
東京ワイナリーがデザインするワインづくりとぶどう畑の未来
はじめに
近年、日本には小規模ワイナリーが数多く誕生している(1)。東京にも、住宅地や商業エリアに醸造所を構える都市型ワイナリー(2)があり、訪ねてみると、立地の珍しさだけでなく、それぞれがユニークな取り組みを行っていることがわかる。
本稿では、東京初のワイナリーとして2014年に練馬区に開設された「東京ワイナリー(3)」を取り上げ、ワインづくり(4)のデザインを評価し、ワイナリーとぶどう畑の未来を展望する。
1.基本データと歴史的背景
西武池袋線大泉学園駅から徒歩10分ほどの住宅地に東京ワイナリーはある。新聞配達所だった場所を改装して作った、とても小さな醸造所だ。ここを開設した越後屋美和は大学の農学部を卒業後に大田市場で野菜の仲卸として働いた経験から、東京でも美味しい野菜ができることを知り、小さくても自分の想いを発信するワイナリーを、あえて東京に作ろうと考えた。周囲からは「東京でワイナリーなんて絶対無理」と言われたが(5)、調べてみると、果実酒製造免許の取得やぶどうの調達など、ワイナリー開設に必要なことは、難しくはあるが不可能ではないことがわかり、事業を立ち上げ、クラウドファンディングで資金も調達した。美味しい野菜ができる土壌ならば良質のぶどうもできるのではと考え、2016年には都内で農家と一緒にワイン用品種(6)のぶどう栽培を始めた(7)。2018年には練馬区・区内の農家・飲食店・NPO法人とタッグを組み、練馬を食農文化のまちとしてアピールする「ねりまワインプロジェクト(以降NWP)(8)」が始動し、NWPに賛同し一緒にワインづくりをする「ねりまワインファームメイト(以降NWF)(9)」の募集を開始した。
区との事業終了後もプロジェクトは継続し、現在、区内の6つの畑で数種類のぶどうを育て、畑のぶどう混醸(10)の「ねりまワイン」を年間約1,600本作っている(11)。その他に、日本各地の契約栽培ぶどうで約7,000本(12)、さらに、他所からの委託醸造も受け入れている(13)。
2.積極的に評価している点
ワインづくりのデザインを評価する。
2-1.普段の食事に合わせる優しいワイン
東京ワイナリーのワインは、味わいも価格も優しい。農業や野菜・果物に詳しくても醸造未経験であった越後屋は、広島と山梨でぶどう栽培とワイン醸造学の基礎を学び、試行錯誤しながら自分のスタイルを探り続けてきたが、北海道10R(トアール)(14)でワイナリーと自然との共生を学んだことで、より自然なワイン造りを目指すようになった。ぶどうの素のままの味わいを出すために野生酵母(15)で発酵させ、亜硫酸も少量に抑え、繊細な香りや旨味をいかすために無清澄・無濾過を基本としている。にごりを残しているためコンクールには不向きだが、賞よりも、地域の人に還元し、東京の美味しい野菜や、鍋・おでんなど普段の食事に合わせて飲んでもらいたいと考えている(16)。そのため、価格も普段飲みとして無理のない範囲に抑える方針だ(17)。店舗では、一部のワインの量り売りも行っていて、ボトルを持参すると少量から買うことができる。
2-2.みんなでつくるワイン
飲み手がワインづくりに参加できることも評価点である。NWPでは、ぶどう栽培・醸造のボランティア体験ができる。人手が足りない収穫時期にはNWF以外にもSNSで幅広く募集をかけ、小さな醸造所の中は、畑から運んだぶどうと人でいっぱいになる。より本格的に栽培を学びたい人向けには、「栽培くらぶ(18)」があり、年間を通してメンバー皆で畑の作業を行う。メンバーは地元住民が多いが、区外から通う人もいる。参加の動機は、ワイン造りへの職業上または個人的な興味の他に、畑や庭いじりが好き、畑の近所に住んでいて気になっていた、と言う人もいる。地元でぶどうやワインをつくる面白さ、練馬の農を守りたい、など、地域への想いを語る人もいる。参加して良かったこととして誰もが語るのは、栽培を学べるだけでなく、多様な人との出会いや交流があることだ。夏の炎天下や寒い冬の作業は辛いが、自然に触れ合うのは気持ちがよく、皆で一緒に手を動かし何度も顔を合わせるうちに仲良くなるという(19)。
栽培から醸造までみんなでつくる「ねりまワイン」は、ラベルも皆で作っている。毎年デザインを公募し、NWFによる投票と事務局の最終審査で決まり、翌年春のリリース時にはお披露目イベントが行われる(20)。
