所沢飛白勉強会の活動――所沢飛白再現のデザイン――
はじめに
埼玉県南西部に位置する所沢市では、かつて所沢飛白(かすり)(1)という銘柄の木綿の紺絣が生産されていた。昭和初期に生産が途絶えたこの絣の再現活動を行っているのが、所沢飛白勉強会(以下、勉強会)である。
染織保存の研究者の深津裕子は、「工芸技術は人から人へと着実に伝承されない限り途絶えるため、保存継承は容易ではない」と述べている(2)。本稿は、再現活動の手段として、失われた工芸技術の習得に挑む勉強会の手法に注目して評価し、勉強会の今後の展望について考察する。
1.基本情報および歴史的背景
1-1. 所沢飛白とは(資料1)
所沢飛白は、明治期から昭和初期の所沢市狭山丘陵(3)周辺の地場産業であった。堅牢で比較的安価であることから普段着に用いられ、主に東北・北陸地方に出荷された。コッパタヤと呼ばれる小規模機屋(はたや)を中心とした生産は、明治39(1906)年の記録では120万反に達し、所沢は伊予(愛媛県)・久留米(福岡県)と並ぶ絣の産地として知られていた(4)。
その後、様々な要因が重なったことで売上は下降線をたどり、昭和13(1938)年頃を最後に生産の幕を閉じ、技術の伝承は途絶えた(5)。
1-2 .勉強会誕生の背景と概要
勉強会代表の宮本八惠子氏(6)は、昭和58(1983)年より元機屋と織り子の計4名および地域の関係者から聞き取り調査を行い、所沢飛白に関する書籍を出版した(7)。平成元(1989)年には所沢市社会教育課の事業で、前述の4名による所沢飛白の復元作業が行われ、その工程は動画で記録された。
平成13(2001)年、宮本氏と染織家の小峰(田口)和子氏が中心となり、所沢飛白の工芸技術を習得し、技術とともに所沢飛白を後世に伝承することを目的として、再現活動が開始された。
勉強会は毎月第1日曜日に、当時の製作用具を展示・保管している所沢市山口民俗資料館(以下、資料館)(8)で活動している。
2.評価点
2-1.文化財・展示品との循環
勉強会は、所沢市の理解協力のもと、所沢市の有形民俗文化財である「所沢絣 附 製作用具一式」(9)を含む資料館の展示品をそのまま使用している。
資料館は一定の温度湿度での保存環境が用意されておらず、露出展示のため、劣化の恐れがある。 それに対して宮本氏は、実用に供し稼働させることによる長期間の動態保存を目指している(10)。勉強会が発足して23年になるが、修理をしながらも現在も大過なく稼働している。使用することでモノから用具へと再生し、かつての姿を蘇らせる生きた展示を実現している。
製作用具は展示品としてだけではなく、再現に活用され、活用されることで状態を保持しながら生きた展示となる。再現活動と製作用具が相互に作用しながら好循環を生んでいる点を評価する(11)(資料2)。
2-2.「イイ加減節(いいかげんぶし)」習得のデザイン
イイ加減節とは、元織り子が復元作業の際に頻繁に使っていた、所沢飛白製作の極意を表す言葉である。過ぎても足りなくてもいけない、ちょうどよい加減と按配を意味する方言である(12)。宮本氏は再現活動を始めた当初、記録にするのが難しい、イイ加減節にあたる経験知の情報の重要性を痛感したという(13)。
イイ加減節を習得するためには、実践を繰り返すことが必要であると結論づけた勉強会は、復元品の完成度へのこだわりを一旦捨て、所沢飛白の製作工程に重きを置き、糸づくりから始まる全ての工程(資料3)を、出来る限り当時と同じ環境下で行うこととした(14)。例えば、筬(おさ)の細かい目の間に糸を通す作業(表紙)で、ライトを当てれば糸を通す隙間が見えるようになり作業効率は上がるが、利便性のために現代のアイテムを取り入れることはしない。ひたすらに当時の用具で伝承者の技を繰り返す。そうすることで、元織り子が語った「糸から手に、手から記憶にと蘇る感覚(15)」を習得するのである。
勉強会の再現手法には、日常の時間から切り離された生産当時の時間が存在し、勉強会はその時間に入り込むことで、再現をより確かなものとしている。この時間のデザイン(16)によって、勉強会はイイ加減節と表現された技術の習得に近づきつつある(資料4)。
