野村朋弘 (准教授:主任)2020年9月卒業時の講評

年月 2020年10月
2020年度の秋期に卒業研究レポートをご提出された43名の皆様、お疲れ様でした。
そしてご卒業おめでとうございます。心より言祝ぎ申し上げます。

昨年度の春期に引き続き、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が続いています。特に今季の卒業研究については、図書閲覧や聞き取り調査が困難なこともあったことでしょう。そうした中での調査・考察・執筆は、ひとかたならぬご苦労がおありだったと推察しています。
とはいえ、コロナ禍だからといって、採点基準が緩くなる訳ではありません。
あくまで卒業研究は卒業研究です。ご卒業されたことを誇って下さい。

芸術教養学科では、「日々の生活をより豊かにする眼差し」を養うことを獲得目標としています。パンデミックが起ころうとも、その目標は変わりません。
卒業された後も、本学科で学ばれた眼差しを更に磨いていただけると教員としては望外の喜びです。

さて、そろそろレポートの話をしましょう。
私が採点を担当させていただいたのは、伝統的な文化や行事、歴史的なテーマに関わるものでした。例年と同様に、テーマは多岐にわたり、とても興味深いものでした。
それぞれの考察について、気になった点は個別の講評でもお伝えしていますので全体的なことを申し上げれば、今回については、とても大きいテーマを選ばれた方が多かったような気がします。
テーマが大きいということは、「知りたい」という対象が大きいということです。
在学中での学びで培われた興味関心の中で最も「知りたい」ことに取り組まれたのだと思います。テーマが大きいことは、悪いことではありません。
ただ定められた課題の規定に合わせる必要があります。
よく例えとして「階段を下りる」などともいいますが、興味関心のあるテーマについて、課題や規定文字数にどう着地されるのか。それにあわせてテーマを掘り下げるといいましょうか。そうしたことがあると良かったと思います。

熟々と書きましたが、読ませて頂いたレポートにはそれぞれ、優れた点ももちろんありました。この卒業研究に取り組んだ視点を大切に、今後も文化資産に関心を持ってもらえればと思います。

コロナ禍が終熄しなければ、直接的にお目に掛かることは難しいかも知れませんが、それこそ本学科はairで繋がっています。
オンラインでも、オフラインでも、またお会い出来るのを愉しみにしています。
卒業生の皆さんのこれからのご活躍を祈念しております。