次世代につなぐ持続可能な地域づくりに向けて ~「ノリタケの森」を中心に~

中窪 浩美

1.はじめに
今回取り上げる地域(則武新町3丁目(別添地図))は、名古屋市西区南西部に位置し、世界最大級の高級陶磁器メーカー株式会社ノリタケカンパニーリミテド(以下ノリタケ)の本社(註1)がある地域である。このノリタケ本社工場の跡地の一部に複合施設として作られたのが「ノリタケの森」で、今では年間30~40万人が訪れる観光スポットとなっている。この森を中心にこの地域が成長していくことになるが、この森が地域にどのような影響を与えて活性化を促しているかを評価し、今後この地域が持続可能な地域としてどの方向に向かっていくべきかを考察する。

2.則武新町と「ノリタケの森」の歴史
則武新町は、1938年(昭和13年)名古屋市西区の則武町の一部により成立した町である。この町の成立以前(1904年)から日本陶器合名会社(現ノリタケ)は存在しており、町はノリタケを中心として形成され、ノリタケとともに成長してきたといえる。つまりノリタケと「ノリタケの森」の歴史は、この町の歴史ともいえる。
ノリタケは、1859年(安政6年)森村市左衛門が海外貿易を目指し、1876年(明治9年)森村兄弟が貿易商として森村組を創業したことに始まる。その後、陶磁器を主力商品とし日本陶器合名会社を設立し、1904年(明治37年)に洋食器専用工場をこの地域(現則武新町)に立地する。徐々に町には人口も増えてくる。そののち、工場の老朽化等から、2000年(平成12年)にノリタケ本社(⑯)工場の一部を取り壊した跡地に、「ノリタケの森」(2001年(平成13年10月))が誕生したのである。地域貢献を目指し、市街に緑・公園を提供して、クラフトセンターやギャラリーなど、ものづくりを体験する場を併設してオープンした。(2005年には、株式会社ノリタケの森(註2)を設立)
<都市計画による周辺開発>
2014年のノリタケ本社工場全面移転を契機に、その跡地(「ノリタケの森」から西側全て)利用を考えることになり、ノリタケ、三菱商事、イオンモール、三菱地所レジデンスが共同で「ノリタケの森」が持つ歴史的・文化的な景観と調和できるようなコンセプトで、名古屋市に対し都市計画(註3)を提案することになった(2016年)。

3.「ノリタケの森」と周辺施設の現状
「ノリタケの森」(約4万8000㎡)(資料1)の広大な敷地には、ⅰ ノリタケの歴史や事業内容、食器展示、食器絵付け体験、市民ギャラリーといった「見る・つくる」ゾーン(①②③)、ⅱ 創作フレンチなど、ランチやデザートを楽しむ「食べる」ゾーン(④⑥)、ⅲ テーブル雑貨等を取りそろえている「買う」ゾーン(⑤)、ⅳ ベルサイユをイメージした噴水、陶磁器専用エントツの窯あと、自然とふれあえる(ビオトープ)などの「散策」ゾーン(⑦⑧⑨)、がある。このように森の4つのゾーンには様々な施設があり、それぞれ相互に組み合わせれば1日楽しめるコースとなっている。
また、「ノリタケの森」に隣接(資料2)する商業施設のイオンモール(2021年(令和3年10月)開業)(⑩)の館内には、撮影名所の書店(⑪)をはじめ、156にもおよぶ専門店が入店し、館併設BIZrium名古屋(オフィス棟)には会社オフィス(21社)と大学(名古屋外語大学)(⑫)が入居している。さらに近隣マンション(2023年(令和5年2月入居開始))(⑭)からイオンモールに何時でも行ける横断通路(⑬)があり、「ノリタケの森」から歩いて数百mの場所にはトヨタ産業技術記念館(⑮)もある。
これらからわかるように、「ノリタケの森」を核とした産業観光などをはじめ、各エリア(産業、商業、住居)(註4)がしっかり整備できていて、生活する人と訪れる人とを結びつける多くの要素によって地域内(「ノリタケの森タウン」と呼ばれている)で連携したまちが構成されている。