加えて、正しいプロセスと技術で製作した復元品は、結果として完成度の高いものとなるという(17)。勉強会の復元品と平成元(1989)年の伝承者の復元品は、資料館に展示されている。復元品は明治期のはぎれとともに、所沢飛白そのものの情報を鑑賞者に直接的に伝える役割を果たしている(資料1)。
3.特筆点 狭山遊糸会との比較から(資料5)
狭山遊糸会(以下、遊糸会)(18)は、所沢市に隣接する埼玉県狭山市で広瀬斜子織(ななこおり)の再現活動を行っている。広瀬斜子織は、所沢飛白と同様に生産の途絶えた織物であり、勉強会と遊糸会は可能な限り当時の用具を使用し、再現活動を行っている点が共通している。
3-1.伝承者からの情報の活用
広瀬斜子織は伝承者が存在せず、記録も少ないため、製作工程や技術を推測しなければならない(19)。遊糸会は、現存する広瀬斜子織の特徴をもつ絹織物(以下、原本)から逆算して素材・技術を柔軟に選択して復元品を製作し、復元品と原本との類似性を考察することで、製作工程や技術の情報を明確化することを目指している(20)。筆者は当初、工芸品の再現とは、遊糸会のように復元品の完成度が重要であると考えていた。
所沢飛白の再現の要となるのは、伝承者から得た情報である。聞き取り調査や動画記録は伝承者を失ってしまえば叶わなくなる。長年にわたり伝承者から直接得た多くの情報を記録し、整理してきた宮本氏の功績は大きい。
勉強会はこの情報を基に、前述の再現手法によって技術を習得することで復元品の完成度を上げる。情報を適切に活用し後世へ伝承する土台を築いている(21)。
3-2.所沢飛白を廻る新しい動向
遊糸会は将来的に「令和の斜子織」の製品化を目指している(22)。勉強会は所沢飛白の製品化は考えていないが、勉強会の活動とは別の視点からの動きがある。
勉強会のメンバーである佐藤京子氏(23)は、所沢飛白のデザイン的な美しさを見いだし、自身の事業の一環でインスパイア商品「tokori- トコリ」の企画制作、販売を行っている(資料6)。佐藤氏は所沢飛白の広報活動を兼ねて、所沢市内の店舗数件(24)や市内でのイベント(25)で商品を販売し、売り上げの一部を勉強会に寄付している(26)。
所沢飛白に対するアプローチにおいて、従来からの技術再現という長く続けてきた勉強会の活動に加え、所沢飛白の工芸技術や意匠のデザイン性を評価する動きの兆しがでている。
4.今後の展望と課題
技術習得の目的は達成に近づいている勉強会だが、今後会員の高齢化による後継者問題が危惧される。そのため、次世代へ伝承するための取り組みを開始する予定である。まずは周知活動として、今秋(令和6(2024)年秋)の予定で、復元品の展示と機織りの実演および機織り体験を、資料館にて開催することを計画中である(27)。
次に、所沢飛白の文化的要素に注目し、勉強会の活動を継続し、技術を伝承するための取り組みを提案する。
所沢飛白は、先人の知恵や工夫、ひとつの産業の栄枯盛衰、地域の地形や歴史、方言といった多角的な切り口で、世代を問わず狭山丘陵の地域文化を知ることができるツールである(資料7-1)。所沢飛白を知ることは、地域への理解を深めて、多様な価値観を育み、この地域固有の文化を後世に伝えたい想いを醸成するために有効であると考える。
①学校教育への導入
所沢飛白を題材とした授業を、市内教育機関で行うことを提案する(28)。
②高校生との協創
次世代、例えば地域高校生(29)との協創で、勉強会の今後を考える機会を設けることを提案する。外部者との対話により新しい価値認識を見いだすことで、技術を後世に伝承する道が見えてくるのではないか(30)(資料7-2)。
5.まとめとして
工芸品は形あるものだけで構成されていない。保存品・記録・映像でその文化の骨組みや見た目を知ることは出来るが、所沢飛白においては形ないもの、イイ加減節の経験知が血肉となって、再現はなされつつある。
途絶えてしまった工芸技術を、伝承者不在で復活させるのは困難の連続だったと推測する。手仕事の技術を習得し、伝承を目指す勉強会の活動に敬意を表するとともに、所沢飛白が地域固有の文化として愛され、後世に伝承されていくことを願う。
参考文献
【註】
(1)狭山丘陵一体で生産されていた紺絣は、旧多摩郡の村山地方(現東京都東村山市・東大和市・武蔵村山市・瑞穂町)が発祥であると言われている。村山地方で生産された「村山絣」は所沢市場で取引されたことにより、「村山絣」も「所沢絣」と称され取引された。
