
ビーズの発展~世界に誇る日本グラスビーズメーカーMIYUKI社
1、はじめに
ビーズとの出会いは、20年以上前に足を踏み入れた、雑貨店に置かれた天然石ビーズのブレスレットであったが、上質に研磨されたラウンドカットされた輝きのある天然石ビーズに、強い感動と引き付けられる気持ちになったのを覚えている。それからは、自分で制作して身に着けたい、販売したいと考え、天然石ビーズに限らず、ガラスビーズを使用したアクセサリーやビーズ刺繍を制作するようになる。使用するビーズは、海外から輸入販売されている天然石ビーズを使用することが多いが、天然石ビーズをより装飾するためには、高品質で扱いやすい日本製のメーカーMIYUKI社グラスビーズを使用する頻度が高い。身のまわりにある衣服や鞄のアクセントにも、ビーズは幅広く使用されていると認識しているが、身近になったビーズは、どのように伝わり広まっていったのだろうか、また、高品質であると思うMIYUKI社のグラスビーズとビーズ産業の特徴や発展、その魅力などについても考察していきたい。
2、ビーズの歴史と日本への伝達
ビーズは7万から10万年前の、地中海沿岸やアフリカ南部沿岸での旧石器時代の遺跡から発掘された穴の開いた貝で、穴に糸を通して携帯して身に着けていた。そして紀元前5000年から前2000年には、道具を使って硬い石に穴を開けたビーズ、高温で溶解させ色を調合したガラス製のビーズもあった。使用される材料には、硬い、光る、美しいなどの身近な自然から得られるもの、そして目に見えない邪悪なものから身を守ってもらいたい、幸運や強い力を身に着けたいなど、祈りや願いをビーズに込められていた。註1
13世紀になるとベネチア地方で、ガラス工業が盛んになり、溶着方法や成型方法に工夫がされるようになり、宝石のような美しさをもつガラスビーズは、アフリカ、インド、インドネシア、中国、そして日本にも伝わり珍重され、利益を生み出すようになり、株式会社MIYUKIもグラスビーズの製造を展開していく。註2
3、株式会社MIYUKI、基本データー
業務 ビーズの製造 ビーズワークギャラリー ビーズクラフト品の企画・販売・教室活動・出張講習 註3
本社 広島県福山市御幸町上岩成749
東京支店 東京都浅草橋1-3-9
大阪営業所 大阪府大阪市中央区博労町4-5-6 601号 註4
4、株式会社MIYUKIの歴史的背景
1930年代中頃、広島県福山市で創業者「勝岡清一」がグラスビーズの製造を開始。
第二次世界大戦で、企業整理がおこなわれ、ほとんどのグラスビーズ会社が日本クラフトビーズ会社として、広島県福山市に整理、統合されるが、戦火とともにつれ物資が不足、日本のクラフトビーズ製造が途絶えるが、終戦後の混乱と復興が進む中でも、ビーズの製造を再開する。
1949年3月、創業者「勝岡清一」が、株式会社MIYUKIの前身である広島県グラスビーズ商工業協同組合を福山市に設立し、理事長に就任、銀引きビーズの製造方法と開発おこない、海外輸出を開始する。註5
1974年9月、現社長「勝岡健治」実父「勝岡正剛」が御幸商事株式会社を設立する。
2006年7月、社名を御幸商事株式会社から株式会社MIYUKIに改める。 註6
5、株式会社MIYUKIビーズの評価する点
①ビーズ作りは基本的に、原料を溶かしてガラスの生地を作った後に「管引」という工程でガラス管を作る。その後、管を細く切る「元焼」という工程では、ビーズが長い筒の中で転がりながら焼かれることで角が取れ、ビーズが溶けて丸くなる。その後に洗浄や艶出しの工程を経て、表面や穴の中に加工をして色を表現していく。これらの作業工程はすべて機械でおこなうが、品質のチェックは、すべて職人の目によっておこなわれ、高品質のグラスビーズができあがる。註7
②形状、サイズ、色、加工の組み合わせによるビーズの種類は、透明、半透明、不透明、メタリックやオーロラ加工など15,000種類以上にのぼり、形状や色によってもビーズの輝きが異なり、例えば、丸い透明なビーズの形状を四角に加工技術をおこなうことで、鏡のような効果で輝いてみえる。註8
③自分はMIYUKI社ビーズが必要な時は、amazonの販売サイトで購入することが多いが、直径3mm程の3g約130粒の丸大ビーズは、価格が高騰している現在でも、特に変動もなく100円以内で購入することができる。註9 高品質なビーズを安価で購入できることは、多くの人が手に入れやすく、つくり手にとっては大変喜ばしいことでもある。
6、国内外の他の同様の事例と比較して何が特筆されるのか
