ゴンド・アート ~語る民族が見いだした新たな伝承の形~

山口 幸代

はじめに
インドには700以上の指定部族が存在し(1)、その多くに伝承される民族特有の工芸、美術がある。しかし、近年ではインドの西洋化による価値観の変化、近代化による安価な機械生産製品の進出が影響し、衰退・消滅する民族工芸、美術がいくつもある(2)。本稿では、そのような状況下でも、発展を続ける民族画「ゴンド・アート」を評価し、ゴンド・アートが貢献する民族の伝統継承について考察する。なお、考察対象作品は4名の画家(3)のものを中心としている。

1.基本データと歴史的背景
1-1. ゴンド・アートとは
インド中央部にあるマディヤ・プラデシュ州に住むゴンド族の下位集団であるパルダーン族(以下、パルダーン)(4)(資料1)に継承される民族画で(5)、ジャンガル・シン・シャム(Jangarh Singh Shyam, 1960-2001)(6)が1980年代以降に確立した。ジャンガル・カラム(7)とも呼ばれている。パルダーンがゴンド族の神話や民話を口承伝承する吟遊詩人であったこと(8)、古くから祝事や祭りのときに床や壁を装飾して信仰と自然への敬愛を表す習慣があったこと(9)(資料2)から、ゴンド族に伝わる神話や民話の一場面、自然や伝統的生活が多く描かれる。また、モチーフを点や線などを用いた繊細なパターンデザインで埋めるところに特徴がある。白地に黒一色で描かれたものやカラフルなものがある(資料3)。

1-2. ゴンド・アートの成立
1980年代初頭に、部族芸術の調査のためインド人現代画家J.スワミナタン(Jagdish Swaminathan, 1928-1994)が派遣したチームがパルダーンの住むパタンガル村を訪れ、若き青年ジャンガルの描いた壁画を見て彼の才能を見いだした(10)。スワミナタンにマディヤ・プラデシュ州ボーパールの芸術センターに招かれたジャンガルは、初めて紙や絵の具などを使って絵を描く体験をした。そして、それまでとは違う独自のスタイルを確立していった(11)。ジャンガルが同郷の人々に自分が学んだことを教えた結果、多くのゴンド画家が生まれ「ゴンド・アート」として知られることとなった。

2.評価する点
2-1.口承伝承を視覚化
パルダーンに伝えられる神話や民話などは口承伝承であったが、ジャンガルが紙と絵の具という新しい素材に出会ったことで、初めて彼らの神と世界が視覚化された(12)。また、多くのゴンド画家が育ったことでゴンド・アートが神話や民話、伝統的生活を伝承するための記録媒体となった(資料3)。吟遊詩人としてゴンド族の神話や民話を正しく語ることのできる者が減少するなか(13)、消滅する危険性のあった民族の文化・伝統を守る道を開いたといえる。さらに、ゴンド・アートが国内外で評価されたことで(14)、民族以外の者にも広く語る術となっている。

2-2.各画家のもつ独創性
ジャンガルは、絵の描き方を教えた同郷の者に、ジャンガルの模倣を続けることを戒め、自分の個性を表現することを強く勧めた(15)。それゆえ、ゴンド・アートでは単一の表現を継承するのではなく、ジャンガルのスタイルを基盤としながらも、各画家が独自の表現、デザインをしている。特に絵の中のパターンデザインに独創性が表れており、画家のサインに匹敵するとして「シグネチャー」と呼ばれている(16)(資料4)。ジャンガルの娘であるジャパニ・シャーム・ドゥルウェイ(Japani Shyam Dhurwey,1988~)は白地に黒で描かれるのが当たり前であったものを黒地に白で描くことで、絵自体に独自性を表している(資料5)。

