横地 留奈子(非常勤講師)2025年9月卒業時の講評

年月 2025年10月
みなさま

卒業研究レポートの作成、提出お疲れさまでした。
みなさんのご卒業を寿ぎ謹んでお慶びを申し上げます。

さて、今回、私が担当した卒業研究では、以下のようなテーマがとりあげられていました。これまでの学びの集大成として、どれも力がこもった者でした。

 別府竹細工のデザイン変遷 ― 伝統と改革の融合
 「熊野比丘尼と語りの力―房総半島に根づいた海からの女性宗教者信仰」
 瀬戸焼 —土と伝統に培われた人と技—
 牛久河童文化の歴史、そして未来へ ―「牛久沼河童伝説」から「小川芋銭の河童図」、「うしくかっぱ祭り」まで牛久市民は河童好きー
 『人々を繋ぐ、古来支配者達が残した芸術。滝山寺天下の奇祭 鬼祭り』
 ── 龍ヶ崎の「撞舞」──利根川水系の舟運により栄えた町で継承される伝統芸能
 黒崎祇園山笠
 輪島の伝統行事「犬の子まき」を継承していくために 聖光寺の犬の子まきの場合ー石川県輪島市・震災復興を願って
 伝統的な備前焼と、備前の現代陶芸の未来
 九手神社の現在、そして今後の展望
 滋賀県近江八幡市宮内町『日牟禮八幡宮』における伝統行事 〜左義長まつりの伝統と継承〜
 無形民俗文化財・相模人形芝居の保存活動
 地域における継ぎ獅子のデザイン―歴史・伝承・継続―

地域の祭や工芸品、行事など、地域や対象が実に多彩でした。卒業レポートのテーマを選ぶ過程で、地域を見つめる目が変わったのではないでしょうか。

私が担当したものの中ではいかのものが特に印象に残りました。
 ── 龍ヶ崎の「撞舞」──利根川水系の舟運により栄えた町で継承される伝統芸能
 輪島の伝統行事「犬の子まき」を継承していくために 聖光寺の犬の子まきの場合ー石川県輪島市・震災復興を願って
 無形民俗文化財・相模人形芝居の保存活動
 地域における継ぎ獅子のデザイン―歴史・伝承・継続―
の4点でした。いずれもレポートの目的が明確に示され、記述も首尾一貫していて素晴らしいものでした。

その反面、考察として、当初かが下ていた目的とは別の物を議論してしまっているものもありました。これはおそらく目的を明確にできないまま書き進めたのではないでしょうか。目的を明確にして、つまり仮説を立てて、調べた結果をその仮説が正しいのかという検証を行うのが考察の役割です。

卒業研究レポートを作成するに当たり、普段は何気ない日常に目を向けることの大切さを知ったのではないでしょうか。これからもその視線を大切にして、お過ごしください。きっと目に映る風景が豊かに感じられることでしょう。

ご卒業おめでとうございます。