Harmony project(舞踊・芸術プロジェクト)と、プロジェクトの作品:“瀬織津姫の復活”から考えるこれからの舞踊と芸術の世界。

津田 真実

拠点地:メキシコ、モンテレイ
プロジェクトの規模:プロジェクトの内容によるが、約13~14人

1.舞踊、バレエの基本データと歴史的背景、Harmony Projectの概要
2.事例のどんな点について積極的に評価しているのか
3.国内外の他の同様の事例と比較して何が特筆されるのか
4.今後の展望について
5.舞踊、芸術の世界の今後の課題
6.まとめ

1:舞踊、バレエの基本データと歴史的背景、Harmony Projectの概要
舞踊には、様々なジャンルがある。日本舞踊、盆踊り、クラシックバレエ、コンテンポラリーダンス、モダンバレエ、ジャズ、ヒップホップダンス、ブレイクダンス。。。。などなど本当に沢山の種類の舞踊(おどり、ダンス)がこの世には存在する。その舞踊の世界でもっともと言ってもよい古さがあるといわれるものは、アメノウズメノミコトがスサノオの悪事から岩戸に隠れてしまった天照大御神を連れ出すために、披露したのが最初の最古の舞踊であるといえる。この舞踊は祭事としての舞踊であったといえるのではなかろうか。もちろん、歴史には諸説ある。が、、、、Harmony projectのバレエ作品:瀬織津姫の復活でも取り上げられているある古文書では、実は日本が最古の文明を持っていたのではないかという話があるのだ。そこから考えると、もしのもしかすると、アメノウズメノミコトの祭事としての舞踊が世界で最古に近いものと言われるものになるかもしれない。
これまで沢山の民族がそれぞれの地域で、雨ごいや、穀物の豊作を願って踊って神々にお願いをするというように、舞踊を祭事として行ってきた。祭事としての舞踊がエンターテインメントとして後々認識されるようになっていくのである。
労働や戦闘中の士気を高めるため、結婚や通過儀礼を祝うため、宮廷で王様を楽しませるためといった際に、舞踊はされるようになっていったのである。“祭事“ではなく“仕事”としての役割を担うようになったのだ。舞踊は“職業”であり、お金を稼ぐ手段のひとつになり、現在では、ダンサーは「アーティスト」としても認識されているのである。
バレエは14世紀ごろにイタリアで宮廷の宴会や余興のためのものとして生まれたが、16世紀にフランスへと伝わり、初めてのバレエ作品が生まれた。その後バレエはロシアへと伝わり大きな変化を遂げていくのである。そこで“白鳥の湖”や“眠りの森の美女”など多くの有名な古典作品が作られたのである。
その後エンターテインメントを兼ねた”芸術”という文化的な意味合いを持つようになっていった。日本では、出雲阿国から始まったかぶき踊りがはじめのエンターテインメントとしての舞踊と言える。

クラシックもその他の多くの舞踊も、“古典“という作品らを大切にしていて、古典の作品を後世に伝えて存在している。もちろん古典という形を残しながら、新しいものを創るという動きもあり、私が立ち上げた舞踊・芸術プロジェクト:Harmony projectもその古い良いものと新しいものを合わせるとい活動を目指している。

Harmony projectは2019年にプロバレエダンサー:津田真実によって立ち上げられた芸術(舞踊)プロジェクトである。芸術の新しい形、世界を求めて兵庫県芦屋市ルナホールにて開催された“彩・輝・踊”という公演をきっかけに活動が始まった。
舞踊というジャンルだけではなく、他の芸術アーティストらともコラボレーションをして、皆で素晴らしい世界を創り出し、芸術の力で人々の魂をつなげ、この世界に“愛と光と平和を、、、”というのがこのプロジェクトのモットーであり、目指すところである。

Harmony project
2019年にプロバレエダンサー:津田真実によって立ち上げられる。
現在はメキシコ、モンテレイを拠点とし活動を進めている。
津田真実:Harmony projectの芸術監督兼ダンサー。Ballet de Monterrey契約ダンサー

2:事例のどんな点について積極的に評価しているのか
Harmony project初の公演で披露された作品“Escensia”は、バレエ、ステンドグラス、絵画、チェロのコラボ作品で、人間が人生で体験していく感情と自然現象を照らし合わせた作品である。この作品は、2020年にメキシコ、ヌエボ・レオン州の文化庁Conarteのコンテストで入賞し、2021年にはHermanos San Juanという教会にてボランティア公演。2022年には、メキシコシティにてTeatro Varsoviaでの満員御礼となった公演が開催された。
2023年7月には、“瀬織津姫の復活”という日本の歴史・神話をバレエ化した作品を発表。日本伝統音楽を使用した歴史から隠された女神達のお話である。今この時代に生きる私たちにとても大切なメッセージが込められている。
また、この作品は東北部日墨協会とConarte(ヌエボ・レオン州の文化庁)との共催となり、ヌエボ・レオン州のEl Norteという新聞社や多数のラジオ番組にも取り上げられた。今年2024年には、同じく東北部日墨協会とConarteとの共催、そして日本国際基金からの援助も受けた。