明治28年頃に村山地方と旧入間郡の山口地方(現埼玉県所沢市)との間で絣の柄行の棲み分けが始まり、「村山小柄で所沢大柄」と言われるようになる。明治30年代後期には大柄を生産していた山口地方の絣に「飛白」の文字が当てられるようになった。
「飛白」は中国の掠れ書体の「飛白(ひはく)体」に由来するといわれている。また、伝承者の1人である元機屋によると、「紺色の地に大きな柄がぽつぽつと飛んでいる様を表現したからだろう」とのことである。
宮本 八惠子「所沢飛白の再現を通してみるモノと身体技法とのかかわり」日本民具学会『民具研究』139号、2009年、 p.2-3
(2)深津 裕子「染織技術の記録・保護への取り組み―製織・製糸・縫製を中心に―」東京文化財研究所『無形文化遺産研究報告』4号、2017年、 p.57、東京文化財研究所刊行物リポジトリ
https://tobunken.repo.nii.ac.jp/records/3151 2024年7月9日最終閲覧
(3)武蔵野台地北西部に位置し、東京都西多摩郡瑞穂町・武蔵村山市・東大和市から埼玉県入間市・所沢市などにまたがる台地上に島状に孤立する丘陵。周囲約30km。台地との比高は40〜50m、標高は西部で約190mあり、北東に向かって低下し東部は90m前後で台地に移る。
狭山丘陵には南北に二つの谷があり、これらの谷の間の稜線が、埼玉県と東京都の境界とほぼ一致している。北側の埼玉県側の谷には山口貯水池(狭山湖)、南側の東京都側の谷には村山貯水池(多摩湖)の二つの人造湖があり、いずれも多摩川から引いた水を上水道用に貯水している。
「狭山丘陵」世界大百科事典、 2016年、JapanKnowledge世界大百科事典
https://japanknowledge.com/lib/display/?lid=102003034800 2024年7月10日最終閲覧
「狭山丘陵」日本歴史地名大系、2006年、JapanKnowledge日本歴史地名大系
https://japanknowledge.com/lib/display/?lid=30020130000004400 2024年7月10日最終閲覧
(4)所沢市史編さん委員会編『所沢市史 民俗』所沢市、1989年 p.92
(5)さいたま民俗文化研究所編『所沢-魅力・不思議発見「あんだかや」「あんだんべえ」』さいたま民俗文化研究所、2022年 p.286-287
(6)宮本 八惠子氏 略歴
所沢市文化財保護委員 専門は民具研究 狭山丘陵における民具研究第一人者
大学在学中生活文化研究会に所属し、機織り・着物の調査担当になったことがきっかけで所沢飛白に出逢う
所沢市主催冬季企画展「所沢の養蚕」関連講座「所沢の養蚕ーモノ語り・コト語り」講座内講師紹介(2024年2月17日開催)、宮本氏 聞き取り(2024年5月18日 対面)より
(7)宮本 八惠子『所沢飛白』自費出版、1986年
(8)山口民俗資料館
地域有志で結成された山口郷土民俗資料保存会により蒐集された、所沢市山口地区の家々に残されていた農具や生活用具、機織り用具、衣類などが展示されている。また、狭山丘陵の起伏に富んだ地形を確認できる山口地区の立体地形図や、山口貯水池(通称:狭山湖)の建設時の写真や、湖底に沈んだ勝楽寺地区の写真が展示されている。
開館時には保存会メンバーが常駐し、資料館スタッフと合わせて、来館者に展示品の解説を行っている。勉強会の活動も見学可能。
小山 裕「ごあいさつ~刊行にあたって~」山口民俗資料保存会『所沢市山口民俗資料館 民具写真解説集 山口の暮らしと民具』2023年 p.1
所在地:〒359-1145 埼玉県所沢市山口1529番地の10
開館日:第3土曜日と第1日曜日と第2・第4木曜日
開館時間:9:00~16:30
入館料:無料
『山口民俗資料館』所沢市 HP
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/shisetu/bunka/shiryokan/yamaguchiminzokushiryokan.html 2024年7月5日最終閲覧
