市民が編集した歴史地区「いなげ八景」 ―地域文化・アートの拠点「千葉市民ギャラリー・いなげ」で醸成されるシビックプライド―

田邉 美緒子

はじめに
千葉市稲毛地域に、「いなげ八景」(資1・2)がある。これは「千葉市民ギャラリー・いなげ」(以下ギャラリー)(1)に集う地域住民が、稲毛地域を歴史地区という切り口で捉えて編集したものである。筆者は2022年5月、「いなげ八景ツアー」に参加した。徒歩約3時間に込められた詳細な解説や、質問への濃密な応答から伝わる「いなげ八景をもっと多くの人に知って欲しい」という熱意ある姿は、参加者の琴線に触れるものがあった。本稿は、埋立前の稲毛海岸地域(資3)にあった海辺の文化や歴史を、後世に伝えるべく編集された「いなげ八景」を評価し、文化資産として報告する。また編集の場となったギャラリーの使命について考察する。

1.基本情報と現在にいたるまで
1-1.いなげ八景の舞台とギャラリーについて
いなげ八景の舞台となる稲毛地域は、昭和30年代後半から海岸の埋立造成が始まるまでは、東京湾に面しており、半農半漁の生活が営まれていた。また、海水浴・潮干狩りの名所として知られ、文人や画家が訪れる高級リゾート地(2)として賑わっていた。ここに佇むギャラリーの前身は、実業家の神谷伝兵衛(3)が大正7年(1918)、海岸段丘(4)の上に建てた別荘(5)で、昭和59年(1984)に千葉市に寄贈された。当時、千葉市は政令指定都市へ移行に向けた政策として、芸術・文化振興に積極的に取り組んでいた(6)。また、「芸術活動の発表・展示の場」を強く望む市民の声もあり、昭和63年(1988)市民ギャラリーとして利活用すべく開館した。

1-2.いなげ八景ができるまで
いなげ八景は、2014年12月から2016年12月まで6回ギャラリーで開催された「いなげお話し会」(7)で選定された。郷土史家の西川明氏(元千葉市史編纂委員)と、地域の人たちが、稲毛地域の歴史について語り合い、歴史的な価値が見出される場所を、中国の瀟湘八景(8)になぞらえ選定したのが「いなげ八景」である。ギャラリーの市民ボランティア、植草氏の推薦により、千葉都市文化賞2017の「景観まちづくり部門優秀賞」(9)を受賞した。受賞後、「いなげ八景とは何か?」という質問が寄せられるようになり、いなげ八景を周知させるために「いなげ八景ツアー」が開催されるようになった。

1-3.いなげ八景ツアーで海辺の記憶を伝える
ギャラリー 学芸員の増田氏と、ボランティアの稲毛出身・在住の植草氏が引率し、約3.3㎞を徒歩で巡るツアーの目的は、高度経済成長による都市化や人口急増対策のため、短期間で海が埋立てられてしまい、途絶えそうになったいなげの海辺の文化や記憶を伝えることである。参加者は20代から80代と幅広く、事後アンケート結果は高評価であることから(資4)、目的は達成されていると思われる。また、増田氏がデザインした、いなげ八景散策マップ(資5)は、隅々に渡る詳細な案内が、手にした者の目を捉え、いなげ八景の世界へといざなう。

2.いなげ八景の評価
編集家・紫牟田伸子の、編集のポイントとして挙げる「切り口」、「構造」、「語り口」の3点を視点として評価する(10)。
2-1.切り口(世界の見方)
いなげお話し会において、郷土史家と、いなげ地域の昔を知る地元の人達が中心となり、歴史地区という切り口で、埋立前の海辺の風景や歴史を、海辺の記憶というフレームで言語化されている。それらには、伝承したい歴史や記憶が抽出されており、後述のポッドキャスト(11)にも活かされている。