2-3.民族世界の生命力
都市に移住したジャンガルは彼の郷里の森ではなく、マディヤ・プラデシュ州の自然公園に生息する鹿を見てパルダーンの世界の鹿を描き出したが、この鹿は後に多くのゴンド画家が描くものとなった(17)。ゴンド画家は彼らの民族世界に自然が必須であることをよく理解しているが(18)、現在では多くの画家が都市ボーパールに移住し、村の自然から物理的に離れていている。それでも、ジャンガルのように身近に存在する自然の観察から民族の伝統的世界を描くことが可能なのである。
また、近年のゴンド・アートでは、飛行機やビルなど現代の生活に存在するものとパルダーンの世界との共存がみられる(資料6)。ゴンド画家たちは現実世界を観察し、民族世界にもとづいた神話的想像力によって絵を描いている。民族が守ってきた世界はいつでもゴンド・アートの中に存在し、たとえ周りの環境が変わったとしても、ゴンド・アートの根本は揺るがない。

3.他の事例との比較
発見を機に新しい形を形成した民族芸術という視点から、イヌイット・アートと比較し(資料7)、特筆点と課題を考察する。
3-1. 特筆点
イヌイットはカナダの極北圏に住み、パルダーンは森の中に住んでいた(19)。両民族には、都市からも一般的な消費活動からも切り離された大自然の中で育まれた独自の信仰と世界がある。また、両民族に語りの伝統があり(20)、そこから民族の芸術が生み出されていた。それをイヌイットはジェームズ・アーチボルト・ヒューストン(James Archibald Houston,1921~2005)が、パルダーンはスワミナタンが見いだし、工芸品ではなく美術品として扱った(21)。イヌイット・アートはその後もヒューストンが作品の種類、デザイン、販路など、あらゆる面で指導し、国家政府機関も協力して発展させた(22)。他方、イヌイット・アートの目的が現金収入であったため、市場の需要を支配する欧米ドミナント社会の嗜好に合わせた作品となり(23)、語りの伝統による表現の重要性は薄れた。ゴンド・アートにおいても、スワミナタンがパルダーンの芸術的才能を「発見」し、紙や絵の具などの新素材を与えた時点では、二項に社会的上下関係があった。しかし、そこからは新技法を生み出したジャンガルをはじめ、パルダーンだけでゴンド・アートを発展させた。パルダーンに継承される神話、民話、伝統的生活などを絵によって語るという共通の目的が、語りの伝統をゴンド・アートの中に再生させた。このことは特筆に値する。

3-2. 課題
ゴンド・アートはジャンガルに直接絵の指導を受けた第一世代が広め、その子供たちにあたる第二世代が発展させた。しかし、次の第三世代は都市で生まれ育った者が多く、貧しかった第一世代とは違い十分な教育を受けているため、将来別の職業に就くことも考えられる。現役の画家たちは子供たちに小さい頃から絵の描き方や物語を教えているが、画家になるかは子供たちの意志に委ねるという(24)。一方で、ゴンド・アートが評価されるようになり、国内外でゴンド画家を名乗る者が急増している。その中にはパルダーンの伝統を理解せず、ただスタイルだけを模倣する者も多い(25)。今後、正当な後継者が不足する可能性がある。
イヌイット・アートでも同様に後継者問題はあるが、イヌイットの歴史や社会的背景などの教育、キュレーターになるための訓練などをする「文化産業訓練プログラム」(26)を行って、イヌイットとイヌイット・アートを守る努力がなされている。ゴンド・アートもパルダーンの伝統世界を正しく伝える機会を作り、後継者問題を解決する必要がある。

4.今後の展望
ゴンド・アートの点や線が初等教育レベルの子供のアート思考を刺激し、パターンデザインを完璧に描き、独自の物語を創作したとの報告がある(27)。日本においても、低年齢の子供たちがゴンド・アートの画集の同じページを見続けたり、ゴンド・アートを見るとペンを出して絵を描き始めたりするという(28)。学校のアート学習キットにゴンド・アートを採用すれば、子供の自由な発想と創造性を高められる。加えて、ゴンド画家が教育機関においてワークショップを行えば、子どもたちにとってゴンド・アートが身近なものとなり、ゴンド・アートの語りにも真摯に耳を傾けてくれるであろう。初等教育レベルの子供には親のサポートが必須であるため、子供の親たちにもゴンド・アートを知ってもらう機会となる。ゴンド・アートが教育機関で評価されるようになれば、ゴンド画家の活躍の場も増え、後継者を生む助けとなる可能性も考えられる。