4.次世代につなぐ地域づくり
次世代につなぐ地域づくりを考える上で以下の取り組み(持続可能なまちづくり政策)から評価する。
(1)コンパクトシティ(註5)
富山県富山市の事例。
富山市が中心となり市の基本計画(註6)に基づいて、中心市街地の活性化や公共交通機関の利便性の効率化を図るため、自動車への依存度が高かった市を2007年から公共交通機関を軸としたまちづくりへと進めた。具体的には、街中への移住推進やライトレールの開業、株式会社まちづくり富山(註7)などを立ち上げ積極的に取り組んできた。その結果、転入率が上がり、30年間減少していた中心部の人口が増加して、地価や税収も上昇した。成功の要因は、本基本計画により市民のコンセンサスが得られていたところである。
(2)エリアマネジメント(註8)
岐阜県高山市の事例。
岐阜県高山市の中心市街地活性化の取り組みとして実施した、本町4丁目エリアの商店街の活性化事業(「はばたく商店街30選」(註9))である。
この商店街では、インバウンドに対応できる免税店を開設し免税店マップを作成。また、地域資源を活用した飲食店15店舗が出店する「イータウン飛騨高山」をオープンした。さらに人気TVアニメや映画で飛騨高山が取り上げられたため、アニメの聖地として情報発信し、来訪者の増加につなげた。重要なのはランニングコストを企業がしっかり担い経営をしていったというところである。

(1)(2)から分かること
(1)は新たに建築物等を立ち上げるといったハード面を中心に進行させることで持続可能な都市計画を実施する方法であり(2)の取り組みは既存にある地域資源を最大限活用して利益を追及する方法である。今後持続可能な地域に近づくためには、(1)(2)どちらか一方の取り組みでは全国的にもうまくいかないケースが散見されているため(註10)、地域の活力を維持する「エリアマネジメント」に取り組みながら、「コンパクトシティ」を作ることが、成功への近道といえる((1)×(2))。
「ノリタケの森」が広く市民に親しまれる緑豊かな貴重な場所として地域が構成(註11)されていて、この森が域内各エリア(資料2)の接点となり、生活空間が展開されて各エリア間での相乗効果が生まれている。本地域は、「ノリタケの森」がマネジメント側面において中心となり、市と連携した都市計画によって住民の意思はしっかり反映できている。つまり、先の事例にみるような2つの要素を同時進行していることで、ごく自然に地域内を活性化する仕組みになっていることが評価できる点である。一方で、次世代につなぐ地域づくりを着実に遂行していくためにはまだ課題も残されているといえる。

5.今後の課題
持続可能な地域づくりの課題には、人口の増員、エリア内での増収、エネルギー問題、防災等があるが、持続可能性をより確実なものにするためには、エネルギー問題と災害対応(昨今頻繁に起こる地震への対応等)は欠かすことのできない要素である。各エリア内ではエネルギー確保の問題へは取り組まれてはいるし(註12)、災害時での対応として、名古屋市と協定を結んでいて「ノリタケの森」は緊急避難場所として整備されている。しかしながら、災害によるエネルギーの供給不足や燃料高騰に対応できるように各エリア間での横の連携がとれているとは言い難い。都市計画(註3)においても地域の災害対策を目標とした言及はあるものの、域内エネルギーの具体的対策については何ら記載はされてはいない。今後は、具体的な地域BCP(註13)を考えたマイクログリッドやコージェネ(註14)のような取り組みが重要で、これらが構築できなければ次世代につなぐことは決して容易ではないと思慮される。

6.まとめ
地域の庭であり、公園であり、避難所であり、癒しを与え安らぎを与え安心を与えられる「ノリタケの森」(⑰)を中心にしたこの地域のエリアはすでに評価に値する連携が構築されてはいるが、より強靭的で持続可能なものにするためには各エリア間でさらなる協働連携が必要となる。今後も「ノリタケの森」ブランド(註15)を活かし、産業、商業、住宅、大学等が強力にネットワーク化することで、地域がコミュニティを形成して人の交流(特に若者)を生み、新たな地域文化を育てて、次世代への進路を示していくことが重要である。あわせて、課題に挙げたエネルギー問題と災害対策に取り組んでいくことが、地域での連携(註16)を通して地域の人々に寄り添う地域社会づくりを進展させていくことになる。将来的には本地域がモデルケースとなって他地域へ横展開できるよう、地域コミュニティレベルで情報交換できる仕組みづくりができればと期待するところである。