2-2.構造(物語性)
抽出された歴史事項や記憶などを、瀟湘八景になぞらえ、晴嵐、晩鐘、夜雨、夕照、帰帆、秋月、落雁、暮雪の言葉にちなんだ地域の物語として再構成し、お話し会でのディスカッションにより精査されている。その結果、八景ごとに物語性を持った構造として組み立てられ、歴史地区として編集されたものになっている。

2-3.語り口(伝えるために)
「いなげ八景ツアー」という地域連携イベント形式にして、歴史地区として編集されたルートを解説付きで歩き、昼食に地域の伝統食を取り入れた、いなげ八景弁当(12/資6)を提供するという語り口にし、いなげの歴史や思い出に親しむことは、単なるまち歩きにとどまらない、市民が編集した歴史地区を活かした活動であり、シビックプライド(13)の醸成に繋がるといえる。

3.特筆
3-1.他の事例との比較
公益社団法人 千葉市観光協会(以下協会)観光ボランティア「ちばシティガイド」の活動と比較する。「ちばシティガイド」は、協会のガイド養成講座の修了者である。養成講座のグループワークで作成された観光コース(14)は、千葉市の歴史、史跡、名所などに関する学びの集大成である。なかでも「いなげ八景」を巡る「稲毛海岸物語(稲毛エリア)」は人気のコースだという。

3-1-①.共通点
引地・青木・大渕(15)の論文によると、「イベントや小規模の住民参加プロジェクト、住民の歴史学習、地域の表彰制度などが、愛着を高める可能性が見出された。」とある。

ちばシティガイドの多くは、千葉市以外の出身者であるが、ギャラリーの「いなげ八景」にたずさわったひとたちは、千葉市出身者が多い点は対照的である。しかし、いずれも住民の歴史学習や地域の表彰制度などがあいまって、地域への愛着が高められ、シビックプライドの醸成が育まれているという点は共通しているといえる。

3-1-②.特筆点
協会では、千葉市内の観光ガイドという目的から、市内にコースが多数用意されている。一方、ギャラリーの「いなげ八景」は、かつて、文人墨客に愛された風光明媚な海辺のリゾート地だった歴史を誇りとし、埋立造成によりその記憶を風化させないよう、強い愛着を持ったまなざしで編集し、かつ多くの人に伝えたいという強い意思が軸となり、いなげ地区に特化した活動である点が特筆できる。そして、地域の歴史を知る人が高齢化により伝承の機会が減っていく現在、この活動を継続していく意義は大きいだろう。

3-2.新たな取り組み・ポッドキャストの開発
増田氏が開発したポッドキャストは、コロナ禍で「いなげ八景ツアー」の開催が難しい場合でも、密を回避して個人でいなげ八景を散策できるように開発された音声ガイドである(資7)。瀟湘八景や、いなげ八景の説明・地域の商店街の案内などが収録され、時間や場所を問わず利用可能である。特筆すべきは、いなげの昔を知る人たちへのインタビューが収録されていることである。「新住民が増えた現在、昔の海辺の歴史を次の世代に伝えていくことも、ギャラリーの大きな使命です。」と増田氏は述べる(16)。核家族化社会の現代において、地元の歴史を知る年配者の声を、直接聞ける機会は非常に少ない。ゆえに、当時の神谷伝兵衛別荘や、いなげの海辺の記憶を語る録音音声は、貴重な歴史的文化資産といっても過言ではないだろう。

4.今後の展望
千葉県には現在111件の「ちば文化資産」が登録され、イベントやPRが実施されている。また千葉市のふるさと納税にも文化基金事業がある。市民がいなげ八景に示される、歴史的文化資産を周知させるための持続可能な活動を行うには、このような公的な支援体制(17)を得ることが必要不可欠であると考える。また、林芙美子や、ジョルジュ・ビゴ―(資8)など、多くの文人や画家に愛された地という特色を切り口とした、編集の新たな可能性を期待したい。そして、なによりも地域住民が、かつて海辺のリゾート地だった歴史を持ついなげ八景に、愛着のまなざしを持ち続けることが、もっとも重要なことである。本稿の取材に際し、関係者の方々の熱心な協力に、今後の展望は明るいと考える。

