吉岡 久恵(非常勤講師)2026年9月卒業時の講評

年月 2026年9月
ご卒業おめでとうございます。

通信教育学部で学ばれてる方は、学業に専念された方もあれば、仕事や家事の合間を縫って学業に向かわれている方も多かったのではないでしょうか。いずれにしても、様々なご苦労の中で学業を修められたことと存じます。本当にお疲れ様でした。

さて、私が担当したのは、以下のテーマになります(順不同)。
・四條畷市の芸術文化資源の評価報告 ~谷口智則氏のサンタ像による地域振興の分析
・自然を展示しない島の滞在文化 ――小笠原における生態系・生活リズム・観光の関係
・世界文化遺産ルアンパバーンにおける持続可能な観光と地域文化の保全 ―現地調査から考える「整備され過ぎない魅力」―
・「竹楽」動と静の祭り─竹と共に歩む町興し
・津奈木町《入魂の宿》にみる廃校プールの再生と記憶継承
・人形と歴史的伝統文化のまち・岩槻区について
・クレパス®の文化資産としての価値―日本の美術教育を支えた描画材料―
・鶴身印刷所ー「ここは何?」の答えに行き着く途上の文化複合施設
・休館した美術館は再生できるか ―地域資源を活かした持続可能な運営の提案―
・日本民藝館ー語りかける手仕事
・枚方市の「まとも書房」にみる歴史的建造物を活用した地域文化の継承・保存活動
・金シャチ横丁― 名古屋城観光を支える補助的役割としての場のデザイン
・BONUS TRACKにおける下北沢らしい文化を継承する仕組み ―建築・契約・運営のデザインに着目して―
・空き家と地域の余白をつなぐ ― 金沢市菊川・NPO法人『綴る』の空間と編集のデザイン

以上のように、多岐に渡るテーマがあり、ひとつひとつの事例について興味深く拝読しました。今回は特別に印象に残ったレポートはありませんでしたが、参考資料の収集や現地取材に力の入ったものが多く、それぞれに事例に向き合う姿はすばらしいと思いました。

その中で、課題を感じた内容についても記しておきます。まず一つ目は、主宰者の視点を客観的に捉えきれていないレポートです。主宰者がどのような考えを持っているかを調査することは大切ですが、インタビューはあくまで資料の一つです。ご自身の視点から主宰者の考えを客観的に捉え、当事者には見えていない視点での議論も深めていただきたかったと思います。
二つ目は比較事例の扱い方です。今回は主たる事例との共通点と相違点を深く議論し、結論へと導いている研究は少ない印象を持ちました。

最後になりましたが、みなさんにとって、芸術教養学科の学びはこれから生きていく上で必ず大きな糧になるでしょう。今後もそれぞれの地域で創造的に暮らし、ご自身の気づきを人に伝える力を磨いていってください。