岩元 宏輔(准教授)2026年3月卒業時の講評
卒業研究レポート「文化資産評価報告書」に取り組まれたみなさま、大変おつかれさまでした。この卒業研究は、単に事実をまとめるだけの調査報告ではなく、みなさん自身が「何を文化資産と捉え、その価値をいかにして見出し、評価するのか」を問う試みでもありました。
私が担当させていただいたレポートのテーマや調査対象は以下のとおりです。(順不同)
・ 厚木「酉の市」と縁起熊手
・ ジブリパーク
・ AdoとVTuber
・ 武蔵野うどん
・ 平田一式飾り
・ よさこい祭り
・ 東京谷中「HAGISO」
・ 柏屋の朝茶会
・ 米沢織
・ 和菓子店「興兵衛桃林堂」
・ S.BALLET.ART
・ フィンランド「Oodi」
・ ちひろ美術館・東京
・ 佐渡の鬼太鼓
・ 和光市「テーラワーダ・パリヤッティ僧院」
・ 校歌文化からたどる近代日本の軍歌的音楽表現
・ 大阪・中崎町における空き家再生
・ 中谷遺跡出土土偶
・ 社交ダンスの考察
・ 金唐革紙
・ 奈良ひとまち大学
・ さくら花見堂
・ ピーススタジアム
・ グラスビーズメーカーMIYUKI社
・ 八女福島の町並み保存活動
・ 清瀬ひまわりフェスティバルのひまわり畑
・ 燕三条 工場の祭典
・ 手稲区マスコットキャラクター「ていぬくん」
・ 谷桃子バレエ団YouTubeチャンネル「谷桃子バレエ団 / Ballet with soul」
・ VTSに基づく対話型鑑賞 ~千葉県佐倉市における実践~
・ 倶知安幼稚園「ゆめの森」
・ 柳生和紙
・ 深川えんみち
・ 有田焼
伝統工芸や地域行事、空間やコミュニティ、身体表現、デジタル文化、宗教的実践に至るまで、対象は異なっても、そこに通底しているのは「文化を自らの言葉で評価する」という態度です。既存の評価や価値をそのまま受け入れるのではなく、自ら問いを設定し、対象と向き合いながら分析し、独自の視点で価値を捉え直す。そういった姿勢での取り組みこそが、本学科で培ってきたまなざしを調査・研究に昇華させた営みなのではないでしょうか。
なお、採点にあたっては、まず設問の趣旨に的確に応えているかどうかを重視しました。そのうえで、先行研究や統計資料などを参照し、根拠を示しながら論を展開しているものについては、一定の評価をしています。
一方で、対象の基本情報の整理に多くの分量を割いた結果、考察の比重がやや弱くなってしまったものや、具体的な事例との比較・対照が十分に行われていないものも見受けられました。今後は「調べたこと」を「どう評価するのか」という一歩踏み込んだ思考を、より意識してみてください。
今回、特に優れたレポートとして印象に残ったものを紹介します。
・ 手稲区マスコットキャラクター「ていぬくん」にみる地域愛 —公共コミュニケーションデザインとしての考察—
北海道札幌市手稲区のマスコットキャラクター「ていぬくん」を取り上げたレポートです。マスコットキャラクターとしての特徴について、主にデザイン面と運用面から評価しています。独自の調査によって認知度を図ろうとした試みもあり、「地域に根ざした文化資産としてのキャラクターの在り方」について多角的に考察したレポートでした。
対象を調べるという行為は、同時に、自分自身の興味・関心や評価軸を映し出す作業でもあります。実際に資料を読み、現場を見つめ、他事例と照らし合わせながら思考を深めていく過程のなかで、みなさん一人ひとりの視点の輪郭が徐々にはっきりとしていったのではないでしょうか。報告書としてのクオリティも、もちろん重要ですが、それ以上に、自ら対象と向き合い、自分なりの解釈を見出そうとした経験こそが、この学びの核心であると思っています。