5.まとめ
野村朋弘は、「文化資産とは、地域で育まれたものや、地域の人と人との交流から生まれたものを、地域の人びとの思いによって守られているものであり、また運用していくものである。」と述べる(18)。埋立造成によって失われた景観や、忘れ去られようとしている地域の歴史が、ギャラリーに集う人びとの、自発的な活動によって、歴史地区として編集された「いなげ八景」および、ギャラリーの地域連携イベント「いなげ八景ツアー」は、まさしくこの地への愛着を深めるために運用されており、文化資産に値するものと言ってよいだろう。また、それを育む場となるギャラリーは、地域市民の交流の場として重要な使命を担っており、その存在意義は大きいと評価できる。

  • 81191_011_31981116_1_1_%e8%b3%87%e6%96%99%ef%bc%91%e3%83%bb2 資料1 いなげ八景各所の写真 (筆者撮影、作成・撮影日は各所のページに記載)
    ・キャプションの出典
    千葉市民ギャラリー・いなげHP いなげ八景散策マップ (最終閲覧2023年1月25日)
    https://galleryinage.jp/%e7%a8%b2%e6%af%9b%e3%81%8a%e6%95%a3%e6%ad%a9%e3%83%9e%e3%83%83%e3%83%97/ 
    ・最下段右側画像の出典
    千葉市民ギャラリー・いなげ Twitter (最終閲覧2023年1月17日)
    https://twitter.com/galleryinage/status/1512318161957269504/photo/1 

    資料2 いなげ八景関連事項と千葉市の年表(全国的な出来事を含む)(筆者作成)
    ・参照データ
    千葉市HP 千葉市のあゆみ (最終閲覧2023年1月17日)
    https://www.city.chiba.jp/shimin/shimin/kohokocho/prfnenpy.html
  • %e2%91%a2%e8%b3%87%e6%96%99%ef%bc%93%ef%bc%88%e5%86%8d%e5%86%8d%ef%bc%89 資料3(図・筆者作成)
    1頁 稲毛海岸の空中写真・昔と今
    ・空中写真・国土交通省 国土地理院 HP 地図・空中写真・地理調査
    https://www.gsi.go.jp/tizu-kutyu.html (2023年1月28日最終閲覧)
    ・千葉市民ギャラリー・いなげHP
    海気通信14号「スクープ!!夜灯ぼし漁の秘密が明らかに!?」
    https://galleryinage.files.wordpress.com/2018/04/e6b5b7e6b097e9809ae4bfa114e58fb7.pdf (2023年1月28日最終閲覧)
    夜灯特別夜間公開
    https://galleryinage.jp/%e5%9c%b0%e5%9f%9f%e9%80%a3%e6%90%ba%e3%82%a4%e3%83%99%e3%83%b3%e3%83%88/ (2023年1月28日最終閲覧)

