野村 朋弘(准教授:主任)2022年3月卒業時の講評

年月 2022年3月
2021年度の冬期に卒業研究をご提出された皆さま、お疲れ様でした。
今期、卒業が認定されたのは190名となります。昨年度が174名でしたので、更に多くの方がご卒業されることになりました。誠におめでとうございます。

新型コロナウイルスの勢いはいまだとどまるところを知らず、日本はもとより世界中で感染拡大が続いています。また世界情勢も不穏な空気が流れています。
そうした中で、卒業を目指された皆さんが、研究対象と真摯に相対し考察された成果が卒業研究です。こちらも居ずまいを正し、読ませていただきました。そして学ばせていただきました。ありがとうございました。

芸術大学、そして芸術教養学科という名称。絵筆やカッターを持つわけではなく、論文を書くわけでもない。ご入学される前には、どんな学びが待っているか、期待と不安が入り交じった思いがあったと思います。卒業される今、どんな想いがおありでしょうか。
幅広い教養を学びつつ「過去」そして「いま」を知り、更には未来に向けての眼差しを養うことを学科の目標としています。卒業研究で取り扱っていただいた地域の文化資産とは、その一事例に過ぎません。過ぎませんが、どのように学びを体現されているか。卒業後、どんな眼差しをご自身で養って欲しいか、講評・採点する側としても真摯に書かせていただきました。時には厳しいコメントをさせていただきましたが、学問の府として、厳密に勘案した結果とご理解下さい。卒業研究の獲得目標に到達したことに変わりはありません。

地域の文化資産を調査し考察することは、どのようなことを「問い」とすべきか、またどのようにまとめるか、クリティカルシンキングとアカデミックライティングの成果といってもよいでしょう。図書館の利用や調査がままならない場合も多々あったと思います。
何かを思考する際、どのように最善を尽くせばよいのか、またアウトプットはどのようにすれば他者に伝わるか。卒業研究で思案したことを、今後の生活でも活かしていただければと思います。
卒業生の皆さんのこれからのご活躍を祈念しております。