5.まとめ
ゴンド・アートは現代の変化に惑わされて本質を変容させることなく、同じ場所に留まり続けて衰退することもなく、守るべきものは持続させながら、絵を通して民族の伝統を語ってきた。ゴンド画家たちが確信しているように(29)、ゴンド・アートは今後も新しい形を見いだしながら、パルダーンの伝統を豊かに語っていくであろう。

 

  • 81191_011_31981015_1_1_資1 インド、マディヤ・プラデシュ州の位置関係とパルダーン族の割合_page-0001 資料1 インド、マディヤ・プラデシュ州の位置関係とパルダーン族の割合(筆者作成)
    ・地図出典:Free PPT Presentations.
    https://www.freepptpresentations.com/download-free-india-map-powerpoint/(2024年1月21日最終閲覧)
    ・データ出典:Census Table|Government of India.
    https://censusindia.gov.in/census.website/data/census-tables (2024年1月21日最終閲覧)
  • 81191_011_31981015_1_2_資2 床、壁、柱、窓の装飾の例_page-0001 資料2 床、壁、柱、窓の装飾の例(筆者作成)
    (「床の装飾 ディグナ (Digna)」は2023年度夏期「演習1」のために筆者が作成したものを修正)
    ・2-①、2-②、2-③写真出典:Kodai Matsuoka and Bhajju Shyam, Origins of Art :The Gond Village of Patangarh, Chennai, Tara Books Pvt Ltd, 2019, p.154,p.155, p.159.
  • 表紙用 P1のみ(P1画像差し替え済)資3 ゴンド・アートとその物語の例
  • 資3 ゴンド・アートとその物語の例(修正版)_page-0002
  • 資3 ゴンド・アートとその物語の例(修正版)_page-0003
  • 資3 ゴンド・アートとその物語の例(修正版)_page-0004
  • 資3 ゴンド・アートとその物語の例(修正版)_page-0005
  • 資3 ゴンド・アートとその物語の例(修正版)_page-0006 資料3 ゴンド・アートとその物語の例(筆者作成)
    ・画像と物語の出典などの詳細は資料中および「資料9 図版リスト」に記載。
  • 81191_011_31981015_1_4_資4 シグネチャーの例、資料5 絵全体に表されている画家の独自性の例_page-0001
  • 81191_011_31981015_1_4_資4 シグネチャーの例、資料5 絵全体に表されている画家の独自性の例_page-0002
  • 81191_011_31981015_1_4_資4 シグネチャーの例、資料5 絵全体に表されている画家の独自性の例_page-0003 資料4 シグネチャーの例(筆者作成)
    (2023年6月22日~23日にボーパールにある各画家宅で行ったインタビューにもとづき、2023年度夏期「演習1」のために作成したものを修正)

    資料5 絵全体に表されている画家の独自性の例(筆者作成)

    ・画像の出典などの詳細は資料中および「資料9 図版リスト」に記載。
  • 81191_011_31981015_1_5_資6 パルダーンの民族世界にもとづいた現実世界の観察と表現_page-0001 資料6 パルダーンの民族世界にもとづいた現実世界の観察と表現(筆者作成)
    ・画像の出典などの詳細は資料中および「資料9 図版リスト」に記載。
  • 81191_011_31981015_1_6_資7 ゴンド・アートとイヌイット・アートの比較対象表_page-0001 資料7 ゴンド・アートとイヌイット・アートの比較対象表(参考文献にもとづき筆者作成)。
  • 81191_011_31981015_1_7_資8 ゴンド画家へのインタビュー_page-0001
  • 81191_011_31981015_1_7_資8 ゴンド画家へのインタビュー_page-0002
  • 81191_011_31981015_1_7_資8 ゴンド画家へのインタビュー_page-0003
  • 81191_011_31981015_1_7_資8 ゴンド画家へのインタビュー_page-0004 資料8 画家へのインタビュー(2023年6月22日~23日にボーパールにある各画家宅で行った画家へのインタビューから必要部分を抜粋、筆者編集。一部、2023年度夏期「演習1」で使用したものと重複)
  • 81191_011_31981015_1_8_資9 図版リスト_page-0001 資料9 図版リスト(筆者作成)

