野村朋弘 (准教授:主任)2019年9月卒業時の講評

年月 2019年10月
卒業研究、お疲れ様でした。そして何よりご卒業おめでとうございます。
通信教育部での学修は、お仕事やご家庭の日々がある中、学びを実践されている方が多いと思います。そうした中で、この卒業までの124単位ないしは62単位を修められたことは、言葉では簡単に表せないご苦労があったと思います。
敬意を込めて、改めて言祝ぎ申し上げます。

さて。芸術教養学科では卒業論文や卒業制作ではなく、1つのレポート課題として卒業研究が課されています。他の論文や制作よりも単位数は少ないものの、大学を卒業するに際して学修の集大成としての研究レポートです。文字数が3200字という限られた中で、どう論ずるか。何を論ずるかを思案し、工夫してまとめていただきました。
レポートで取り上げられたものは、地域も取り上げたものも多種多様であり、大変興味深かったです。私は、専門分野である伝統・文化に関わるものを主として担当致しました。
伝統・文化の歴史を単になぞるだけでは、芸術教養学科の学びの集大成とはなりません。
どんな歴史的経緯があるかを理解するのは大前提として、今、遺されている地域の文化資産をどう未来に向けて伝えて行くか、活用するかを考えて頂くことが重要です。
そのために考察に沿った比較対象を選んで頂きます。何が秀でているのか、更には未来に向けてのヒントを得るためです。
毎年の講評文で書いていますが、対象とする文化資産を定め、文献や聞き取りの調査をしてから、何を評価するかを思案し纏める行為は、本学科で修得すべき「ものの見方・考え方」が凝縮されています。
それぞれのレポートで長所があり、またもう少し、踏み込んで調査・考察が出来ればより良いものとなった箇所もありました。個別の講評でそれらは指摘させて頂きました。参考にして下さい。
卒業された後も、芸術教養学科で学んだ視点を基に、新たな「知ること」を愉しんで下さい。
卒業生の皆さんのこれからのご活躍を祈念しております。