3:国内外の他の同様の事例と比較して何が特筆されるのか : “瀬織津姫の復活”の特筆点
この作品は、古事記と隠された古文書を合わせた、もしかしたら本当かもしれない歴史、、、というストーリだ。この作品のテーマは、風の時代に突入したこの世界に瀬織津姫の復活が、私たちが思い出すべき過去、そしてその過去から生み出すことが出来る“未来“についてのメッセージが込められている。また、今世界で注目されている”縄文文化“、縄文の精神、古日本の精神についても触れている。
沢山の新しいバレエ作品、舞踊作品はこれまで創られてきているが、日本神話、歴史をもとにした長編バレエはあまりない。少なくとも私が得ることができる情報の中にはまだなかった。また、ただ神話、歴史をバレエ化するのではなく、そこにこれからの私たちが思い出すべき、古日本からの大切なメッセージを込めているバレエは少ないのではないであろうか。
舞踊が祭事であったという歴史にもつながり、また日本の歴史ではなく世界の歴史にも繋がるストーリ展開で、世界は実は一つであったという、世界の人々に向けられた大切なメッセージが入っている全く新しい形の作品である。

4:Harmony projectの今後の展望とこれからの舞踊の展望
舞踊にはまだまだあらゆる可能性があると考えられる。舞踊を通して人々に氣づきをもたらすことが出来る。
それぞれ人によって氣づきを得ることができる対象は違うが、“舞踊“という言葉がない芸術の世界をとおして、人々は自身の感性を使い、人間が昔持っていたと言われているテレパシーのような能力を使う事ができるのではないであろうか。
エンターテインメントとしての舞踊もありだが、エンターテインメントとしてだけではなく、舞踊が祭事という起源をもつということを思い出すことにより、人々の心により高い可能性で感動やメッセージ、そして“氣づき”を届けることができる作品をこれからもっと創ることができるし、それは必要となってくるであろう。

人々の幸せ、この世界がより良い世界になることを願って舞踊を広めていくという気持ちを私達アーティストが氣づけば、その芸術を受け取る側にも、その氣持ちはきっと伝わるのだ。
このように“氣もち”が伝染することによって人々、そして世界をよりよい方向へ導いていくことが出来るのではという展望が舞踊にはあるのである。

5:舞踊、芸術の世界の今後の課題
さて、今まで述べたように舞踊や芸術の世界は多大なる可能性をまだまだ秘めている。しかし、課題もある。
どのようなものがあるかというと、それは私が今自身のプロジェクトを通してとてもよくわかるのだが、国の機関や企業、団体から活動するために支援を受ける事はとても難しい。
特に国の機関は個人の活動支援を受け入れていない場合が多いので、どこかの団体のバックアップが必要となってくるのだ。
企業や個人からの支援も海外、特にヨーロッパ諸国や米国に比べると圧倒的に少ないといえるであろう。どこかで、ヨーロッパ諸国や米国では芸術をに投資するのはある種のステータスであり、もちろん簡単にその支援を受ける事ができるわけではないが、幅は日本より多い。
文化庁委託事業の「諸外国の文化予算に関する調査、報告書」からは、データは少し古いが、国がどれだけ文化に予算をだしていないかが分かるのである。

6:まとめ
これからの舞踊の世界は、これまでのきらびやかな世界だけでなく、古典というスタイルを残しながらも、今私たちが氣づくべきメッセージをこめた作品が必要とされていると考える。新しい地球、風の時代を進んでいくには、私たち人間は“愛と光と平和”に氣づく必要があるのである。舞踊、そして芸術にはその力があるのである。
私たちアーティストにはその使命が宇宙から託されているような氣がしてならない。全てのアーティストが力を合わせてこの世界をよい方向へと変えていける事を目標とするべきなのではないであろうか。

  • 292542_1 添付写真1は今年度2024年”El Regreso de Seoritsuhime/瀬織津姫の復活”公演時のメキシコ、ヌエボレオン州モンテレイの文化庁Conarteが制作したポスター。
  • 292544_1 添付写真2 今年度2024年6月15日の公演時にVeronina Guzman によって撮影された写真。
    宇宙開闢
  • 292545_1 添付写真3 今年度2024年6月15日の公演時にVeronina Guzman によって撮影された写真。
    アマテラスとスサノオのうけい
  • 292546_1 添付写真4 今年度2024年6月15日の公演時にVeronina Guzman によって撮影された写真。
    女神達(瀬織津姫)とツクヨミの氏族
  • 292587_1 添付写真5 今年度2024年6月15日の公演時にVeronina Guzman によって撮影された写真。
    縄文人の踊り

参考文献

*【エンタメール】日本舞踊の歴史とその魅力より アメノウズメノミコト
*『古事記』(岩波文庫) 倉野 憲司 (著)
*Youtuber : Toland vlogより正統竹内文書、瀬織津姫
*『正統「竹内文書」の謎』 竹内睦泰 (著)
*『瀬織津姫物語: 縄文の女神が復活する』山水 治夫 (著)
*山水治夫さん本人ともメッセンジャーで直接瀬織津姫についてお話。
*「芸術のパトロンやスポンサーに関する考察」安田 睦子 1998-03
*「諸外国の文化予算に関する調査、報告書」 平成 24 年度 文化庁委託事業
諸外国の文化政策に関する調査研究(平成 28 年度一部改訂)

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