3.比較からみる東京ワイナリーの特筆点
東京には他にもユニークな取り組みで飲み手を惹きつけているワイナリーがある。JR山手線 御徒町駅にほど近い葡蔵人(21)もその一つだ。通りに面したビルの1階が醸造所で、近県の契約農家から収穫したぶどうを運び、醸造を行う。ワインのラベルは、ペアリングにおすすめの食材やシーンがモチーフとなっていて、ワインの楽しみ方の提案が詰まっている。東京ワイナリーと同様に量り売りも行っている(22)。醸造責任者・須合美智子と話す会、他所の醸造家を招く会、などの食事会を定期的に開催しているほか、「あなたも醸造家(23)」という醸造体験の企画もある。
このように、飲み手との距離が近く、交流やイベントが活発に行われていることは東京ワイナリーとも共通している。しかし、ぶどう畑からは距離があるため、ワインが畑と繋がる農であること、厳しい自然の中で生まれた自然の恵みであることが飲み手には感じづらい(24)。東京ワイナリーは、ワインが農であることを明確に示し、飲み手がワイナリーだけでなくぶどう畑とも繋がることができる点が特筆される。ワイナリーのファンともいえるNWFや栽培くらぶをワインづくりに巻き込むことで、ワイナリーにとっては人手不足の解消にも繋がり、地域にとっては地元産業の振興という効果ももたらしている。また、越後屋は、たくさんの人の手が加わることで、ワインの味により複雑味が出ると考えている(25)。
4.今後の展望―ワイナリーとぶどう畑の未来
東京23区の中でも農地が多い地域(26)に立地することは東京ワイナリーの優位点だが、都市農業ならではの苦労もある。区内に分散している小さな畑は住宅に囲まれているため、早朝の作業音は近所迷惑になりかねない。相続など貸主側の事情が発生すると、借りているぶどう畑の返還を迫られることもある(27)。都市農業の宿命だと越後屋は言う。こうした状況にも関わらず、ワイナリーでは年間約1,600本作っている練馬ぶどう100%の「ねりまワイン」を将来もっと増やしたいと考えている(28)。大田市場の時の農家との繋がりもあり今の畑やぶどうを確保できているが、実現するには、さらなる確保が必要である。
都市の農地に関わる制度はというと、都市農業振興基本法(2015年制定)(29)、生産緑地法(2017年改正)(30)、都市農地貸借法(2018年制定)(31)により、所有者が安心して農地を維持でき、都市の農地が活用される方向に向いてきてはいるが、借主側が安心して農業を続けるには不十分である。都市の農地でぶどうを安定的に育てるためには、さらに制度の拡充や支援が必要だと考える。(32)。越後屋は、「次の10年は今まで以上に地域とつながり、つなげる10年にしていきたい」と言う(33)。知名度が上がった今も、地域のイベントには積極的に参加している。こうした活動や繋がりの継続は、ぶどう畑の課題を社会に発信し、克服していく力になると考える。また、他の都市型ワイナリーにも栽培へのニーズが潜在していることも付記する(34)。
まとめ
日本現代ワインの父といわれる麻井宇介(35)は、ぶどう畑はそれぞれに個性を持つと言う。銘醸地は一見、運命的に定まっているかのように見えるが、人間がつくり出すものであり、銘醸地は動くと述べている(36)。麻井が予見した通り、今、日本各地で、その土地の風土を表現する素晴らしいワインが生まれている。
東京で美味しい野菜ができるならワインもできるはず、という越後屋の閃きは的中した。東京ワイナリーは、普段の食事に合う優しいワインを、NWFや栽培くらぶと共につくってきた。飲み手をぶどう畑にいざない、地域と繋がり、ワインが農であることを示してきた。
都市の農地を生かし、みんなでつくる、それは練馬の風土を反映したワインといえよう。東京ワイナリーは、そのデザインで、10年後、20年後の未来に銘醸地を動かす可能性を秘めているかもしれない。
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[資料1] 東京ワイナリーの練馬のぶどう畑、店舗、醸造所(2025年7月22日、8月30日、11月30日、12月4日、筆者撮影) -
[資料2] ねりまワイン・ヴィンヤードマップ(東京ワイナリー提供のマップ、国土地理院地図を加工し筆者作成) -
[資料3] 東京ワイナリーHistory(「あなたと紡ぐStory東京ワイナリー10年史」の他、東京ワイナリーの資料を元に筆者作成) -