(9)『有形民俗文化財 所沢絣 附 製作用具一式』所沢市 HP
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/iitokoro/enjoy/bunkakyoyo/bunkazai/shishiteibunkazai/yukeiminzokubunkazai/bunzai_20100421170250992.html 2024年7月5日最終閲覧
(10)宮本氏 聞き取り(2024年5月18日 対面)
(11)早川克美は、「個別の目的を明確に打ち出し、モノやコトに新しい価値や意味を与えるのが優れたデザイン」という。勉強会は、用具の状態保持および再現活動のため、実用に供することで展示品に新しい価値を与えている。
早川 克美著『私たちのデザイン1 デザインへのまなざし ―豊かに生きるための思考術』(芸術教養シリーズ17)、藝術学舎、2014年、p.24
(12)宮本氏 聞き取り(2023年12月30日 メール)
(13)宮本 八惠子「所沢飛白の再現を通してみるモノと身体技法とのかかわり」日本民具学会『民具研究』139号、2009年 p.6
(14)宮本 八惠子「再現で得られる民具の情報--所沢市山口民俗資料館・所沢絣勉強会の活動から」神奈川大学日本常民文化研究所『民具マンスリー』36巻、2003年、p.2
(15)「糸を触ると手から記憶に繋がって、当時の記憶が蘇り、身体が動く」と元織り子が語っていた。筬に糸を通す作業(表紙)では、筬とおしで筬羽をパチンパチンと弾く感覚で目を飛ばすことなく糸を通せるという。
宮本氏 聞き取り(2024年5月18日 対面)
(16)中西紹一によると、「時間のデザインとは本来連続した時間をあえて不連続なものとし、切り取られた特定の時間に特別な意味や価値を与えること」である。
勉強会は、上述のデザイン手法により、途絶えてしまった所沢飛白の文化全体を現代に復活させ、これを次代へ伝承していくことで、所沢飛白の抱えていた「「はじまりと終わり」の時間的な限界」の発展的な解消に挑んている。
中西 紹一・早川 克美編『私たちのデザイン2 時間のデザイン ―経験に埋め込まれた構造を読み解く』(芸術教養シリーズ18)、藝術学舎、2014年、p.22、p94
(17)宮本氏 聞き取り(2024年5月18日 対面)
(18)2014 年 2月に広瀬斜子織の再現活動を始めた市民グループ。毎月4回狭山市内で活動を行っている。
狭山遊糸会HP
https://saitama.holy.jp/sayamayushikai/ 2024年7月19日最終閲覧
(19)野本 照子「「広瀬斜子織」の再現技術」狭山遊糸会『狭山遊糸会「広瀬斜子織」再現研究報告会(令和5年度市民提案型協働事業)』、2024年、p.10、狭山遊糸会HP
https://saitama.holy.jp/sayamayushikai/img/houkokukaironbun.pdf 2024年7月19日最終閲覧
(20)野本前掲書、p.9 2024年7月19日最終閲覧
(21)紫牟田伸子が編集のポイントとして挙げる「切り口」「構造」「語り口」の視点からみた勉強会における所沢飛白の情報活用の流れは次のとおりである。
「切り口(再現の目的)」復元品の完全再現ではなく、イイ加減節の技術を明らかにし習得する。
「構造(再現手法)」なるべく当時の用具を使い、同じ環境下で再現する。宮本氏は復元作業の動画を作業の前日に確認する。動画での伝承者の発言も作業再現のヒントになる。当時の技術・身体操作を再現性高く習得し、結果、完成度の高い復元品を作成する。
「語り口(後世への伝承)」宮本氏が研究当初および行政が記録した記録映像で記し切れなかった「イイ加減節」を具体的な身体操作として言語化し、勉強会において次の文化伝承を進める。
紫牟田 伸子著、早川 克美編『私たちのデザイン4 編集学 ―つなげる思考・発見の技法』(芸術教養シリーズ20)、藝術学舎、2014年、p.76
(22)野本前掲書、p.10 2024年7月19日最終閲覧
(23)佐藤 京子氏 略歴
(有)ViA(ヴィア)代表
所沢織物インスパイア「tokori- トコリ」プロデュース/グラフィック・デザイナー/元大手印刷会社クリエイティブディレクター