参考文献


(1)”ST in India as Revealed in Census 2011; Scheduled Tribes in India”, p.3, Ministry of Tribal Affairs, Government of India.
https://tribal.nic.in/Statistics.aspx (2024年1月21日最終閲覧)

(2)”9 Indian Art Forms That Could Disappear Forever If They're Not Saved”, Ed. Surabhi Nijhawan, May.24.2017, India Times.
https://www.indiatimes.com/culture/who-we-are/9-indian-art-forms-that-could-disappear-forever-if-they-re-not-saved-250533.html (2024年1月21日最終閲覧)

(3) 4名の画家とはガリバ・シン・テカム(Gariba Singh Tekam)、ジャパニ・シャーム・ドゥルウェイ(Japani Shyam Dhurwey)、チョティ・テカム(Choti Tekam)、ラジェンドラ・クマール・シャーム(Rajendra Kumar Shyam)であり、2023年6月22~23日にボーパールで筆者が実際に会って作品を見せてもらい、インタビューを行い、2023年12月に絵の物語の聴き取りを行った。なお、同姓の画家が多いため、本稿では画家の名前を初出時以外はファーストネームで表記する。

(4)「パルダーン」(Pardhan)と「プラダーン」(Pradhan)の両表記が存在するが、ゴンド画家たちがインタビュー(資料8参照)において「パルダーン」と発音していたため、本稿では「パルダーン」に統一する。また、2011年のインド政府の国勢調査では、ゴンド族とパルダーン族は別の部族として数えられているが(資料1参照)、先行研究の多くがパルダーンをゴンド族に含めているため、本稿でもパルダーンをゴンド族の下位集団とした。

(5)ゴンド族はマディヤ・プラデシュ州、マハラシュトラ州東部、チャッティースガル州、アンドラ・プラデシュ州北部、オディシャ州西部と広範囲に存在するが、ゴンド・アートの画家はマディヤ・プラデシュ州ディンドリ地区パタンガル村とその近隣の村出身のパルダーンである。
・Soubhagya Ranjan Padhi and Manash Pratim Goswami, “Tribal Folklore to Aesthetic and Religious Painting: Transition of Oral Narratives to Visual Art”, Journal of Religion and Health, Springer Science+Business Media, LLC, part of Springer Nature, 2020, ‘Introduction’.
・Janvi Rakhe, Rambabu Muppidi and Anoop Singh Rana, “Gond Art a Traditional Artwork of Gond Community of Central India”, Rambabu Muppidi and Anoop Singh Rana,eds., Study on Fashion Accessories Design: Sustainability Art, Craft, and Design, Vol.1, Tamilnadu: Scieng Publications, 2022, p.22.
・Jyotindra Jain, Jangarh Singh Shyam: A Conjuror’s Archive, Bangalore: The Museum of Art & Photography(MAP), 2018, p.15.

(6)ジャンガルの娘であるジャパニ・シャーム・ドゥルウェイによると、ジャンガルの生年月日は1960年6月12日である。

(7) “The Gond or Koiture Cultural Roots”, Indira Gandhi National Centre for the Arts, Ministry of Culture, Government of India.
https://ignca.gov.in/divisionss/janapada-sampada/tribal-art-culture/adivasi-art-culture/the-gond-or-koiture-cultural-roots/  (2024年1月21日最終閲覧)

(8) ・Soubhagya Ranjan Padhi and Manash Pratim Goswami, op.cit., ‘Introduction’.
・Jyotindra Jain, op.cit., p.66.
・Kodai Matsuoka and Bhajju Shyam, Origins of Art :The Gond Village of Patangarh, Chennai: Tara Books Pvt Ltd, 2019, p.180.

