野村 朋弘(准教授:主任)2023年3月卒業時の講評

年月 2023年3月
今期の卒業研究は過去最多となる252件の提出がありました。
芸術教養学科が出来て10年を迎え、こうして多くの卒業生が巣立っていくことをとても嬉しく思います。今期ご卒業される皆さん、おめでとうございます。謹んで言祝ぎ申し上げます。

在学中は幅広い知識や、感性豊かな眼差しを育まれたことと思います。
世界は情報に溢れています。溢れているため、現代人は情報を遮断することも多々あると思います。ただし、遮断している中にも、芸術教養的なものは存在しています。日々の生活の中で埋もれてしまった「気づき」を得て、身近なモノ・コトに想いをよせて頂きました。
その成果が地域の文化資産を調査・考察するというものです。地域に「ある」、または「活動している」多種多様な文化資産を、ご自身の目で選び、レポートとしてまとめて頂きました。
私は歴史のある文化資産について担当致しました。それぞれに読み応えのあるものでした。
個別の内容については講評でお伝えしています。全体的なことでいえば、気になったこともあります。まず第一には、毎年書いていることですが、比較考察をどう位置づけるのか、不明瞭なものもありました。単に「挿絵」のようにしているものもあり、もったいないことでした。
第二には、参考文献です。卒業研究の「問い」を解決するため、様々な調査を行ったことでしょう。その中で文献をいくつも読んでいることは評価すべきことです。ただ、レポートの参考文献欄で示すべきは、過程で目を通した文献すべてではなく、あくまでご自身で立てた「問い」に対する適切な文献の提示です。提示出来ている方、出来ていない方、それぞれいらっしゃいました。卒業研究をぜひ振り返ってみて下さい。

思い起こせば芸術教養学科の立ち上げを早川先生や上村博先生、加藤志織先生らとともに行い、10年で学科は大きく成長しました。学びの質は維持しつつ、学びやすさを向上させる取り組みをしてきて良かったと思います。
卒業される皆さんは、在校中と変わらずFlyingCafeやホームカミングディにご参加下さい。「人生有限、学無窮」です。学び続ける皆さんとともに、私自身も研鑽していきたいと思います。