佐藤 京子氏 Instagram
https://www.instagram.com/green_perilla/ 2024年7月10日最終閲覧
(24)「tokori- トコリ」販売店のうちのひとつである「所沢市観光情報・物産館 YOT-TOKO(よっとこ)」は、所沢市の特産物や観光情報を紹介する複合施設である。カフェを併設し、イベント広場では定期的にマルシェを開催している。
YOT-TOKO HP
https://yot-toko.jp/ 2024年7月19日最終閲覧
(25)所沢市にある国登録有形文化財「秋田家住宅」特別公開(年数回)での出店、市内開催のイベント「暮らすトコロマーケット」への出店など。
『秋田家住宅店舗兼主屋・土蔵・離れ・門及び塀』所沢市 HP
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/iitokoro/enjoy/bunkakyoyo/bunkazai/kunitourokubunkazai/kunitouroku2016akitake.html 2024年7月9日最終閲覧
「暮らすトコロマーケット」
かつて所沢には「三八の市」と称する市場が開かれ、近隣地域の物産の集散地として賑わいをみせていた。「現代の解釈でキュレーションした三八の市」として再興を目指し、2015年より開催された。実行委員会の選定によりマーケットのテーマ、カラーに合致した作家、ショップへの声掛けで出展が決定し、一般公募は行っていない。
暮らすトコロマーケット HP
https://www.kuratoko.com/ 2024年7月10日最終閲覧
(26)「tokori」商品カードおよび、佐藤氏 聞き取り(2024年2月17日 メール)
(27)通常は折りたたんで展示されている復元品を、広げて全長を鑑賞できるように展示する。2024年5月5日から織りを始めた井桁柄は、機織り時の柄合わせが比較的簡単なため、機織り体験が可能になった。
宮本氏 聞き取り(2024年5月18日 対面)
(28)一例をあげると、狭山丘陵に位置する山口貯水池(通称:狭山湖)は、所沢飛白の消滅と大きな関わりがある。この貯水池は市民の身近な存在であることから、児童・生徒は興味を持って学ぶことができると考える。
『市民みんなの憩いの場 狭山湖』 所沢市 HP
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/iitokoro/enjoy/kids/hibari/reportmeisyo/sayamako.html 2024年7月11日最終閲覧
(29)山口民俗資料館と同じ所沢市山口地区に位置する埼玉県立所沢高等学校は、生徒の自主自立を特色とした明治31年創立の公立高校である。同校の「インターアクトクラブ(資料7-1)」は地域奉仕と国際交流の二つを軸として活動をしている。トトロの森の保全活動、柳瀬川の清掃、イタリアジェノバの高校との交流などを行う。「マイプロジェクト」では、2020年10月に洋菓子製造大手の不二家と地域の特産品狭山茶でスイーツを共同開発し商品化した。
『学校案内 概要』 埼玉県立所沢高等学校 HP
https://tokorozawa-h.spec.ed.jp/page_20220929034119 2024年7月10日最終閲覧
神谷 一彦「[配布資料]高校生を地域て活かす!」『第4回 マチごとゼロカーボン市民会議』所沢市HP
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kurashi/seikatukankyo/kankyo/shiminkaigi/climate-assembly_dai4-.files/dai4_06_kamiya.pdf 2024年7月10日最終閲覧
『埼玉・所沢高校と不二家 「狭山茶スイーツ」共同開発』2020年10月1日 日本経済新聞-ニュース・速報 最新情報
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64490230R01C20A0L72000/ 2024年7月13日最終閲覧
