野村朋弘 (准教授:主任)2021年3月卒業時の講評

年月 2021年3月
卒業研究を取り組まれた皆様、お疲れ様でした。そしてご卒業おめでとうございます。今季は174名を送り出すこととなりました。
コロナ禍の中でも、学科最多となる卒業研究のご提出があり、大変嬉しく思っています。芸術教養学科の卒業研究の課題は「地域の文化資産評価報告書を作成すること」となっています。私は歴史的な伝統・文化ついて、横地先生とともに担当させて頂きました。
多岐にわたるテーマがあり、かつまた、コロナ禍で聞き取り調査やフィールドワークが困難だったのではと思いますが丹念に調べられたものも多々みられ、大いに勉強させて頂きました。ありがとうございます。
100年に1度の世界的パンデミックの中、改めて地域の文化や伝統は価値が問われています。「長らく続いてきたから大切」なのではなく、「そもそも継続すべきなのか」という問いに対して地域の人々がどう考えて、維持・継承されているのか。歴史とともに「今」が問われているといえるでしょう。

そうした中で毎年、この講評文でお伝えしていることですが、気になることがありました。課題の報告書作成に際して、明記するポイントの1つである「国内外の他の同様の事例に比べて何が特筆されるのか」です。地域が近い、分類として似ている。それよりも優れている。というような単純なものではなく、主題の「問い」をよりクリアにするために比較考察は存在します。
自身が取り上げる事例を相対化して考察するために必要不可欠なものです。今年度もまた「挿絵」のように提示されているものもありました。気になった点は個別の講評で指摘させていただきました。参考にして下さい。

コロナ禍で更に、先が読めない時代なのかも知れません。だからこそ「学ぶ自分」を創った卒業生の皆さんは、強く、より豊かに生きていけると思いますし、そうあって欲しいと願っています。芸術教養学科卒業という一つのゴールに辿り着いた達成感を存分に味わって頂きつつ、また次の目標を見つけて進んでいって下さい。
卒業される皆様のご活躍を祈念しております。