早川 克美(准教授:学科長)2016年10月卒業時の講評

年月 2016年10月
みなさん、ごきげんよう。
卒業研究のレポートの作成、おつかれさまでした。
提出された全員の方が合格され、卒業されます。おめでとうございます。

卒業研究は、みなさんの芸術教養学科で学んだこれまでの学習の成果です。
それぞれの方の視点が実に様々で、読み応えのあるレポートばかりでした。
今回は、海外在住の方もいらっしゃって、国際色豊かな卒業研究となり、旅をしているような気持ちで楽しく拝見しました。

レポートの評価が分かれたのはご自身の問題意識と対象への評価軸が明示されているかという点です。
せっかく丁寧に調べられたのに、調べたことのまとめで終わってしまっている方も少なからずいらっしゃいました。
評価が高かったレポートは、二次情報に頼らず、ご自身が直接現地で調査をされたり、適切な比較対照を試みたり、また評価手法および評価軸を明確に定義されていました。

また、ほとんどの方が、選ばれた対象への一定の距離をおいた客観的な考察には成功されていますが、批判的、反省的なまなざしで捉えていなかったことが気になりました。対象へのリスペクトは大切なことですが、一見、うまくいっているように見える事象に問題はないのか?どのような課題をクリアして今日があるのか、そんな視点も加味されると、よりよい伸長への提案になったことでしょう。

卒業生となられたみなさん、本当におつかれさまでした。みなさんが得られた学びはゆっくりと時間をかけてみなさんの中で熟成されて、様々な場面でみなさんを助けてくれることでしょう。一緒に学んだこの月日はみなさんの勝ち取られた財産です。これからのみなさんのご活躍を祈っております。