  • 81191_011_32283057_1_1_地図_page-0001 地図:則武新町の範囲地図
    今回取り上げる地域は、則武新町3丁目である。
  • 81191_011_32283057_1_2_資料1_page-0001 資料1:「ノリタケの森」全体像
    ノリタケの歴史や事業、ノリタケの食器づくりから培った技術や商品を紹介する「ウェルカムセンター」(①)、明治から大正に作られたノリタケのディナーセット展示や食器への絵付け体験ができる「ミュージアム・クラフトセンター」(②)、陶芸や絵画、彫刻を楽しんでもらうための市民のスペースである「森のギャラリー」(③)、ノリタケ食器で味わう創作フレンチ「レストランキルン」(④)、テーブル雑貨やアウトレット品を取りそろえている「ライフスタイルショップ」(⑤)、ランチやデザートを楽しむ「カフェ」(⑥)、ベルサイユをイメージした「噴水広場」(⑦)、1933年に建てられた陶磁器専用のエントツ窯のあと「煙突広場」(⑧)、自然とふれあえる「ビオトープ」(⑨)など、敷地内に立地している。
    (筆者作成)
  • 81191_011_32283057_1_3_資料2_page-0001 資料2:域内各エリア(域内(則武新町3丁目)は「ノリタケの森タウン」と呼ばれている。)
    イオン(「イオンモールナゴヤノリタケガーデン」)(⑩)の館内には、撮影の名所となっているTSUTAYA書店(⑪)をはじめ、156にもおよぶ専門店が入店している。また館内にはBIZrium名古屋(オフィス棟)を併設して一般会社のオフィス(21社)と大学(名古屋外語大学)(⑫)が入居している。さらにイオンからのびる横断通路(⑬)の先には居住空間としてのマンション(「ザ・パークハウス 名古屋」)(⑭)が立地している。加えて「ノリタケの森」から歩いて数百mの場所にはトヨタ産業技術記念館(⑮)がある。
    (筆者作成)
  • 81191_011_32283057_1_4_画像(資料1より)_page-0001 画像1(資料1):ノリタケの森内各施設
    (資料1関連、全て筆者撮影(各撮影月日は図中に記載))
  • 81191_011_32283057_1_5_画像(資料2ー1)_page-0001 画像2(資料2-1):各エリア内施設等
    (資料2関連、全て筆者撮影(各撮影月日は図中に記載))
  • 81191_011_32283057_1_6_画像(資料2ー2)_page-0001 画像3(資料2-2):周辺地域、施設
    (資料2関連、筆者撮影等(各撮影月日は図中に記載))

参考文献

(註1)
会社名 株式会社ノリタケカンパニーリミテド(英名NORITAKE CO., LIMITED)
創立 1904(明治37)年1月1日(合名会社)
本社所在地 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36号
代表者 代表取締役社長 加藤 博
資本金 156億3,200万円
上場市場 東京証券取引所 プライム市場
名古屋証券取引所 プレミア市場
営業品目
工業機材事業 研削研磨工具など
セラミック・マテリアル事業 電子部材、セラミック原料、石膏製品、蛍光表示管など
エンジニアリング事業 焼成炉、濾過装置、混合装置、切断機、ロードカッターなど
食器事業 陶磁器製品など
従業員数 連結4,831名 (2023年3月末)
社是 良品、輸出、共栄
グループ会社 22社(連結対象子会社) 4社(持分法適用会社)

(註2)
株式会社ノリタケの森(2005年(平成17年)に設立)
代表者 代表取締役社長 渡邊 潤
資本金 4000万円
純利益 1024万4000円(2023年03月31日時点)
・2012年6月、名古屋市が以下の建造物を認定地域建造物資産として認定。
→赤レンガ建築(旧製土工場・旧陶磁器センター)・6本煙突(陶磁器焼成用トンネル窯煙突の跡)
・2018年12月、名古屋市が市民緑地認定制度※による「市民緑地」として認定される
・特にこの森は、通常の公園(公共の施設)のような非日常的な要素がありながら、自宅の庭の感覚でもあることが、より身近な場所として存在している。この森を中心に、この地域を構成する各エリアは互いにつながり、一定の状態を保っている。
・森の3つの特徴
(参考文献:卒業研究 小林哲『ノリタケの森 生まれた街にある公園、企業、そして文化』より)
第一、文化と、それを生み出した産業を同時に、身近に触れることが出来る
第二、都市における公園としての機能をもつ
第三、(株)ノリタケの社会貢献の企業姿勢がある
※市民緑地認定制度
都市部においては良好な都市環境の形成に不可欠な緑地・オープンスペースが不足している。その解消のための緑地の保全や創出、および空き地の有効活用などの取り組みを推進するため、市町村長から認定された設置管理計画に基づき、広場などを地域住民の利用に供する「市民緑地」として設置、管理する制度。

(註3)
名古屋都市計画地区計画の決定計画書
「 ノ リ タ ケ の 森 地 区 計 画 名 古 屋 市 決 定 」
https://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/cmsfiles/contents/0000010/10843/65_noritake_keikakusyo_20180401.pdf
「計画図」
https://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/cmsfiles/contents/0000010/10843/noritakenomori_ck_keikakuzu.pdf

