上村 博（教授）2018年3月卒業時の講評

卒業研究を振り返って
今年度も、みなさん実にいろんな興味深い事例をとりあげてくださいました。私が担当するのは行事や食が多いのですが、単に地域の珍しいものを紹介するということにとどまらないレポートがいくつもありました。
たとえば埼玉の稲荷ずしや千葉の太巻祭ずし、京都の新しい和菓子といった食文化について扱ったものは、その歴史的な発生や他の地域との関連性、さらには食事の機能性に目配りして、隠れた特質に光を当てることに成功しています。また名古屋の市街地や瀬戸内の島での芸術祭、スイスの伝統行事について取り上げたものでは、表面的な展示やイヴェントの背後にそれを支える運営の工夫が示されています。そのほかにも執筆者がそれぞれの視点で取材対象から豊かな意味を引き出してくださっていた例が多く、全体として大変良かったと思います。