[資料4] 「ねりまワイン」ラベルコレクション(「あなたと紡ぐStory東京ワイナリー10年史」P.19を引用し筆者加工、 資料提供 東京ワイナリー) -
[資料5] ねりまワインのぶどう畑の1年(「あなたと紡ぐStory東京ワイナリー10年史」p.20、21 資料提供 東京ワイナリー) -
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[資料6] 東京ワイナリー取材まとめ①トークショー
2025年11月2日に練馬区大泉学園のLOUNGE by mにて開催された「大泉遺産プロジェクト認定店の店主を招いたトークショー」での東京ワイナリー越後屋美和のトーク(聞き手:東大泉商栄会所属 クッキング・チーズ佐藤陽呂美)の内容を筆者により抜粋・編集 -
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[資料7] 東京ワイナリー取材まとめ②インタビュー
東京ワイナリー 越後屋美和へ筆者が行った下記4回のインタビューを元に筆者編集
・2025年11月23日ヴィンヤード多摩の新酒祭会場にて
・2025年12月4日東京ワイナーにて
・2025年12月9日 東京ワイナリーにて
・2025年12月16日 東京ワイナリーにて -
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[資料8] 栽培くらぶの声
東京ワイナリー⾃社畑 tetto において作業中の栽培くらぶメンバーに聞き取り調査した内容を
筆者編集(取材実施⽇:2025 年 11 ⽉ 30 ⽇、2025 年 12 ⽉ 13 ⽇ 計 15 名)
参考文献
【註】
(1)日本のワイナリー数(国内の果実酒製造免許場数のうち、ワインの製造または移出を行っている場数)は、2000年に156(原田)、2014年に230(原田)だったのが、2020年には369(原田および国税庁課税部酒税課2021)、2024年には493(国税庁課税部酒税課2024)と急激に増加している。
・原田喜美枝『データで広がる日本ワインの世界 ワインエコノミクス入門』日本評論社、2024年、p.26(国税庁の統計をもとに原田が作成)
・「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和2年調査分)」令和3年10月 国税庁課税部酒税課(2020年1月1日現在を対象としている)、p.45-46
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/seizo_oroshiuri/r02/pdf/all.pdf
(2026年1月24日閲覧)
・「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和6年アンケート)」令和6年12月 国税庁課税部酒税課(2024年1月1日現在を対象としている)、p.36-38
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/seizo_oroshiuri/r06/pdf/all.pdf
(2026年1月24日閲覧)
(2)都市型ワイナリーとは、一般的に、都市部のアクセスのよい住宅地や商業エリアに立地し、産地からぶどうを調達してワイン消費量の多い都市部で醸造を行うのが特徴である。レストラン併設型も多い。都市型ワイナリーの発祥は1964年のアメリカといわれていて、世界中にあり、日本では東京の他に、大阪、福岡、金沢などにもある。
(3)東京ワイナリー
https://www.wine.tokyo.jp
(2026年1月24日閲覧)
(4)本稿では「つくる」「造る」「作る」の言葉が混在しているが、醸造にかかわることは「造る」、醸造だけでないより広い対象にかかわることは「つくる」、その他、作物・物などは「作る」とした。
(5)参考文献[2]p.2
(6)ぶどうの品種はワイン用と生食用に大別され、世界のほとんどのワイン用品種はヨーロッパ系のVitis viniferaで、日本でも、シャルドネ、カベルネ・ソービニオン、メルロなどは多く作られている。また、日本系品種として、甲州、マスカット・ベリーAなどがある。また、近年は生食用ぶどうのデラウェアからも優れたワインが造られている。