(註4)
*各エリア*
「産業観光・業務エリア」・・・ノリタケの森、ノリタケ本社(⑯)
「商業エリア」・・・イオン(愛知県内総合売上1位)やオフィスの入った複合施設約59,000m² 
(商業施設)約37,000m²(BIZrium名古屋(オフィス及び大学))約22,000m²
 ・イオンモールノリタケガーデン https://nagoya-noritake-garden.aeonmall.com/
「住宅エリア」・・・19階建て分譲マンション(400戸以上)敷地面積 約 18,000 ㎡
 ・「ザ・パークハウス 名古屋」(三菱地所レジデンス、三菱商事都市開発、野村不動産(「ABINC 賞 集合住宅部門 優秀賞」))https://www.mec-r.com/news/2023/2023_0213.pdf

(註5)
コンパクトシティとして重要な考えは、今後の高齢化社会や人口減少を見据えて、持続可能な都市社会を作るために、住まい・交通・公共サービス・商業施設といった生活機能をコンパクトに集約して効率化した都市を目指すというものである。まず市民の皆さんに納得してもらってから政策を実現することが重要。そして一番大事なのは、市の総合力を上げることにある。今までに日本全体でも成功事例は極めて少ない状況である。

(註6)
この富山市の基本計画は、「公共交通の利便性の向上」、「賑わい拠点の創出」、「まちなか居住の推進」の3本柱を中心とした内容になっており、27の事業を概ね5年間で実施する計画となっている。平成19年2月8日には、国の第一号認定を受け、基本計画に掲載された事業を推進し、市民・事業者・行政が一体となって中心市街地の活性化の推進に取り組んだ。
富山市にみる自治体主導の連携による都市の基本計画に基づく働きかけが成功した要因であると思われる。

(註7)
富山市が平成11年に策定した「富山市中心市街地活性化基本計画」に基づいて、広域都心と生活都心の調 和する賑わい溢れる中心市街地の再生を目指し、平成12年7月に富山市を始め富山商工会議所、富山市中心地区に位置する商店街組合や 商業者を中心とする中小企業者などの出資による第三セクターとして設立。

(註8)
エリアマネジメントとは、住民・事業主・地権者等による自主的な取り組みで、地域における良好な環境や地域の価値を維持向上させるもので、自治体の財政難、人口の過疎化・過密化を加味できないのが現状であるため、主体が行政ではなく民間であるということである。
岐阜県高山市の成功の要因は、そのエリアに属する商店街の経営者自らが積極的に取り組みに参加して継続的に活動を実施したということである。経営者においてのランニングコストの確保が難しく続かないケースも多く見られる。

(註9)
「はばたく商店街30選」とは、革新的な製品開発やサービス創造、地域貢献・地域経済の活性化、海外での積極的な販路展開等による国際競争力強化、女性経営者を始めとした人材活用に取り組む、独自の技術・サービスで伸びる取組を行うなど様々な分野で活躍している中小企業・小規模事業者、地域の特性・ニーズを把握し創意工夫を凝らした取組により、地域コミュニティの担い手として商店街の活性化や地域の発展に貢献している商店街の取組事例である。
今回の高山の本町商店街の事例は、中小企業庁が2016に選定した「はばたく商店街30選」の一つ。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/monozukuri300sha/2017/12takayamahoncho.pdf

(註10)
・コンパクトシティでは、郊外に出ていった人を中心市街地に戻すために、いかに住民にとって住みやすい街づくりをおこなうかがキーポイントになり、単純に人を集めるための施設を作るだけでは、住みたいと思ってもらうことはできないことが失敗の一つである。
(参考:コンパクトシティとは?日本の成功例・失敗事例とメリット・デメリットを解説)
https://spaceshipearth.jp/compact_city/
・エリアマネジメントの活動を担う組織が直面する問題としては、①持続的な財源確保、②ステークホルダーの組織化、③組織と活動の維持・拡大、が指摘されている。
(経営学の視点に基づく 「エリアマネジメント」の予備的検討より)
https://www.musashino-u.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00003862.pdf&n=10_takahashi_tsumita.pdf

(註11)
入り口的な課題である、人口動員はマンションの建設によって(ノリタケの森周辺には何棟ものマンションがある)解決、経済面では観光客の増員もともなってノリタケの森の施設、イオンの専門店(イオン愛知県下売上1位)での増収につながっている。公共交通としても、エリア内にバス停ができていて、歩道も整備され他地域とつながれている。居住する市民の声も都市計画に反映されていることから、地域市民の合意も容易となっている(註3)。

(註12)
環境問題としてのエネルギーへの取り組みとして、ノリタケでは環境活動として太陽光を使った再エネに力を入れ、CO2削減を目指している。またイオンでは再エネをはじめ壁面・屋上緑化を実施し、併設マンションでも緑化や省エネを実施している。

