下村 泰史(教授:学科長)2023年9月卒業時の講評

年月 2023年10月
卒業研究レポートの執筆、公開に向けての作業、お疲れさまでした。
今秋の卒業研究レポートの提出件数は97件でした。2015年の秋の卒業者は8名でしたから、なんとその10倍以上になっています。芸術教養学科の学生数そのものが当時からかなり多くなってきていますが、夏に入学し秋に卒業するという選択が、定着してきただろうと思います。

今回は、この97件のうち約半数の41件が公開となっています。私はそのうちの20件、公園緑地や庭園、まちなみ景観などに関わるものを中心に担当しました。
これらはいずれも、作家と作品という関係では語れない種類の、創意のありかたに触れるものでした。

そのなかで特に印象に残った作品をいくつか挙げておきます。

・大国魂神社の馬場大門のケヤキ並木を扱ったもの
・池袋の都市公園群のマネジメントを扱ったもの
・「桜之宮公園泉布観地区」の空間デザインを扱ったもの
・トロントの既存建築のファサードを活かした開発と景観の保存についてのもの

これらは、いずれも資料が充実していたという共通点はありますが、それだけでなく、レポート本文と資料を併せ読むことで、著者の「まなざし」と「思考」が感じられるものでした。そうした魅力は、写真を数枚添付して済ませているレポートには見られないものです。お互いのレポートを読み比べ、芸術教養学科の学びの総仕上げとしてください。

なお、残念ながら今回公開はされていませんが、私が講評を担当したものの中に、宇都宮市徳次郎町西根地区の石建物群の町並みを扱った大変素晴らしいレポートがありました。最後に付け加えさせていただきます。