(7)東京ワイナリーの最初のぶどう畑は清瀬市だが、現在はもうその畑はない。同じ年に練馬区大泉の2箇所でも栽培を開始した。(参考文献[2]p.8)
(8)「ねりまワインプロジェクト(NWP)」は、“地産地消だから”ではなく“美味しいから”選ぶ、クオリティの高い「地域ブランドワイン」を開発し、23区最大の農地を誇る練馬区を「食農文化のまち」としてアピールするプロジェクト。2018〜2020年度は練馬区との協働事業として行い、区との事業終了後もプロジェクトを継続し、地域の農家や飲食店と共に練馬の食農文化を盛り上げている。
・ねりまワインプロジェクト
https://nerimawine.com
(2026年1月24日閲覧)
・「食農文化のまち練馬~ALL練馬でワインづくり~(協働期間:平成30年度~令和2年度)」、練馬区ホームページ
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/kuseisanka/kyodosuisin/chiikiokosiproject/project_zisshi/winepro.html
(2026年1月24日閲覧)
(9)「ねりまワインファームメイト(NWF)」は、ねりまワインプロジェクト(NWP)の活動に賛同し、ぶどうの栽培や収穫作業、ワインの醸造作業に参加するボランティア。通年で募集し登録料は無料。
https://nerimawine.com/member/
(2026年1月24日閲覧)
ワイナリー取材時提供資料によると、年代は40代、50代が最も多く、次いで30代、60代が多いが、20代や70代以上もいる。練馬区在住が65%、練馬区外が35%で、2025年現在約1300人が登録している。
(10)複数のぶどう品種を混ぜてタンク内で一緒に発酵させること。
(11)「ねりまワイン」は、練馬区内の自社畑・契約栽培農家のぶどうを使った100%練馬産のぶどうで造るワイン。白はシャルドネ、ピノグリ、プチマンサン他数種類を、赤はヤマソービニオン、小公子、ベリーアリカント他数種類を、混醸で造っている。年によってはロゼも造る。その他に、練馬産の生食用ぶどうを混醸して新酒の「ねりまヌーボー」も造っている。実際には、ハーフボトルや量り売りなどもあるが、750mlを1本として換算したときの数量。(取材時提供資料から筆者抽出)
(12)契約栽培ぶどう(栽培農家から買うぶどう)は、他県産では、北海道余市 ツヴァイゲルトレーベ、ミュラートゥルガウ、山形 デラウェア、長野 メルロー、シャルドネ、山梨 甲州などがある。東京産は、国立 ヤマブドウ、国分寺 キャンベル・アーリー、デラウェア、東村山 シャルドネ、アリカントなどがあり、委託も同時に受けている。それぞれ、基本は、単一品種で醸造している。(取材時提供資料から筆者抽出)
(13)設備を持たない企業や個人が果実酒製造免許をもつワイナリーに醸造を委託し自社ブランドとして販売することがある。ワイン特区以外では、製造免許を保持するために年間6,000リットル以上醸造することが必要なため、小規模ワイナリーでは自社分の醸造だけでなく他所からの委託醸造を受け入れているケースもある。東京ワイナリーでは年間約40件受け入れている。
(14)10R(トアール)は、北海道にあるカスタムクラッシュワイナリー(受託醸造所)。栃木のココ・ファーム・ワイナリーで醸造に携わったブルース・ガットラヴが2012年に北海道岩見沢市に設立した。ぶどう栽培農家が自分のぶどうを持ち込み、ブルースの指導を受けながら自分で醸造する。ここで学び、ワイナリーを立ち上げた醸造家も多い。
・「(合)10R/トアールワイナリー」、日本ワイナリー協会ウェブサイト
https://www.winery.or.jp/winery-map/827/
(2026年1月24日閲覧)
(15)野生酵母は自然界に生息している酵母で、ぶどうの果皮や醸造所の空気中にも存在している。人工的に作った培養酵母と対比され、複雑味に富んだワインを生みやすい一方、培養酵母に比べ発酵が不安定で酢酸菌などの汚染に注意が必要となる。
(16)[資料7]4-1
例えば日本ワインコンクールでは、審査基準の一つの「視覚」でワインの清澄度が評価されるため、にごりワインは不向きである。
・日本ワインコンクール2025 開催概要 審査方法 2.審査基準
https://jwine-compe.jp/outline/