    2頁 松井天山《千葉県稲毛海水浴場鳥瞰》1927年 千葉市民ギャラリーいなげ・所蔵 

    3~4頁 埋立前の稲毛海岸の画像
    『歴史読本』編集部編『カメラが撮らえた千葉県の昭和』、中経出版、2013年。
    しなのき書房編『写真アルバム 千葉市の昭和 千葉市制施行90周年記念』、いき出版、2011年。
  • 81191_011_31981116_1_3_%e8%b3%87%e6%96%99%ef%bc%94 資料4 令和4年いなげ八景ツアー事後アンケート
    (筆者作成 / データ提供 千葉市民ギャラリー・いなげ)
  • 5 資料5 いなげ八景散策マップ
    (資料提供 千葉市民ギャラリー・いなげ)
  • 81191_011_31981116_1_5_%e8%b3%87%e6%96%99%ef%bc%96%e3%81%84%e3%81%aa%e3%81%92%e5%85%ab%e6%99%af%e5%bc%81%e5%bd%93 資料6 いなげ八景弁当
    (写真提供 千葉市民ギャラリー・いなげ)
  • 81191_011_31981116_1_6_%e8%b3%87%e6%96%99%ef%bc%97 資料7 音声ガイド(ポッドキャスト)冊子・スマートフォンでの再生画像
    (筆者レイアウト・再生画像 筆者撮影 / 資料提供 千葉市民ギャラリー・いなげ)
  • %e8%b3%87%e6%96%99%ef%bc%98 資料8 明治期に来日したフランス人のジョルジュ・フェルディナン・ビゴー(Georges Ferdinand Bigot、1860-1927)は、稲毛の海気館の近くで暮らしていたという。
    《稲毛の女漁師と子ども》1892-1897年頃は、当時の海辺の様子を伝える一点である。なお、左奥に描かれた海中に立つ稲毛浅間神社の一の鳥居は、国道14号沿いに現存している。
    出典 ジョルジュ・ビゴー《稲毛の女漁師と子ども》1892 年~1897 年、板・油彩、24.0 cm×32.0cm 千葉県立美術館 所蔵
  • 81191_011_31981116_1_8_%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc%ef%bc%91%e3%83%bb2 参照資料1 千葉市民ギャラリーいなげ・学芸員 増田様、市民ボランティア 植草様へのインタビュー
    参照資料2 千葉市観光協会 観光ボランティア ちばシティガイド・古賀様へのインタビュー
    (筆者にて内容要約)

参考文献

<註>
(1)地域文化・アートの拠点として、美術に関する市民の知識や教養の向上と、市民文化の発展に資するために、さまざまな文化活動に取り組んでいる施設。
(ギャラリーの基本情報)
名称:千葉市民ギャラリー・いなげ(旧神谷伝兵衛稲毛別荘)
所在地:千葉県千葉市稲毛区稲毛1-8-35
所有者:千葉市
管理者:公益財団法人 千葉市教育振興財団
開館時間:9:00~17:15
休館日:月曜日(祝日開館、翌平日休)、12月29日~1月3日
入館料:無料
(主な取り組み)
〇千葉文化の担い手をつなぐ(いなげ八景ツアー、いなげ八景水彩画コンクール展、いなげお話会の開催、夜灯祭りへの参加)
〇文化芸術に親しむ市民の裾野を広げる(創造海岸美術講座・こども美術講座等)
〇文化芸術によって千葉の魅力を活かす(創造海岸いなげ展・千葉ゆかりの作家展等)
〇文化を創造する人材を育てる(千葉市芸術文化新人賞受賞者による展覧会)
〇文化芸術を育む場を支える(小学生を対象とした神谷別荘、稲毛の歴史講座)
・千葉市民ギャラリー・いなげHP
https://galleryinage.jp/ (2023年1月21日最終閲覧)
・紹介動画
https://youtu.be/DLBU8Mf31OA (2023年1月21日最終閲覧)

(2)明治21年(1888)、千葉県初の海水浴場が開かれ、稲毛浅間神社周辺の松林の中に、海水温浴場、海水灌漑場、遊戯場、運動場施設を持つ「稲毛海気療養所」(のちの別荘風旅館「海気館」)が設立された。林芙美子の小説『追憶』昭和9年(1934)に、この建物が登場している。大正10年(1921)には総武鉄道に加え京成電鉄が開通し、海水浴や潮干狩り客が増加、海岸には旅館や店が立ち並ぶ一大保養地となった。海気館は、島崎藤村(1872-1943)、徳田秋声(1871-1943)、森鴎外(1862-1922)ら文人が滞在し、明治期に来日したフランス人のジョルジュ・フェルディナン・ビゴー(Georges Ferdinand Bigot、1860-1927)は、海気館の近くで暮らしていたという。
・千葉市HP > 稲毛区役所 > 文人に愛された別荘地「稲毛」
https://www.city.chiba.jp/inage/chiikishinko/villa.html (2023年1月21日最終閲覧)
・千葉市美術館HP 所蔵作品
https://www.ccma-net.jp/collection/georges-bigot-inage-kaigan/ (2023年1月21日最終閲覧)

