横地 留奈子(非常勤講師)2026年3月卒業時の講評

年月 2026年3月
卒業研究レポートの作成、提出お疲れさまでした。

みなさんのご卒業を寿ぎ謹んでお慶びを申し上げます。

さて、今回、私が担当した卒業研究では、以下のようなテーマがとりあげられていました。これまでの学びの集大成として、どれも力がこもった者でした。

根室金刀比羅神社例大祭 -祭りが表現する市民と神との一体感-

住吉大社のおはらい神事-すみよっさん地域住民による祭礼行事神輿渡御の継承について-

えびす宮総本社西宮神社「十日えびす」― えびす信仰と伝統神事の継承

鎌倉彫の造形美に宿る日本的精神 ― 伝統工芸の継承と創造的展開 ―

犬山祭が創り上げる華やかな幻想的世界

Fire-Kingにみるアメリカン・プロダクトデザインの文化資産的価値 ―生活文化と美意識の交差点としてのミルクグラス―

群馬における埴輪文化の独自性と未来 古墳時代の造形世界を継承するには

アイヌ民族の文化のあゆみとアイヌ文様について

糸満ハーレーにおける祭礼空間と運営のデザイン評価 ― 地域主体のイベントデザインに着目して ―

「浜降祭」の歴史と今後の展望―情報発信デザインによる知名度向上―
青森ねぶた祭―その起源と特色ある祭りの継承について―

「六ツ美悠紀斎田お田植えまつり」~創出と伝承のあり方~

秩父夜祭の歴史的背景と継承される伝統文化

大阪日本民芸館から考える民藝とデザインを継なぐもの

博多祇園山笠の評価報告書

編集され続ける生活文化としての文化資産 CIBONEの評価報告書

「八幡平地熱蒸気染色」技法とその背景の再評価

アイヌ民族の伝統食文化を継承するアイヌ料理店

北海道の木彫りの熊

伊賀市 上野天神秋祭における歴史的背景

吹田だんじり祭から探る現代の地域コミュニティ形成:伝統行事の継承と市民主導運営の構造

神宮車の伝統文化・祭りの継承は ~ 地元の女子力にかかっている ~

天下の奇祭「古川祭の起し太鼓」 ―祭りと地域愛着より今日的な意義とは―

都市祭礼の社会的意義と信仰・民俗・文化の意味について ー赤坂氷川祭を例にしてー

「男体山登拝大祭奉納 扇の的弓道大会」における文化的価値と持続可能性

佐渡 竹田 大膳神社能舞台―その保存と継承―

〝ことほぎ〟を分かち、伝える「細工かまぼこ」 ―富山の食文化と鯛の造形にみる祈り―

二風谷コタンにおける重要文化的景観とアイヌ工芸

本住吉神社の「例大祭と祭礼」-伝統文化の継承と課題-

東海道戸塚宿・八坂神社の踊る「お札まき」 ―女装の厄除け祭礼の意義

風土への応答から立ち上がる文化 -風の沢にみる地域文化の生成と地域再生の構造-

京都市伏見区・御香宮神社の神幸祭における風流花傘の影響力について
遠き地で継承される地方巡礼 ―東葛印旛大師巡拝にみる信仰と非日常性―

神社の祭礼行事に差される剣鉾についてー京都に特有の祭具

松前神楽の歴史的形成と文化的特異性に関する考察 ―「土発」の観点からみる継承と展開―

地域の祭や工芸品、行事など、地域や対象が実に多彩でした。卒業レポートのテーマを選ぶ過程で、地域を見つめる目が変わったのではないでしょうか。

私が担当したものの中では以下のものが特に印象に残りました。

Fire-Kingにみるアメリカン・プロダクトデザインの文化資産的価値 ―生活文化と美意識の交差点としてのミルクグラス―

遠き地で継承される地方巡礼 ―東葛印旛大師巡拝にみる信仰と非日常性―

の2点でした。いずれもレポートの目的が明確に示され、記述も首尾一貫していて素晴らしいものでした。

その反面、考察として、当初掲げていた目的とは別の物を議論してしまっているものもありました。これはおそらく目的を明確にできないまま書き進めたのではないでしょうか。目的を明確にして、つまり仮説を立てて、調べた結果をその仮説が正しいのかという検証を行うのが考察の役割です。

卒業研究レポートを作成するに当たり、普段は何気ない日常に目を向けることの大切さを知ったのではないでしょうか。これからもその視線を大切にして、お過ごしください。きっと目に映る風景が豊かに感じられることでしょう。

ご卒業おめでとうございます。