これからも日々の出来事や関心を出発点にしながら、ご自身の探究の軸を育み続けてください。芸術教養学科での学びに費やした時間と積み重ねは、必ず今後の歩みの支えになります。その経験を自信と糧に、それぞれの新たな日々を切り拓いていかれることを心より願っています。
私が担当させていただいたレポートのテーマや調査対象は以下のとおりです。(順不同)
・ 厚木「酉の市」と縁起熊手
・ ジブリパーク
・ AdoとVTuber
・ 武蔵野うどん
・ 平田一式飾り
・ よさこい祭り
・ 東京谷中「HAGISO」
・ 柏屋の朝茶会
・ 米沢織
・ 和菓子店「興兵衛桃林堂」
・ S.BALLET.ART
・ フィンランド「Oodi」
・ ちひろ美術館・東京
・ 佐渡の鬼太鼓
・ 和光市「テーラワーダ・パリヤッティ僧院」
・ 校歌文化からたどる近代日本の軍歌的音楽表現
・ 大阪・中崎町における空き家再生
・ 中谷遺跡出土土偶
・ 社交ダンスの考察
・ 金唐革紙
・ 奈良ひとまち大学
・ さくら花見堂
・ ピーススタジアム
・ グラスビーズメーカーMIYUKI社
・ 八女福島の町並み保存活動
・ 清瀬ひまわりフェスティバルのひまわり畑
・ 燕三条 工場の祭典
・ 手稲区マスコットキャラクター「ていぬくん」
・ 谷桃子バレエ団YouTubeチャンネル「谷桃子バレエ団 / Ballet with soul」
・ VTSに基づく対話型鑑賞 ~千葉県佐倉市における実践~
・ 倶知安幼稚園「ゆめの森」
・ 柳生和紙
・ 深川えんみち
・ 有田焼
伝統工芸や地域行事、空間やコミュニティ、身体表現、デジタル文化、宗教的実践に至るまで、対象は異なっても、そこに通底しているのは「文化を自らの言葉で評価する」という態度です。既存の評価や価値をそのまま受け入れるのではなく、自ら問いを設定し、対象と向き合いながら分析し、独自の視点で価値を捉え直す。そういった姿勢での取り組みこそが、本学科で培ってきたまなざしを調査・研究に昇華させた営みなのではないでしょうか。
なお、採点にあたっては、まず設問の趣旨に的確に応えているかどうかを重視しました。そのうえで、先行研究や統計資料などを参照し、根拠を示しながら論を展開しているものについては、一定の評価をしています。
一方で、対象の基本情報の整理に多くの分量を割いた結果、考察の比重がやや弱くなってしまったものや、具体的な事例との比較・対照が十分に行われていないものも見受けられました。今後は「調べたこと」を「どう評価するのか」という一歩踏み込んだ思考を、より意識してみてください。
今回、特に優れたレポートとして印象に残ったものを紹介します。
・ 手稲区マスコットキャラクター「ていぬくん」にみる地域愛 —公共コミュニケーションデザインとしての考察—
北海道札幌市手稲区のマスコットキャラクター「ていぬくん」を取り上げたレポートです。マスコットキャラクターとしての特徴について、主にデザイン面と運用面から評価しています。独自の調査によって認知度を図ろうとした試みもあり、「地域に根ざした文化資産としてのキャラクターの在り方」について多角的に考察したレポートでした。
対象を調べるという行為は、同時に、自分自身の興味・関心や評価軸を映し出す作業でもあります。実際に資料を読み、現場を見つめ、他事例と照らし合わせながら思考を深めていく過程のなかで、みなさん一人ひとりの視点の輪郭が徐々にはっきりとしていったのではないでしょうか。報告書としてのクオリティも、もちろん重要ですが、それ以上に、自ら対象と向き合い、自分なりの解釈を見出そうとした経験こそが、この学びの核心であると思っています。
これからも日々の出来事や関心を出発点にしながら、ご自身の探究の軸を育み続けてください。芸術教養学科での学びに費やした時間と積み重ねは、必ず今後の歩みの支えになります。その経験を自信と糧に、それぞれの新たな日々を切り拓いていかれることを心より願っています。