(3)神谷伝兵衛(1856-1922)
明治-大正時代の実業家。三河(愛知県)出身。横浜の外国人居留地でワイン製造法を学び、輸入酒に甘味料などを加え蜂印の商標で販売。明治34年茨城県牛久でブドウを栽培し、36年ワイン醸造所牛久シャトーを建設した。

(4)過去の海底が相対的に隆起して形成された、階段状の地形。海岸線に沿って分布する。海成段丘。

(5)旧神谷伝兵衛稲毛別荘
母屋の木造雁行型の和館(のちに共同住宅に建替え)と、ゲストハウスの洋館が隣り合わせに建つ別荘。ワイン王と呼ばれた伝兵衛らしく、ブドウの意匠が随所に施された貴重な大正建築。戦中は、愛新覚羅溥儀の姉妹とその家族が居住したことがあった。戦争と、2度の大震災に耐えた別荘は千葉市へ寄贈後、共同住宅部分は、アトリエ機能を備えたギャラリーへと改修整備され、昭和63年(1988)に千葉市民ギャラリー・いなげとして開館。翌年、洋館の大規模修復工事が行われ、竣工後一般公開。

(6)1998年11月のギャラリー開館記念のあいさつで、当時の千葉市長だった松井旭は、「文化都市千葉をめざし、各種施策を積極的に展開しており、特に文化施設の体系的な整備を進めている。」と述べている。
・千葉市民ギャラリー・いなげ編『千葉市民ギャラリー・いなげ開館記念 千葉市美術協会展』千葉市教育委員会文化課、1988年、1頁。

(7)稲毛の歴史や文化について、地域の人びとと共に、情報を伝えあう目的で年1~2回開催している地域連携イベント。(2019年まで開催していたが、2020年以降はコロナ渦により中止)お話会の様子や結果は、ギャラリーの「海気通信」で閲覧できる。
・千葉市民ギャラリー・いなげHP 「海気通信」
https://galleryinage.jp/%e6%b5%b7%e6%b0%97%e9%80%9a%e4%bf%a1-kaiki-news/
(2023年1月25日最終閲覧)

(8)中国の山水画の画題の一つ。瀟水と湘水が合流する湖南省零陵付近を描いたものといわれ、平沙落雁、遠浦帰帆、山市晴嵐、江天暮雪、洞庭秋月、瀟湘夜雨、煙寺晩鐘、漁村夕照からなる。北宋の宋迪(そうてき)がこれを描き、11~12世紀に画題として成立。日本の近江八景などこれに倣った名勝がある。

(9)景観法の制定や千葉市都市景観条例の改正を契機として、より幅広く魅力ある景観形成を実現するため、都市を彩るまち並みや広告物、地域やまちづくりの活動などの表彰制度として、平成23年度から始められた。「いなげ八景」は、稲毛の海の記憶がない人々に新たな稲毛の魅力を発見するきっかけや街歩きの楽しさを生む試みとして評価された。
・千葉市HP>千葉市都市文化賞>「千葉市都市文化賞2017」
https://www.city.chiba.jp/toshi/seisaku/keikan/toshikeikan/2017excellentwork2.html (2023年1月21日最終閲覧)

(10)紫牟田伸子著、早川克美編『編集学-つなげる思考・発見の技法』幻冬舎、2014年、76頁。

(11)インターネット経由でデジタルオーディオプレーヤー向けに音声データを配信するサービス、およびその仕組みを指す。音声ファイルをパソコンなどにいったんダウンロード(蓄積)し、デジタルオーディオプレーヤーに転送して聴くスタイルで、常時ネットワークに接続しなくても、随時コンテンツを楽しめるというメリットがある。

