松本 理沙(専任講師)2026年3月卒業時の講評
卒業研究レポートを提出されたみなさん、本当にお疲れ様でした。大学生活の集大成として、みなさんが真剣にレポート課題に取り組まれたことが伝わってきました。
今回私が担当した卒業研究は、以下のようなテーマを扱ったものでした(順不同)。
Hālau Hula O Pili Lani の実演
瀬戸内国際芸術祭
みんなでつくる美術館
宮島弥山大本山 大聖院
軽井沢千住博美術館
TOKYO ART BOOK FAIR
高崎市歴史民俗資料館
DIGITAL LEGAL WALL PROJECT
旧札幌農学校演武場(通称:時計台)
帆引き船
房州うちわ
宮染め
名古屋市公会堂(現:岡谷鋼機名古屋公会堂)
個人制作における表現行為
あいち2025
行徳地域の神輿文化
熊野筆
奈良の鹿愛護会
冨士見亭(五島美術館、茶室)
米軍ハウス
新芳春茶行
紅型
桑名の千羽鶴
静嘉堂文庫美術館
路面電車
三/三十六展
町田市立自由民権資料館
ペルー・リマのバランコ区における壁画
プライドハウス東京レガシー
イエローレン
伊勢型紙
北アルプス国際芸術祭
ライフスタイル型ホテル
ダイアログ・イン・サイレンス
帆船日本丸
多種多様なテーマで初めて知る事例も多く、いずれも大変興味深く拝読しました。どれも大学での学びを活かした、優れたレポートだったと思います。
今回私が拝読した卒業研究はいずれも、卒業研究レポートで必ず扱わなければならない5点( 1.基本データと歴史的背景 2.事例のどんな点について積極的に評価しているのか 3.国内外の他の同様の事例と比較して何が特筆されるのか 4.今後の展望について 5.まとめ)を盛り込んだものになっていました。大学のレポートで最も重要なことは、課題に正確に応答することです。この点をしっかりと理解し、レポートに取り組んでおられた点が素晴らしいと思います。
また、今回私が拝読した卒業研究の多くは、様々な学術書や論文を参照して執筆されたものでした。学術的な文章を読み、それをもとにレポートを作成することもまた、重要な大学での学びだと思います。
学問に触れ、それを身につけながら卒業まで辿り着いたことを誇りに、ぜひその力をお仕事や日々の生活を通して発揮してください。
ただ、やや惜しまれる点もございました。いくつかのレポートでは、章ごとの内容が独立しており、一貫した論理的な展開が構築できていませんでした。特に、レポート全体で検討した評価点や他事例との比較の結果を踏まえずに、「今後の展望」を示しているレポートが多く見受けられました。各章を通じて段階的に議論を深め、最終的な結論や提案へと到達する構成が理想です。したがって、「今後の展望」は、事例の評価点や限界、他事例との比較から明らかになった課題や改善点に基づいて導き出していただきたいところでした。そうすると、一般論に留まらない、有効な展望を提示することができたと思います。
最後に、今回提出された卒業研究レポートの中から、とりわけ印象に残ったものをここでご紹介します。ご紹介するのは、「米軍ハウス」の保存継承活動を担う市民団体「春日ベース・ハウスの会」を扱ったレポートです。米軍ハウスとは、太平洋戦争終結から昭和47年まで、米軍基地の周辺に建設された米兵用借上げ住宅を指します。このレポートで扱われるのは、現在の福岡県春日市と大野城市にまたがる春日原住宅地区外の5マイル(約8㎞)圏内に建てられた米軍ハウスです。この米軍ハウスの保存継承を「春日ベース・ハウスの会」が担っています。このレポートは、「春日ベース・ハウスの会」が実施する「まち歩き」が、見慣れたまちの景観から、市民や子どもたちが、かつて米軍基地があった史実を探る点に大きな特徴があると指摘しています。特に、熊本県の錦町立人吉海軍航空基地史料館との比較を通して、地域の歴史や記憶は、特別な場所に行かなくても、身近な町の風景から学ぶことができるとする主張が印象に残っています。文化資産評価報告書として地域の活動を取り上げることの意義を、改めて感じさせるレポートでした。
今回の卒業研究レポートでは、今、取り組むべきだと感じさせる題材がいくつか取り上げられていました。これは、後世に残すべき文化資産評価報告書とは何か、あるいは今議論すべき題材とは何かという重要な問いに向き合っていただいた結果だと感じています。これから卒業研究に着手される皆さんは、ぜひ、文化資産評価報告書の持つ意義について、改めて検討してみてください。
以上が私からの好評となります。ご自身の成果にも成績にも満足された方、思った成績ではなく悔しい思いをされている方など、卒業研究の末に感じられることは様々だと思います。ですが、先ほど述べたように、みなさんが本学で多くのことを学んだことには変わりありません。美術館や劇場での作品鑑賞、目の前に広がる風景、日々耳にするニュース、友人とのちょっとした会話に対する捉え方が大学入学前と少しでも変わっているならば、それは皆さんがたくさんのことを学び、その成果を日々に活かしている証拠です。これまで学んだことを活かし、今後ますますご活躍されることを心から祈っております。
