。
〔8〕全国の各自治体にはマスタープランがある。
・国土交通省ホームページ:都市局 都市計画課 「みんなで進めるまちづくりの話②まちづくりの計画を決める話」
https://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/03_mati/02/index.htm(2022年7月22日閲覧)
・港区ホームページ>港区まちづくりマスタープラン「第5章地域別構想 地区別まちづくりの方針」
https://www.city.minato.tokyo.jp/sougoukeikaku/kankyo-machi/toshikekaku/kekaku/documents/mp05.pdf(2022年7月24日閲覧)
〔9〕「ご近所ラボ新橋」
「地域をつなぐ!交流の場づくりプロジェクト」の一環で「芝の家」に続いて姉妹拠点として2014年にオープンした「まちのリビング」である。都心部にありながらコミュニティを育む交流拠点で、誰でも利用できる。来た人が好きなことをして地域コミュニティの開き方を実験する「まちの実験室(ラボ)」で、コミュニティラウンジではボランティアが日替わりマスターとして喫茶店のように場を開いている。イベントや部活動、屋上菜園もありワーキングスペースもある。
区民協働スペースと子育て広場のあるきらきらプラザ新橋のビル内にあって、家賃がかからず施設が充実したビル内にあるということが「芝の家」と異なる。
・ご近所ラボ新橋ホームページ http://gokinjo-i.jp/gilab/(2022年7月20日閲覧)
・ご近所ラボ新橋、リーフレット
〔10〕芝の家運営事務局スタッフ・加藤亮子さんにインタビュー(2022年7月13日13時から閉室まで、芝の家にて)
参加者:3名(他大学学生2名、筆者)
●芝の家は大家さんに支払う家賃がかかり、そのほか人件費、電化製品、消耗品、防犯費用その他諸費用を支所からの資金でまかなっている。有償で運営に関わるのは12,3人。当番制で毎日2,3人が担当し、ボランティアも数名参加する。
●芝のはらっぱは、芝3丁目の中心の車も通る道路に面した角にあり、地域住民の目に留まりやすい場所にある。オープンしている時間以外は立ち入ることができないが、はらっぱを囲むように設置してある縁側ベンチにはいつでも誰でも座ることができるため、高齢者が買い物帰りにひと休みしたり、昼休みの時間帯には周辺の会社のサラリーマンが昼ごはんを食べたりするなど、誰でも利用できる。2021年のオープン当初は夜の時間帯に無断で入り込む人もいたが、近所の人が芝の家のスタッフに連絡してくることもあり、芝の家が芝のはらっぱ運営の仲介役にもなっている。その後、芝のはらっぱには北四国町会の町会費によって防犯カメラが設置され、現在は安全が保たれるようになった。
〔11〕定例ミーティングに参加(2022年7月19日14時50分から15時30分)
参加者:芝地区総合支所の担当者2名(オンライン参加)、加藤亮子さん、他スタッフ2名、体験ボランティア1名(オンライン参加)、筆者
毎月1回、芝の家の1ヶ月の報告と相談のためにミーティングを実施している
●見学・取材・広報について
●現場の様子(来場者について詳しく報告があった)
1ヶ月間に複数の大学の教員や学生が見学や調査に来ていた。他の地区のNPO法人関係者や診療所、ボランティアセンター、一般企業からも見学者があった。
他県からも居場所を求めていたり、地元に頼れる場所や友人が欲しいなどの悩みを話しにくる人もいる→地元の社協さん(社会福祉協議会)に相談するアイデアを提案
●開催したイベントの報告(どんな人が集まったか、参加者の反応など)
●体験ボランティアによるイベントの企画提案があった(カナダを知ろう!カナダすごろく(仮))
●来月のイベントの予定について
●地域とのつながり・協働の報告
北四国町会、芝のはらっぱのイベントについて
芝会議、ご近所イノベータの活動予定について
shibaura houseのプロジェクト、芝地区高齢者支援連絡会議、エコプラザの活動について
加藤さんの参加した研究会、学習会の報告
●計画停電について
●芝の家の出来事など