(12)ツアー後に「あかりサロン稲毛」(京成稲毛駅そば)特製の「いなげ八景弁当」が提供される。
あかりサロン稲毛では、あさりの串フライ、佃煮、ふうかしなどの郷土料理が楽しめ、かつて半農半漁だったいなげの食文化を伝えている。
・あかりサロン稲毛
https://www.facebook.com/akari.saloon.inage/ (2023年1月21日最終閲覧)
・農林水産省HP >食文化>うちの郷土料理>SEARCH&MENU>ふうかし>千葉県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/fuukashi_chiba.html (2023年1月21日最終閲覧)

(13)シビックプライド(civic pride)とは、「都市に対する市民の誇り」のこと。「郷土愛」や「まち自慢」とは少し別のニュアンスを含み、「この都市をより良い場所にするために自分自身が関わっている」というある種の当事者意識を伴う自負心という意味を持つ。ここでいう市民とは、立場や出自にかかわらず、まちの一員として未来をともにつくっていくのが市民である。また、都市とは、さまざまな人びとが集まり交流する空間的なまとまりをいう。
・伊藤香織・紫牟田伸子監修『シビックプライド2【国内編】―都市と市民のかかわりをデザインする―』、2015年、130-131頁。

(14)
1.稲毛海岸物語(稲毛エリア)
2.幕張今昔物語(幕張エリア)
3.歴史探訪と海浜プロムナード(千葉みなと~本千葉エリア)
4.千葉(せんよう)・千年の歴史を訪ねて(千葉都心エリア)
5.ちば歴遊 歴史と現代の交差点(千葉都心エリア)
6.「昭和」の検見川を尋ねる<埋立前のまちと暮らし>(検見川エリア)
7.日本最大級の加曽利貝塚と都賀の歴史遺産(都賀エリア)
8.歴史と青葉の森を歩く(千葉寺エリア)
9.復興を遂げたロマンの町 西千葉を訪ねて(千葉・西千葉エリア)
10.再発見!ぶらり葭川・ちば歩き(千葉都心エリア)
11.潮騒と花とヨットのドリームスクエア・INAGE(稲毛海浜エリア)
12.鎌倉時代から平成へ 幕張・武石歴史ろまん(幕張エリア)
13.おゆみ、みちくさ、さんぽみち(生実エリア)
・千葉市観光協会HP>千葉市観光ガイド>まち歩き観光ガイドツアー
https://d1y84s7xm50u1y.cloudfront.net/wp-content/uploads/2022/09/machiarukikankoguide.pdf (2023年1月21日最終閲覧)
・千葉市観光協会HP 千葉市観光ガイド
https://www.chibacity-ta.or.jp/chiba-asobi24/plan11
(2023年1月21日最終閲覧)

(15)引地博之・青木俊明・大渕憲一「地域に対する愛着の形成機構-物理的環境と社会的環境の影響-」、土木学会論文集D、65巻2号、101-110頁、2009年。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejd/65/2/65_2_101/_pdf/-char/ja
(2023年1月21日最終閲覧)

(16)2022年8月10日、増田瞳氏へインタビューより

(17)千葉県内の文化資産から、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に平成30年度に県民参加により選定した、多様で豊かなちば文化の魅力を特徴づけるモノやコトのこと。伝統的なものに限らず、現代建築、景観、食べ物等さまざまなものが含まれ、現在111件ある。
・千葉県HP 次世代に残したいと思う「ちば文化資産」
https://www.pref.chiba.lg.jp/kkbunka/olypara-c/chibabunkashisan-top.html (2023年1月21日最終閲覧)
・千葉市HP> 文化基金のご案内
https://www.city.chiba.jp/shimin/seikatsubunka/bunka/bunkakikinannai.html (2023年1月21日最終閲覧)