今回私が担当した卒業研究は、以下のようなテーマを扱ったものでした(順不同)。
Hālau Hula O Pili Lani の実演
瀬戸内国際芸術祭
みんなでつくる美術館
宮島弥山大本山 大聖院
軽井沢千住博美術館
TOKYO ART BOOK FAIR
高崎市歴史民俗資料館
DIGITAL LEGAL WALL PROJECT
旧札幌農学校演武場(通称:時計台)
帆引き船
房州うちわ
宮染め
名古屋市公会堂(現:岡谷鋼機名古屋公会堂)
個人制作における表現行為
あいち2025
行徳地域の神輿文化
熊野筆
奈良の鹿愛護会
冨士見亭(五島美術館、茶室)
米軍ハウス
新芳春茶行
紅型
桑名の千羽鶴
静嘉堂文庫美術館
路面電車
三/三十六展
町田市立自由民権資料館
ペルー・リマのバランコ区における壁画
プライドハウス東京レガシー
イエローレン
伊勢型紙
北アルプス国際芸術祭
ライフスタイル型ホテル
ダイアログ・イン・サイレンス
帆船日本丸
多種多様なテーマで初めて知る事例も多く、いずれも大変興味深く拝読しました。どれも大学での学びを活かした、優れたレポートだったと思います。
今回私が拝読した卒業研究はいずれも、卒業研究レポートで必ず扱わなければならない5点( 1.基本データと歴史的背景 2.事例のどんな点について積極的に評価しているのか 3.国内外の他の同様の事例と比較して何が特筆されるのか 4.今後の展望について 5.まとめ)を盛り込んだものになっていました。大学のレポートで最も重要なことは、課題に正確に応答することです。この点をしっかりと理解し、レポートに取り組んでおられた点が素晴らしいと思います。
また、今回私が拝読した卒業研究の多くは、様々な学術書や論文を参照して執筆されたものでした。学術的な文章を読み、それをもとにレポートを作成することもまた、重要な大学での学びだと思います。
学問に触れ、それを身につけながら卒業まで辿り着いたことを誇りに、ぜひその力をお仕事や日々の生活を通して発揮してください。
ただ、やや惜しまれる点もございました。いくつかのレポートでは、章ごとの内容が独立しており、一貫した論理的な展開が構築できていませんでした。特に、レポート全体で検討した評価点や他事例との比較の結果を踏まえずに、「今後の展望」を示しているレポートが多く見受けられました。各章を通じて段階的に議論を深め、最終的な結論や提案へと到達する構成が理想です。したがって、「今後の展望」は、事例の評価点や限界、他事例との比較から明らかになった課題や改善点に基づいて導き出していただきたいところでした。そうすると、一般論に留まらない、有効な展望を提示することができたと思います。
最後に、今回提出された卒業研究レポートの中から、とりわけ印象に残ったものをここでご紹介します。ご紹介するのは、「米軍ハウス」の保存継承活動を担う市民団体「春日ベース・ハウスの会」を扱ったレポートです。米軍ハウスとは、太平洋戦争終結から昭和47年まで、米軍基地の周辺に建設された米兵用借上げ住宅を指します。このレポートで扱われるのは、現在の福岡県春日市と大野城市にまたがる春日原住宅地区外の5マイル(約8㎞)圏内に建てられた米軍ハウスです。この米軍ハウスの保存継承を「春日ベース・ハウスの会」が担っています。このレポートは、「春日ベース・ハウスの会」が実施する「まち歩き」が、見慣れたまちの景観から、市民や子どもたちが、かつて米軍基地があった史実を探る点に大きな特徴があると指摘しています。特に、熊本県の錦町立人吉海軍航空基地史料館との比較を通して、地域の歴史や記憶は、特別な場所に行かなくても、身近な町の風景から学ぶことができるとする主張が印象に残っています。文化資産評価報告書として地域の活動を取り上げることの意義を、改めて感じさせるレポートでした。
今回の卒業研究レポートでは、今、取り組むべきだと感じさせる題材がいくつか取り上げられていました。これは、後世に残すべき文化資産評価報告書とは何か、あるいは今議論すべき題材とは何かという重要な問いに向き合っていただいた結果だと感じています。これから卒業研究に着手される皆さんは、ぜひ、文化資産評価報告書の持つ意義について、改めて検討してみてください。
以上が私からの好評となります。ご自身の成果にも成績にも満足された方、思った成績ではなく悔しい思いをされている方など、卒業研究の末に感じられることは様々だと思います。ですが、先ほど述べたように、みなさんが本学で多くのことを学んだことには変わりありません。美術館や劇場での作品鑑賞、目の前に広がる風景、日々耳にするニュース、友人とのちょっとした会話に対する捉え方が大学入学前と少しでも変わっているならば、それは皆さんがたくさんのことを学び、その成果を日々に活かしている証拠です。これまで学んだことを活かし、今後ますますご活躍されることを心から祈っております。
