下村 泰史 (准教授)2017年9月卒業時の講評

年月 2017年10月
秋季卒業生のみなさま、卒業研究レポートお疲れさまでした。

私下村が担当したのは4件。それぞれテーマもアプローチも異なるもので、バラエティに富んでいました。

順応的管理による河川・橋梁整備に関するもの、ダムの景観性と観光利用に関するもの、インドの伝統的な舞踊芸術とその社会的な位置付けの変容を扱ったもの、神社境内地での新しい市についてのもの。「芸術教養」の枠組みのなかで、これだけのテーマ的な広がりを語ることができるというのは、豊かなことだと思います。

やはり説得力があるのは、対象に実際に触れ、その構成と細部とを過不足なく描出できているものです。どのように対象を見つめているのか、それが伝わってくることが、まず大事なのです。この点は、デッサンなどと同じ。研究も作品なのです。きちんと対象を描出できている人は、対象について分析・考察する視点もきちんと持てていることが多いように思いました。3200字という字数は、一般論で埋めてしまうことだってできます。しかしそれに終わらないよう、自分自身の目でたしかめ、見解を提示することに挑んでいただきたいと思います。このことが、卒業後の道においても活きるよう、願っています。