(30)安斎勇樹は、「異なる価値観をもった人たちが対話を重ね、葛藤を乗り越えながらも共同で何かを生み出そうとすることで、それまでに見えていなかった問題がみつかったり、新しい解決策のアイデアが創発する」と述べている。
早川 克美編、安斎 勇樹著『私たちのデザイン5 協創の場のデザイン―ワークショップで企業と地域が変わる』(芸術教養シリーズ21)、藝術学舎、2014年、p.19
【参考文献】
・宮本 八惠子『所沢飛白』自費出版、1986年
・宮本 八惠子「ひろば 実践で得られる民具の情報--所沢絣復元作業の絣縛りを例に」日本民具学会『民具研究』127号、2003年
・宮本 八惠子「糸機仕事と「はたらく棒」」 神奈川大学 国際常民文化研究機構『国際常民文化研究叢書』14巻、2021年、神奈川大学学術機関リポジトリ
https://kanagawa-u.repo.nii.ac.jp/records/14151 2024年7月9日最終閲覧
・所沢市教育委員会文化財保護課編『飛行機・繭玉 織り出す絣 -所沢飛白復元-』所沢市教育委員会文化財保護課、2001年
・田口 和子「ひろば 暮らしの中のはたおりを再現する--むいむいはたおり教室の活動から」日本民具学会『民具研究』127号、2003年
・大薮 裕子「第124回日本民具学会研究会 報告 所沢飛白製作の再現を通して知る身体技法とモノとの関わり」日本民具学会『民具研究』139号、2009年
・田村 善次郎、宮本 八惠子、野上 彰子、須藤 護「IV 印刷教材の製作(学術の記録と映像記録-学部教育教材「博物館学芸員の仕事」,学部教育教材 博物館学芸員の仕事-民俗編-)」放送教育開発センター『放送教育開発センター研究報告』第88号、1996年、放送大学機関リポジトリ
https://ouj.repo.nii.ac.jp/records/4891 2024年7月10日最終閲覧
・飯島 利一、小川 澄人、笠原 卓巳、鈴木 聡史「学校博物館の資料映像の制作と教材化の研究―國學院高等学校 日本文 化史資料感を例として―」東京私立中学高等学校協会東京私学教育研究所『東京私学教育研究所紀要』第64集、2016年、国学院高等学校 HP
https://www.kokugakuin.ed.jp/contents/wp-content/uploads/2023/09/5cc43cc85f220068d97a0c22f6fdb9bd.pdf 2024年7月10日
最終閲覧
・『東大和市立郷土博物館』東大和市HP
https://www.city.higashiyamato.lg.jp/bunkasports/museum/index.html 2024年7月22最終閲覧
・『第五回内国勧業博覧会受賞名鑑』受賞名鑑出版部、1903年、P108、国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/801989 2024年7月2日最終閲覧
・新井 正裕編『続三ヶ島地方の方言』御幸印刷株式会社、1992年
・久保田 晃弘、藤井 浩美『異分野コラボレーション ― 視点の交錯から創造へ』 ジャストシステム 、1995年
・丸田 健「民藝は、いま何を与えるか」奈良大学『奈良大学紀要』第51号、2023年、奈良大学リポジトリ
https://nara-u.repo.nii.ac.jp/records/723 2024年7月10日最終閲覧
・『飛行機模様の絣「所沢(ところざわ)飛白(がすり)」』所沢市立図書館 HP
https://www.tokorozawa-library.jp/contents/history/history_kasuri.html 2024年7月9日最終閲覧
・平岡 明子『所沢飛白の復元活動ー技術伝承への道のりー』京都芸術大学芸術教養演習1レポート、2023年度冬期
【取材協力】
・所沢市教育委員会 文化財保護課 2024年2月14日 メール
≪所沢飛白勉強会≫
・宮本 八惠子氏 2023年12月30日 メール、2024年5月18日 対面 場所:山口民俗資料館
・佐藤 京子氏 2024年2月17日 メール
・所沢飛白勉強会の皆様 2024年1月7日~7月7日 対面 場所:山口民俗資料館(毎月の活動日の見学参加時)
≪狭山遊糸会≫
・野本 照⼦⽒ 2024年7⽉3⽇ メール