(2026年1月24日閲覧)
なお、ワイナリーとしては、一般社団法人 日本ワイナリーアワード協議会「日本ワイナリーアワード2025」で3つ星を受賞している。
・日本ワイナリーアワード
https://www.japan-winery-award.jp
(2026年1月24日閲覧)
(17)越後屋は、普段飲みとして無理のない範囲の価格として、フルボトル1本(750ml)2,000円前後に抑えたい考えであったが、物価高騰の影響を受け、近年は値上げをせざるを得ない状況になっている。(「資料7]4-2)
・東京ワイナリーオンラインショップ
https://tokyowinery.buyshop.jp
(2026年1月24日閲覧)
(18)「栽培くらぶ」は、練馬区内を中心とした畑で、指導者によるサポートのもと、年間を通して、みんなで一緒に学びながらぶどうを育てていく活動。会員制・有料で、年1回募集と選考がある。2025年現在、約70名が登録している。(東京ワイナリー取材より)
(19)栽培くらぶ取材[資料8]
(20)ねりまワインのラベルの公募は、赤、白、ロゼ(ロゼは造られた年のみ)のそれぞれを、2019年リリース当初から毎年行っている。[資料4]
https://nerimawine.com/labeldesign2025/
(2026年1月24日閲覧)
(21)葡蔵人(Book Road)は、ものづくりの町である東京の下町、台東区に2017年に開設されたワイナリー。JR山手線 御徒町駅から徒歩5分。飲食店を営むK‘sプロジェクトが、レストランで自分たちが造ったワインを提供したいという動機から始めた。醸造責任者の須合美智子を中心に醸造を行う。東京で唯一、5年連続で「日本ワイナリーアワード」の3つ星を受賞している。
・葡蔵人
https://www.bookroad.tokyo/
(2026年1月24日閲覧)
(22)量り売りは、「TAPスパークリング」というサービスで、葡蔵人オリジナルのリターナブル瓶を持参すると、店頭のワインサーバーから瓶に詰めてくれる。数種類のワイン(スパークリング)から選べ、瓶には都度、手書きメッセージを書いてくれる。瓶のサイズは500mlと360mlの2種類ある。
https://www.bookroad.tokyo/blog/2022/07/10/134834?srsltid=AfmBOookGPkpD4y47pXwr5PLN89g5ns0gr-DS59UdKNEW7rSFzpsBeOz
(2026年1月24日閲覧)
(23)「あなたも醸造家」では、ワイナリー指導のもと自分のやり方で自分用のオリジナルワインを醸造することができる。参加できない工程はワイナリーで補ってくれる。価格は、20ℓタンク(750㎖20~24本程度)で15万円(税抜)程度(プランによる)。
https://www.bookroad.tokyo/items/66178103
(2026年1月24日閲覧)
(24)葡蔵人でも2023年に都内八王子市の自社圃場に植樹を行い、ぶどう栽培を試みている。畑の作業をする人を募集することがあるが、現状は、単発のイベントという形式で行っており、NWFや栽培くらぶのような年間を通じての組織立った活動は行っていない。
https://note.com/bookroad_winery/n/n3da2a9af8677
(2026年1月24日閲覧)
(25)[資料7] 3-1
(26)練馬区は、東京23区の中で最大の農地面積を有する。
「練馬区の農業」、練馬区ホームページ
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kankomoyoshi/nogyo/index.html
(2026年1月24日閲覧)
(27)東京ワイナリーでは、過去に、畑を貸主の農家へ返還するために、それまで育ててきたぶどうの樹をやむなく引っこ抜いたこともある。生産緑地制度を活用する農家は税制の特例措置(相続税の納税猶予、固定資産税は農地課税)を受けることができるが、相続税は猶予があっても免除はないため、相続のタイミングで農地を手放してしまう農家もいる。([資料7] 2-6)
(28)「ねりまワイン」の最新2025年ヴィンテージの完成予想は約1,500本と昨年より減る見込みである([資料3]グラフ)。2024年にプロジェクトの畑の1つの栽培農家との契約が終了したことが要因と推測される。
