野村朋弘 (准教授:主任)2018年9月卒業時の講評

年月 2018年10月
今季卒業研究に取り組まれた皆様、お疲れ様でした。ご卒業おめでとうございます。
今年度の秋季は36名の皆様を、送り出すことと相成ります。
本学科での卒業研究では、3200字程度の文化資産評価報告書をまとめて頂いています。地域の文化資産をどう評価するか、物事を俯瞰する眼を在学中に養って頂きました。その集大成となります。
私は例年通り、文化・伝統に関わるレポートを中心に読ませて頂きました。
それぞれ興味深いテーマであり、私自身が学びとなりました。ありがとうございます。

毎年、書いていることですが、文化には必ず歴史があります。
その歴史を踏まえて、未来に向けてどう維持・継承していくのか。本学科では過去だけではなく未来に向けて文化資産を見つめていくことを目指しています。
そのための評価報告書となります。

素晴らしいレポートも多くありましたが、反面、何を評価するのか本人の中で自明のため、説明していなかったり、不明瞭だったものも見られました。
考察対象が素晴らしいと思われていることは、よく分かるのですが説明するための詞がもっとあると良かったと思うものです。他者に自身の意を正確に伝えることは、とても難しいことです。本学科で学んだことを活かして、伝える努力を怠らないで下さい。

在学中、デザイン思考ではアウトプットの作法、文化伝統では文献やフィールドワークなど調査についての作法を学んでいただきました。それらのスキルによって物事を俯瞰し、ものの見方を変える眼差しを養って頂いたと思います。ものごとを相対化して見る・考えるといってもよいでしょう。
これは文化資産だけではなく、社会においても、自らが属する文化・コミュニティ以外に対しても敬意を持つことにつながります。
何事も知ることから始まります。知ることを愉しんで下さい。

卒業される皆様のご活躍を祈念しております。