海外のオンラインストアPandaHallで、註10 ビーズやアクセサリーパーツが安く購入できるため、何度か購入して使用してみたが、高品質のビーズもあるが、一部のビーズでは塗装の剥がれ、変色、大きさのばらつきがあった。天然石ビーズも同時に購入するが、天然石ビーズは自然の産物であるため、多少のクラックや他の鉱物などの内包物が混入していても問題はないと判断したが、他のビーズに関しては、製造する工場の品質管理などに疑問を感じ、信頼度が低下する原因になってしまった。MIYUKI社のグラスビーズに関しては、長期間使用しているが、塗装の剥がれやばらつきもほとんどなく、色も中心部の穴も均一であり、省いたことが一度もないので、とても高品質なビーズであると判断して、現在も高頻度で使用している。
7、今後の展望について
海外では、ビーズを民族衣装や婚礼の道具、ドレスやアクセサリー工場で使用される重要も多く、現在では、アメリカ、インド、中国など、40カ国以上にMIYUKI社のビーズは輸出されるよになり、世界中に愛用されるようになった。MIYUKI社はデリカビーズというガラスシードビーズの中では最高級のビーズを開発したが、大きさが均等で穴の比率も大きいのが特徴で、海外ではビーズステッチという技法で多く使用されるようになり、ビーズステッチという技法が、ビーズ業界では広く展開されるよになった。また、人々がビーズに触れる機会を増やし、作る楽しみを広げたいという思いから、パッケージ一つで必要なものがすべて揃っている、ビーズキットの開発にも力を入れるようになる。そして日本初のビーズの専門店ビーズファクトリーの展開、世界各国のビーズアーティストの作品を展示する、ビーズワークギャラリーの展開などもおこない、MIYUKI社は、今後も多くの種類と高品質なビーズの提供、ビーズそのものの楽しみ方の提供をしていくという展望もあり、常にビーズ業界の最先端を走り続けている。註11
8、まとめ
MIYUKI社は、第二次世界大戦でビーズの提供が途絶えたが、戦後の復興の中で製造を再開、価格高騰などの時代の波に押されながらも、高品質で人々のニーズに合ったビーズを提供し、成長し続けている。それは、諦めない力と並大抵ではない企業の努力の成果ではないだろうか。自分は、すべての人が購入できるような良心的な価格で、高品質なアクセサリーを提供したいという思い、作る過程など困難なこともあるが、技術を向上させるには、継続していくことが大事であるという考えがあるので、MIYUKI社は、自分の思いを実現できる、そして、自分にとって励みになる、唯一無二のなくてはならない企業なのである。アクセサリーに限らず、ファッション、またクラフトやアートの世界へと、ひとつのビーズから、装飾芸術などの様々な展開を広げているMIYUKI社、これからも高品質で美しく輝きのあるビーズで、人々を魅了していくのだろう。
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日本5~7世紀に出土された装飾ビーズ(再編集されているビーズも含む)
村上佳代 吉村紅花執筆 石原裕子編集「世界のビーズ図鑑」文化学園服飾博物館 2024年
P156 ビーズのはじまり画像 2026年1月20日 筆者撮影 -
1963年1月、工場を建設
HP、株式会社MIYUKI、会社沿革画像より
https://www.miyuki-beads.co.jp/companyz/history.html 最終閲覧日 2026年1月25日 -
2003年5月、新工場操業開始
HP、株式会社MIYUKI、会社沿革画像より
https://www.miyuki-beads.co.jp/companyz/history.html 最終閲覧日 2026年1月25日 -
ビーズのガラス管を作る
HP、株式会社MIYUKI、ビーズの製造工程画像より
https://www.miyuki-beads.co.jp/introductionz/making.html 最終閲覧日 2026年1月25日 -
ビーズ表面艶出し
HP、株式会社MIYUKI、ビーズの製造工程画像より
https://www.miyuki-beads.co.jp/introductionz/making.html 最終閲覧日 2026年1月25日 -
MIYUKI社グラスビーズ
本金メッキなど特殊加工ビーズを使用したブレスレット、筆者制作
2026年1月22日 筆者撮影 -
MIYUKI社グラスビーズ
ミックスビーズ 丸大 ケースビーズ バラビーズ 外径3mm
2026年1月25日 筆者撮影
参考文献
村上佳代 吉村紅花執筆 石原裕子編集「世界のビーズ図鑑」文化学園服飾博物館 2024年
P156 ビーズのはじまり 註1
P159 ビーズの交易 註2
P163 株式会社MIYUKIの歴史 註4 註5
P164 株式会社MIYUKI 職人によるビーズ作り 註7
ビーズの種類は、15,000種類以上 註8
世界中で愛されるMIYUKIビーズ 註11
HP 株式会社MIYUKI
業務案内 註3
会社沿革 註6
HP Amazon公式サイト ブランド・MIYUKI 註9
HP jp PandaHall.com ビーズ、アクセサリーパーツショップ 註10