岩元 宏輔(准教授)2023年9月卒業時の講評

年月 2023年10月
卒業研究のレポートを執筆された皆さま、大変お疲れさまでした。芸術教養学科における学びの集大成として「特定のデザイン・芸術活動やその成果としての地域の文化資産についての考察」を行い、「自身の問題関心に沿ったデザイン・芸術活動の報告書」として「文化資産評価報告書」を作成していただきました。中には「私自身の問題関心って何だろう?」「自分は何に興味があるんだろう?」といったテーマ設定の段階から頭を悩ませていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身の社会人大学院生時代を振り返っても、卒業のための修士論文の題材がなかなか決まらず、結果的には入学当初の研究計画とは大きく異なる題材で執筆した経験があります。いずれにせよ少なくない時間や労力をかけて取り組んでいただいたのではないかと思っております。

今回、私が担当させていただいたレポートの題材は実に多彩でした。
大型複合施設、図書館、海外の美術館・博物館、公園、邸宅、遊園地などといった施設や建築物。
地域における平和活動やカフェの取り組み、国家プロジェクト、オンラインコミュニティ、夏祭りなどといったコミュニテイやプロジェクト・イベント。
さらには独自のアート作品や風水、タップダンサー、ストリートピアノなどといったユニークな題材もありました。

このような題材の広がりからも、デザインや芸術を広く捉えて、その価値や特徴を見出していくまなざしが、芸術教養学科での学びを通じて養われていることが想像されます。

内容に関しての個別の講評につきましては、ここでは言及しませんが、研究に対する「丁寧さ」や「緻密さ」についての個人差が大きく現れていたように見受けられました。例えば誤字脱字や資料のキャプション、書誌情報の書き方など、何度も見返して、「正確に」「間違いがないように」と丁寧に推敲されている様子が目に浮かぶレポートもあれば逆も然り。中には厳しい指摘をさせていただいたレポートもありますが、卒業の証に対する講評として受け止めていただければありがたく思います。

芸術教養学科の学びが、これからの皆さまの「暮らし」に生かされていくことを心から願っております。ご卒業、誠におめでとうございます!