(註13)
BCP(Business Continuity Plan)とは事業継続計画という意味。自然災害、人為的災害、パンデミック、サイバー攻撃など、多種多様なリスクに対応し、企業では事業継続していくための対策にあたる。今回では地域の持続可能な地域継続計画のこと。
*本年正月の能登半島の地震もあり、今後起こるであろう南海トラフを考慮して、被害を最小限にして、素早い復興を目指せる様に、平時での計画作成が重要である。特にライフラインに欠かせないエネルギー関係(註14)は最大限の考慮が必要である。

(註14)
1)マイクログリッド(小規模電力網)とは、エネルギー供給源と消費施設を一定の範囲でまとめて、エネルギーを地産地消する仕組みのこと。 エネルギーの供給には、太陽光や風力といった再生可能エネルギーなどの「分散型電源」が利用される。
・成功事例
浜松市マイクログリッド
https://www.cenergy.co.jp/information/2021/documents/press_2101.pdf
浜松市マイクログリッド予算
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/zaisek/budget/budget31/detail/d_106.html
2)コージェネとは、都市ガス等を燃料に需要サイトで発電し、排熱を利用する熱電併給設備のことである。
・コージェネ事例
https://www.jdhc.or.jp/article/%E4%B8%AD%E9%83%A8%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%A9%BA%E6%B8%AF%E5%B3%B6/

(註15)
実際に訪れている人にヒアリングしてみると、併設しているマンションの住民の方ではなく、近隣のお住まいのご家族の方であった。近くに森があることで、いつでも子供連れで遊ぶことができるため、週に一度は必ず利用(⑰)しているとのことであった。
このような森の効果が、併設するマンションの入居者の人気や、イオンへのお客の動員を増加させている要因であるといえる。また、愛知県観光ランキング、全体20位内には「ノリタケの森」(公園施設としては県下2位)とトヨタ産業技術記念館がランクインしている。都会の中にあって自然と触れ合える森の効果は絶大であるといえる。

(註16)
<地域との連携について>
近隣の商店街との連携やイオンとイベント(クリスマス、鯉のぼり)等を共同実施している。そのほか、ノリタケタウンまちづくり協議会(イオン、ノリタケ、マンション管理組合)で防災面などの管理に積極的に参加。また、ノリタケにおいて小学校からの受け入れも実施して、市の教育プログラムにも組み込まれている。


<参考文献等>
・(地図)Yahooマップより
https://map.yahoo.co.jp/address?ac=23104&az=NzM&lat=35.18260&lon=136.87417&zoom=15&maptype=basic
・『ノリタケ100』編集 ノリタケ100年史編纂委員会 発行 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 印刷 大日本印刷会社 平成26年11月第二印発行
・ノリタケの森 https://www.noritake.co.jp/mori/
・まちの価値を高める エリアマネジメント 編著者 小林重敬 一般社団法人森記念財団 発行所 株式会社学芸出版社 2021.01.20 第1版第3刷発行
・「富山市はなぜコンパクトシティを目指したか?」
http://www.thr.mlit.go.jp/compact-city/contents/suishinkenkyuukai/3/s1.pdf
・まちを読み解くー景観・歴史・地域づくりー 2017.10.15 編集者 西村幸夫、野澤康 株式会社 朝倉書店
・持続可能な地域のつくり方 未来を育む「人と経済の生態系」のデザイン 著作者 筧裕介 発行英治出版株式会社 2019.5.10
・ランドスケープ 1994.1.20 発行者 柴山和夫 発行所 理工図書(株)
・ランドスケープデザイン2 1994.10.10敷地造成・道路・広場 著作者 青島利浩 発行所 理工図書(株)
・日本の都市デザイン‘85~’95 1996.4.10 編者 都市環境デザイン会議 発行所 ㈱学芸出版社
・ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか 2017.3.20 著者村上敦 発行所㈱学芸出版社
・中西紹一・早川克美編『私たちのデザイン2 時間のデザイン ―経験に埋め込まれた構造を読み解く』(芸術教養シリーズ18)、藝術学舎、2014年
・川添善行著、早川克美編『私たちのデザイン3 空間にこめられた意思をたどる』
(芸術教養シリーズ19)、藝術学舎、2014年
・京都芸術大学通信教育課程芸術教養学科WEB卒業研究展
小林哲『ノリタケの森 生まれた街にある公園、企業、そして文化』
http://g.kyoto-art.ac.jp/reports/477/
・イオンノリタケガーデン パンフレット(館内案内)

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