(29)都市農業振興基本法の制定(2015年)
都市農業の安定的な継続、都市農業の有する機能の適切・十分な発揮を通じた良好な都市環境の形成を目的に2015年に制定され、三大都市圏の市街化区域内でも生産緑地地区では税制の特例措置(相続税の納税猶予、固定資産税は農地課税)が受けられるようになった。また、この法律に基づき2016年5月に閣議決定した都市農業振興基本計画では、従来「宅地化すべきもの」とされていた都市農地を都市に「あるべきもの」へとその位置付けを転換した。
・農林水産省 「都市農業振興基本法」と「都市農業振興基本計画」
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/kihon.html
(2026年1月24日閲覧)
(30)生産緑地法の改正(2017年)
「生産緑地地区」は、都市計画法にもとづき、各区市町村が対象の地域地区を指定している。指定後30年間は営農義務が生じるかわりに、税制の優遇措置がある。なお、30年の間に主たる従事者の死亡・身体故障が生じた場合には、区市町村長に対して買取り申出が可能である(農地を売却できる)。2017年に生産緑地法が改正され、生産緑地指定の最低面積が300㎡まで引き下げ可能になった。また以前の法律では指定から30年で解除されることになっていたが、改正により、所有者の意向を基に「特定生産緑地」として更に10年継続することが可能になった(10年毎に更新)。生産緑地に指定されると農地として適正に管理する必要があり、耕作放棄地にできないため、所有者が農業に従事しなくなっても貸し出すことで農地として活用されやすくなる。
しかし、相続税は猶予があっても免除はないため、いつかは支払う必要があり、また、相続発生時には、指定されている期間内でも買取り申出が可能なことから、相続のタイミングで農地売却を考える農家もいる。
・「生産緑地制度」の概要、国土交通省
https://www.mlit.go.jp/toshi/park/content/001612019.pdf
(2026年1月24日閲覧)
・生産緑地地区(東京都都市整備局)
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/ryokuchi_keikan/toshikankyo/seido/seisanryokuchi
(2026年1月24日閲覧)
(31)都市農地の貸借の円滑化に関する法律(都市農地貸借法)の制定(2018年)
都市農地は所有者の高齢化が進み、所有者自ら活用することが困難になりつつあるが、土地価格が高いため、農地をほしい人が購入することも困難である。都市農地(生産緑地)が税制の特例措置を受けながら貸借が可能になったことで、農地を持たない人も農業に従事しやすくなった。
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/toshi_taisyaku.html
(2026年1月24日閲覧)
(32)制度の改正により農地の貸借がしやすくなったが、所有者は、必要な時にいつでも売却ができるよう長期の貸借契約を避けたがる傾向もある。一方、ぶどうは植樹してからワイン醸造に十分な収穫ができるまでに数年かかり、また、根が張ることで土壌の様々な成分を反映して複雑な味わいになることから、長期で栽培できることが望ましい。
(33)参考文献[2]p.2
(34)葡蔵人のほか、江東区の深川ワイナリーでも、ビルの屋上でのぶどう栽培を実験的に行っている。都市型ワイナリーでも今後、栽培への試みが増えていく可能性がある。
・「ぶどう栽培について」、深川ワイナリー
https://fukagawine.tokyo/viniculture/
(2026年1月24日閲覧)
(35)麻井宇介(本名 浅井昭吾1930-2002)は、ワイン醸造家で著述家。シャトー・メルシャン時代にも会社の垣根を越えて後進の指導にあたり、若き醸造家達とワイン業界に大きな影響をあたえた。麻井の薫陶を受け日本の新しいワインづくりに挑戦した日本ワインの革命児たちはウスケボーイズといわれ、小説と映画のモデルにもなった。