〔12〕バスあいのり3丁目TERRACE
「新宿の真ん中で、日本の食を」をテーマに、軽食と飲み物を提供するカフェテラス。農産物を通して地方の魅力を発信する場。
企業とコラボレーションしたイベントなども行う。都市のオアシスをつくるためオーガニックやナチュラルをテーマに、自然の森の中にいるかのような植栽デザインでつくられた。
所在地/東京都新宿区新宿3丁目16番先
企画・運営/株式会社アップクオリティ、三菱地所株式会社
広さ/231平米(70坪)
営業時間/平日12:00〜22:30、土日祝11:30〜22:00
バスあいのり事業/高速バスの空きトランクを利用して従来の物流で県外へ出荷できなかった農作物を都市に運ぶという新しい物流事業
・バス3丁目あいのりTERRACE ホームページ
http://www.ainoribin.com/3chometerrace/
[参考文献]マルモ出版編集部『特集:POCKET PARK バスあいのり3丁目TERRACE』『座談会 バスあいのり3丁目TERRACEを語る』、LANDSCAPE DESIGN NO.144、マルモ出版、2022年6月発行、p40〜p49
〔13〕進士五十八著『ボランティア時代の緑のまちづくり』、東京農大出版会、2008年、p11
〔14〕西村幸夫著『西村幸夫 講演・対談集 まちを想う』、鹿島出版社、2018年、p234
〔15〕加藤亮子さんとボランティアスタッフにインタビュー(2022年7月13日13時から閉室まで、芝の家にて)
芝のはらっぱは住宅街の車も通る道路に面しており、安全面の配慮から(誰の目にも止まりやすい場所である反面、子供だけで利用すると危険なこともあるため)大人の目が必要である。
《参考文献》
熊倉敬聡・望月良一・長田進・坂倉杏介・岡原正幸・手塚千鶴子・武山政直編著『黒板とワイン もう一つの学び場「三田の家」』、慶應義塾大学出版会、2010年
山﨑義人・清野隆・柏崎梢・野田満著『はじめてのまちづくり学』、学芸出版社、2021年
田中元子著『マイバプリックとグランドレベルー今日からはじめるまちづくり』、晶文社、2017年
リム・ボン+まちづくり研究会編著『まちづくりコーディネーター』、学芸出版社、2009年
伊藤雅春・小林郁雄・澤田雅浩・野澤千絵・真野洋介・山本俊哉編著『都市計画とまちづくりがわかる本』、彰国社、2011年
進士五十八著『グリーン・エコライフ「農」とつながる緑地生活』、小学館、2010年
山口敬太・福島秀哉・西村亮彦編著『まちを再生する公共デザイン インフラ・景観・地域戦略をつなぐ思考と実践』、学芸出版社、2019年
藤野一夫編『公共文化施設の公共性 運営・連携・哲学』、水曜社、2011年
岡本耕平監修・阿部康久・土屋純・山元貴継編『論文から学ぶ地域調査 地域について卒論・レポートを書く人のためのガイドブック』、ナカニシヤ出版、2022年
マルモ出版編集部『特集:POCKET PARK 芝のはらっぱ』、LANDSCAPE DESIGN NO.144、マルモ出版、2022年6月発行、p34〜p39
《インタビュー、イベント参加》
●村松仙泰さん(芝のはらっぱ実行委員/ご近所イノベータ/北四国町会準会員)・吉田聰子さん(芝のはらっぱ実行委員/ご近所イノベータ/北四国町会会員)、筆者によるインタビュー、2022年6月18日オープン時間、芝のはらっぱにて
●加藤亮子さん(芝の家運営スタッフ/芝のはらっぱ実行委員/北四国町会準会員)、他大学学生2名と筆者の3名によるインタビュー、2022年7月13日13時から閉室まで、芝の家にて
●芝の家 定例ミーティング、筆者参加、2022年7月19日14時50分から15時30分、芝の家にて
●コーヒー足湯イベント、筆者参加、2022年7月9日16時から18時、芝のはらっぱにて
●音楽イベント・グルーカーボンの日気になるやつら、筆者参加、2022年7月17日16時から18時、芝のはらっぱにて
《その他 WEBサイト》
芝の家ホームページ http://www.shibanoie.net(2022年7月20日閲覧)
芝のはらっぱホームページ https://shibanoharappa.tokyo(2022年7月20日閲覧)