加藤 志織(准教授)2019年9月卒業時の講評

年月 2019年10月
卒業研究に取り組まれた学生のみなさん、お疲れ様でした。本科目を担当している教員の加藤志織です。今回も読み応えのある興味深いレポートを提出していただきました。私自身も多くの気づきを得ることができたいへん勉強になります。

それでは、私が今期に採点と講評を担当した卒業研究に関して全体講評をおこないます。
ちなみに個別のレポートの査読結果(点数と講評)については、それぞれにお伝えすることになっているため、この場では、私が担当した卒業研究全体の感想を述べます。

毎回思うことですが、事例の選択や論じる視点については非常にユニークなレポートがあります。しかし、その独自性を客観的に論証できているものは残念なことに少ししかありません。
卒業研究は、比較的自由に事例や論点を選択・設定できますが、あくまでも課題で求められている条件にそって論述していただく必要があります。
特に重要なことは、事例の概要を紹介することではなく、未知の事実を自分自身で調査したり、既知の研究成果等を再検討することによって新知見を導き出したりすることです。ですが、こうした点が十分ではないレポートが散見されました。

卒業研究に許された文字量は3200字程度しかありませんので、取り上げる事例自体をかなり絞り込んでいただくことも重要となります。
また、論証に際しては具体例や数字等を出しながら客観的に説明していただくことも必要です。机上の空論とならないように、事実に基づいた考察が求められています。

最後に卒業研究の体裁について述べておきます。註の付け方や参考文献等の書き方に問題のあるレポートがありました。直接引用・関節引用にかかわらず、他者の論考を参考にした部分には註を付して典拠を正しく記載しましょう。

これまでに芸術教養学科で、みなさんには「デザイン思考」と「伝統を見るまなざし」を身に付けていただきました。これらの能力を卒業後も磨きながら、世界を自分の目で見て問題点を発見し、それを調査・分析していただければ幸いです。

みなさんの今後の活躍を心より願っています!