(18)京都芸術大学・藝術学舎「地域の調べ方 -函館編-(遠隔講義)地域の文化資産を探る」、野村朋弘准教授講義、2022年4月20日~6月22日受講。

<参考文献>
伊藤香織・紫牟田伸子監修『シビックプライド2【国内編】―都市と市民のかかわりをデザインする―』、2015年、130-131頁。
小沢朝江「旧神谷傳兵衛稲毛別荘(千葉市稲毛区)」(米山勇監修『日本近代建築大全 東日本篇』、講談社、2010年、134-135頁)
金子典正編『アジアの芸術史 造形篇Ⅰ 中国の美術と工芸』、藝術学舎、2013年、213-214頁。
坂本箕山著/味岡源太郎/復刻本著『神谷傳兵衛』、アジオカ、2018年、276-277頁。
産経新聞社千葉総局編著『房総発見100』、崙書房出版、1998年、22-23、26-27、40-41頁。
しなのき書房編『写真アルバム 千葉市の昭和 千葉市制施行90周年記念』、いき出版、2011年。
清水勲編著『明治の面影・フランス人画家ビゴーの世界』、山川出版社、2002年2-3、40頁。
紫牟田伸子著、早川克美編『編集学-つなげる思考・発見の技法』幻冬舎、2014年、75-87頁。
千葉県教育庁教育振興部文化財課編『ふさの国の文化財総覧 第3巻』、千葉県教育庁教育振興部文化財課、2004年、96-97頁。
千葉県文書館編集『房総へいらっしゃい([千葉県文書館]企画展)(明治150年記念展示)』、千葉県文書館、2018年、10-11頁。
千葉市史編纂委員会編『絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻』、千葉市、1993年、333-350頁。
千葉市史編纂委員会編『千葉いまむかし No.23』、千葉市教育委員会(千葉市立郷土博物館市史編纂担当)、2010年、11-24頁。
千葉市史編集委員会編『千葉市歴史読本 史料で学ぶ 千葉市の今むかし』、千葉市(千葉市立郷土博物館)、2022年。
千葉市文化振興財団編『カルチャー千葉 第36号(特集/千葉に文学を探す)』千葉市文化振興財団、1996年。
千葉市民ギャラリー・いなげ編『千葉市民ギャラリー・いなげ開館記念 千葉市美術協会展』、千葉市教育委員会文化課、1989年、1-3頁。
中筋直哉「地域が歴史を創り出す 歴史が地域を創り出す」(森岡清志編『地域の社会学』、有斐閣、2008年)。
中谷順子著『房総を描いた作家たち』、暁印書館、1998年、17-21頁。
中村哲夫著『千葉の建築探訪』、崙書房出版、2004年、12頁。
『歴史読本』編集部編『カメラが撮らえた千葉県の昭和』、中経出版、2013年。
田邉美緒子、芸術教養演習1(2022年度)、「海辺の記憶を伝える地域のアート拠点「千葉市民ギャラリー・いなげ」の存在意義について」。

<参考論文>
引地博之・青木俊明・大渕憲一「地域に対する愛着の形成機構-物理的環境と社会的環境の影響-」、土木学会論文集D、65巻2号、101-110頁、2009年。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejd/65/2/65_2_101/_pdf/-char/ja
(2023年1月21日最終閲覧)

<参考ウェブサイト>
千葉市民ギャラリー・いなげHP
https://galleryinage.jp/ (2023年1月26日最終閲覧)

<取材協力>
増田 瞳氏  公益財団法人 千葉市教育振興財団 千葉市民ギャラリー・いなげ、学芸員
植草 昭教氏 公益財団法人 千葉市教育振興財団 千葉市民ギャラリー・いなげ、市民ボランティア
古賀 征二氏 公益社団法人 千葉市観光協会 観光ボランティア ・千葉シティガイド
(2022年5月~11月、2023年1月 対面・メールにて実施)

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