岩元 宏輔(准教授)2024年3月卒業時の講評

年月 2024年3月
卒業研究のレポートを執筆された皆さま、大変お疲れさまでした。芸術教養学科における学びの集大成として「特定のデザイン・芸術活動やその成果としての地域の文化資産についての考察」を行い、「自身の問題関心に沿ったデザイン・芸術活動の報告書」として「文化資産評価報告書」を作成していただきました。各自の興味や関心から生まれた研究のプロセスは、決して簡単でない道のりであり、同時に自己発見の旅でもあったことでしょう。提出を終え、あらためて内容を振り返ってみると、初めに抱いた疑問や好奇心の変容や成長が見て取れるのではないでしょうか。

今回、私が担当させていただいたレポートの題材は、伝統工芸品などの職人による手仕事や文化財、特徴的な街並みや公園・エンターテイメント施設などの景観、地域のイベント・コミュニティのデザイン、食文化や音楽作品や企業活動、そして「星空のデザイン」など、大変幅広いものでした。

このような幅広いテーマにそれぞれが挑戦する中で、ご自身の周囲にある文化的な価値や美を、ご自身なりの視点で捉え直し、その重要性を再評価することができたのではないでしょうか。多くのレポートから、それぞれの研究対象に対する深い愛情と理解、そして研究を通じて地域社会や文化に貢献しようとする熱意が伝わってきました。

もちろん、どの研究にも改善の余地はありますが、卒業研究を書き上げたという事実、試行錯誤の積み重ね、そして「新たなものの見方・感じ方」を獲得した過程は、これからの皆さんの人生において、かけがえのない財産となるはずです。

最後に、芸術教養学科での学びが、これからの「暮らし」に豊かな彩りを加え、さらなる創造活動への一歩となることを心から願っています。皆さまのこれからの活躍を楽しみにしています。ご卒業、誠におめでとうございます!