(9) ・Janvi Rakhe, Rambabu Muppidi and Anoop Singh Rana, op.cit., p.23.
・Archana Rani and Apeksha Choudary, “Contemporary Landscape in Traditional Gond Art”, International Journal of Research -GRANTHAALAYAH, Vol.9 (1), 2021, p.170.
幾何学模様の床の装飾はディグナと呼ばれ、ゴンド画家たちにも馴染み深い(資料8、Q7参照)。

(10) 1980年代初頭、マディヤ・プラデシュ州の州都ボーパールに設立された芸術センター、バーラト・バワンから派遣されたJ.スワミナタンのチームは、インド農村部の民族・部族社会の創造的な表現を引き出すという使命のもと、農村部を訪れていた。
・Soubhagya Ranjan Padhi and Manash Pratim Goswami, op.cit., ‘Introduction’.
・Kodai Matsuoka and Bhajju Shyam, op.cit., p.193.
・Archana Rani, “The Gond Painting of Prominent Artists (A exploratory Study of Jangarh Singh Shyam, Ram Singh Urveti)”, H.Agarwal,ed., Journal of Commerce and Trade, Vol.14(2), 2019, p.42.

(11) ・Kodai Matsuoka and Bhajju Shyam, op.cit., pp.193-197.
・Ankita Singh Rao, “Tribal Painting ’Gond’ Expressing the Essence of Indian Heritage”, International Journal of Applied Home Science, Vol.5(5-9), 2018, p.974.

(12) ・Kodai Matsuoka and Bhajju Shyam, op.cit., p.193, p.197.
・Jyotindra Jain, op.cit., p.27.

(13) Kodai Matsuoka and Bhajju Shyam, op.cit., pp.180-181.

(14) ジャンガルは1986年にマディヤ・プラデシュ州政府より民間人最高位の賞であるシカール・サマン(Shikhar Samman)を授与された。1989年にはパリのポンピドゥーセンターで開催された「大地の魔術師たち」(Magiciens de la Terre)展に出品した。
・Archana Rani, op.cit., p.42.
ジャンガルの評判は高まり、彼の絵は彼の死後高騰し、2010年、ニューヨークのサザビーズで1枚31,000ドルで落札された。
・Jyotindra Jain, op.cit., p.122.
・“Jangarh Singh Shyam 'Spider'”, Sotheby’s.
https://www.sothebys.com/en/search?query=Jangarh%20Singh%20Shyam%20%27Spider%27&tab=objects (2024年1月21日最終閲覧)

インドの民間人に与えられる最高栄誉勲章の一つであるパドマシュリ賞(Padma Shri Awards)を2018年にバッジュ・シャーム(Bhajju Shyam)が、2022年にドゥルガ・バーイ(Durga bai)が受賞した。
・Janvi Rakhe, Rambabu Muppidi and Anoop Singh Rana, op.cit., p.23.
・Artists, "Bhajju Shyam(バッジュ・シャーム)", "Durga Bai(ドゥルガ・バーイ)", Touch the GOND.
https://gondart-india.com/artists/ (2024年1月21日最終閲覧)

バッジュは2023年8月に京都の東寺で、同年11~12月に鎌倉の東慶寺で展示会を行った。
・バッジュ・シャーム・キョウト。
https://bhajju-shyam.jp/ (2024年1月21日最終閲覧)

その他、多くのゴンド画家がさまざまな賞を受賞し、世界各地で展示会を行い、海外からの作品の注文も多数受けている。ゴンド・アートは世界のアートコミュニティから大きな関心が寄せられている。
・Janvi Rakhe, Rambabu Muppidi and Anoop Singh Rana, op.cit., p.23.
・Archana Rani, op.cit., p.42,p.43,p.45.

(15)・ Jyotindra Jain, op.cit., p.132.
・Kodai Matsuoka and Bhajju Shyam, op.cit., p.197.

(16) ・Ankita Singh Rao, op.cit., pp.973-974.
・Janvi Rakhe, Rambabu Muppidi and Anoop Singh Rana, op.cit., p.24.
・Archana Rani, op.cit., p.43.

(17) Jyotindra Jain, op.cit., pp.71-73.

(18)資料8、Q8参照。

(19)・ Soubhagya Ranjan Padhi and Manash Pratim Goswami, op.cit., ’Introduction’.
・ Archana Rani and Apeksha Choudary, op.cit., p.170.