(36)麻井は、著書「ワインづくりの思想」(『麻井宇介著作選 風土に根ざした輝ける日本ワインのために』イカロス出版、2018年)で、「ワインづくりにおいて、『恵まれた風土』とは、はじめから決まっているものだろうか。真実は、良いワインとなるブドウを育てた場所を『恵まれた風土』といっているだけではないか。」と述べている(p.409)。ぶどう畑はそれぞれ個性を持ち、差異があるのが当たり前だと言及し、新たなつくり手たちの挑戦には、「それぞれの風土の『らしさ』を確立し、その魅力を洗練していく」という、「偉大なワインの産地を目指す世界共通の目標」があるという。(p.405-409)
また、ニュージーランドのプロヴィダンスの事例から、無名の産地からでも凄いワインが出現する可能性についても言及している。(p.634-635)
※著作選に収録されている本章は、2001年9月に中央公論新社から『ワインづくりの思想』(中公新書1606)として出版された。
【参考文献・WEB】
[1]原田喜美枝『データで広がる日本ワインの世界 ワインエコノミクス入門』、日本評論社、2024年
[2]『あなたと紡ぐStory東京ワイナリー10年史』、東京ワイナリー発行冊子、2014年
[3]麻井宇介『麻井宇介著作選 風土に根ざした輝ける日本ワインのために』、イカロス出版、 2018年
[4]鳥海美奈子『日本ワイナリーの深淵』、さくら舎、2022年
[5]叶芳和『日本ワイン産業紀行』藤原書店、2024年
[6]佐野敏高『ワインビジネス 初心者から専門家まで楽しく読めるワインの教養』クロスメディア・パブリッシング、2025年
[7]福田育弘『自然派ワインを求めてー日本ワインの文化学』、教育評論社、2023年
[8]河合香織『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』、小学館、2010年
[9]辻有美子「新興ワイナリー・都市型ワイナリーの勃興とその持続可能なモデルに関する考察:2010年代以降のワイナリー事業の類型化と事例分析」、『都市経営研究』第1巻創刊号、2021年、大阪市立大学都市経営研究科 都市経営研究会、P.85-105(DOI: 10.24544/ocu.202201013-002)
[10]小野恵実、川島範久「街中ワイナリーが築く地域ネットワークの実態−東京都と神奈川県における事例調査を通して−」、『日本建築学会計画系論文集』90巻828号、2025年、p.284-294(DOI: https://doi.org/10.3130/aija.90.284)
[11]福﨑剛、坂本慧介、横張真「首都圏におけるブドウ栽培とワイナリー事業を介した6次産業化農業への参入プロセス」、『ランドスケープ研究』87巻5号、2024年、p.505-510(DOI: https://doi.org/10.5632/jila.87.505)
[12]拙稿、芸術教養演習1レポート課題「都市型ワイナリーの魅力と意義を探るー葡蔵人~BookRoad~がデザインする日本ワインの未来」、2025年夏期
[13]練馬区ホームページ
https://www.city.nerima.tokyo.jp/ (2026年1月24日閲覧)
[14]日本ワイナリー協会ホームページ
https://www.winery.or.jp(2026年1月24日閲覧)
【取材】
東京ワイナリー、栽培くらぶへの取材は2025年11月〜12月に複数回に分けて行った。
・2025年11月2日 練馬区大泉学園のLOUNGE by mで開催された「大泉遺産プロジェクト認定店の店主を招いたトークショー」にて東京ワイナリーを取材(トーク:越後屋美和、聞き手:東大泉商栄会所属 クッキング・チーズ佐藤陽呂美)
・2025年11月23日 ヴィンヤード多摩新酒祭会場にて越後屋美和インタビュー
・2025年11月30日 東京ワイナリーtetto畑にて栽培くらぶ取材
・2025年12月4日 東京ワイナリーにて越後屋美和インタビュー・資料提供
・2025年12月9日 東京ワイナリーにて越後屋美和インタビュー・資料提供
・2025年12月13日 東京ワイナリーtetto畑にて栽培くらぶ取材
・2025年12月16日東京ワイナリーにて越後屋美和インタビュー・資料提供
謝辞
本研究にあたり、東京ワイナリー越後屋美和氏、NWF、栽培くらぶの皆様には調査、インタビューにおいて多大なご協力を賜り、また、『あなたと紡ぐStory東京ワイナリー10年史』他、ワイナリーの資料を提供いただき、心より感謝申し上げます。