(20)「イヌイットの間では、日々の狩猟や漁労の後に、その日にあったことを語り合う習慣が根づいており、日常的な出来事をことばで語り合う伝統があった。」
・大村敬一「イヌイットアート:イメージをめぐる交渉と実験の場」、齋藤玲子編『カナダ先住民芸術の歴史的展開と現代的課題』、国立民族学博物館調査報告 巻131、2015年、p.130。

(21)・Jyotindra Jain, op.cit., p.16.
・大村敬一、前掲論文、p.138。
・小林正佳「ジェームズ・ヒューストンと「ヌイット美術」の出発」、齋藤玲子編『カナダ先住民芸術の歴史的展開と現代的課題』、国立民族学博物館調査報告 巻131、2015年、p.105。

(22)特に版画は、それまでイヌイットになかったものをヒューストンが導入し、1957年にパフィン島ケープドーセットで始めた。ヒューストンは1958年10月から翌年1月まで日本で日本の版画制作を学んでおり、イヌイット版画にその影響を見ることができる。
・大村敬一、前掲論文、pp.137-142。
・小林正佳、前掲論文、pp.114-117。
・“History”, An Online Exhibition of Inuit Prints from Cape Dorcet, Canadian Museum of History.
https://www.historymuseum.ca/capedorsetprints/history/1950s.php (2024年1月21日最終閲覧)

(23)・大村敬一、前掲論文、pp.144-145。
・小林正佳「イヌイット美術の「イヌイットらしさ」」、齋藤玲子編『カナダ先住民芸術の歴史的展開と現代的課題』、国立民族学博物館調査報告 巻131、2015年、pp.325-329。

(24)資料8、Q15参照。

(25)資料8、【画家へのインタビュー(1)】Q12, Q14、【画家へのインタビュー(2)】Q14参照。

(26)大村敬一、前掲論文、pp.149-151。

(27) Rinki Sambhani and Saurabh Tewari, “Dots and Lines: Indian Folk and Tribal Art Inspired Activities for Kids”, A.Chakrabarti et al.eds., Design for Tomorrow—Volume.1, Smart Innovation, Systems and Technologies 221, Vol.1, Springer Nature Singapore Pte Ltd, 2021.
この論文中に、ゴンド・アートを用いたワークショップで、子供がブラシを使用して点やさまざまなパターンデザインを完璧に描き、アートを主観的なものにしたこと(p.710)、および以下2点が報告されており、ゴンド・アートが子供のアート思考を刺激することが示されている。
1.ゴンド・アートの特徴である物語を語ること、対照的な色彩、2次元の図形、流動的なアウトライン、全体に施されたパターンは、子供たちにとって制限がなく、想像力が自由に広がる世界への入り口である(pp.704-705)。
2.ゴンド・アートには物語を語るという本質的な側面があり、多くの場合、作品は民話や民族の習慣にもとづいている。同一の物語をさまざまな画家がそれぞれの解釈と表現で描くことも多々ある。ワークショップで子供たちにゴンド・アートを見て自分の物語を書かせてみたところ、その反応は素晴らしく、子供たちは自分の物語を作った(pp.706-710)。

(28)Touch the GOND(参考ウェブサイト参照)代表の川村華織氏が行っているゴンド・アート展示会に訪れた母親たちから聞いた話による。また、川村氏の知人のお孫さんはゴンド・アートの画集を見ると、自然に絵を描きたくなり、独自の物語も作っているという。子供たちの年齢は4~11歳くらいまでであり、ゴンド・アートが国籍を問わず初等教育レベルの子供のアート思考を刺激することがわかる。

(29)資料8、Q16参照。

参考文献:
・Jyotindra Jain, Jangarh Singh Shyam: A Conjuror’s Archive, Bangalore: The Museum of Art & Photography(MAP), 2018.
・Kodai Matsuoka and Bhajju Shyam, Origins of Art :The Gond Village of Patangarh, Chennai: Tara Books Pvt Ltd, 2019.
・Touch the GOND編『ゴンド・アート インドの民族画』株式会社河出書房新社、2021年。

参考論文:
・Soubhagya Ranjan Padhi and Manash Pratim Goswami, “Tribal Folklore to Aesthetic and Religious Painting: Transition of Oral Narratives to Visual Art”, Journal of Religion and Health, Springer Science+Business Media, LLC, part of Springer Nature, 2020.
https://doi.org/10.1007/s10943-020-01099-0 (Google ScholarでPDF閲覧:2024年1月21日最終閲覧)
・Janvi Rakhe, Rambabu Muppidi and Anoop Singh Rana, “Gond Art a Traditional Artwork of Gond Community of Central India”, Rambabu Muppidi and Anoop Singh Rana,eds., Study on Fashion Accessories Design: Sustainability Art, Craft, and Design, Vol.1, pp.22-31, Tamilnadu: Scieng Publications, 2022.
https://www.researchgate.net/publication/369327629_STUDY_ON_FASHION_ACCESSORIES_DESIGN_SUSTAINABILITY_ART_CRAFT_AND_DESIGN (2024年1月21日最終閲覧)
・Archana Rani and Apeksha Choudary, “Contemporary Landscape in Traditional Gond Art”, International Journal of Research -GRANTHAALAYAH, Vol.9 (1), pp.169-175, 2021.
https://www.granthaalayahpublication.org/journals/granthaalayah/article/view/IJRG21_A01_5044/3045 (2024年1月21日最終閲覧)
・Archana Rani, “The Gond Painting of Prominent Artists (A exploratory Study of Jangarh Singh Shyam, Ram Singh Urveti)”, H.Agarwal,ed., Journal of Commerce and Trade, Vol.14(2), pp.41-47, 2019.
https://doi.org/10.26703/ JCT.v14i2-6. (サイト不明のため、2023年9月30日にDr.Archanaより直接入手)
・Ankita Singh Rao, “Tribal Painting ’Gond’ Expressing the Essence of Indian Heritage”, International Journal of Applied Home Science, Vol.5(5~9), pp.973-977, 2018.
https://www.researchgate.net/publication/337211020_tribal_painting_Gond (2024年1月21日最終閲覧)
・Rinki Sambhani and Saurabh Tewari, “Dots and Lines: Indian Folk and Tribal Art Inspired Activities for Kids”, A.Chakrabarti et al.eds., Design for Tomorrow—Volume.1, Smart Innovation, Systems and Technologies 221, Vol.1, pp.701-713, Springer Nature Singapore Pte Ltd, 2021.
https://doi.org/10.1007/978-981-16-0041-8_58 (2023年11月15日閲覧・PDF購入)
・大村敬一「イヌイットアート:イメージをめぐる交渉と実験の場」、齋藤玲子編『カナダ先住民芸術の歴史的展開と現代的課題』、国立民族学博物館調査報告 巻131(pp.125-164)、2015年。
https://doi.org/10.15021/00006005 (2024年1月21日最終閲覧)
・小林正佳「ジェームズ・ヒューストンと「イヌイット美術」の出発」、齋藤玲子編『カナダ先住民芸術の歴史的展開と現代的課題』、国立民族学博物館調査報告 巻131(pp.103-124)、2015年。
https://doi.org/10.15021/00006004 (2024年1月21最終閲覧)
・小林正佳「イヌイット美術の「イヌイットらしさ」」、齋藤玲子編『カナダ先住民芸術の歴史的展開と現代的課題』、国立民族学博物館調査報告 巻131(pp.319-342)、2015年。
https://doi.org/10.15021/00006014 (2024年1月21日最終閲覧)

参考ウェブサイト:
・"About us", Touch the GOND.
https://gondart-india.com/about_us/ (2024年1月21日最終閲覧)

引用:
・山口幸代「設問2」および「設問3」、芸術教養研究1、2023年度春期。
・山口幸代「~「シグネチャー」が導くゴンド・アートの真のルーツ~」、芸術教養演習1、2023年度夏期。

取材協力:
・ゴンド画家
ガリバ・シン・テカム、ジャパニ・シャーム・ドゥルウェイ、チョティ・テカム、ラジェンドラ・クマール・シャーム
・ガイド兼通訳
アジェイ・シン・チョーハン(Ajay Singh Chowhan)
・情報提供
Touch the GOND代表 川村華織氏

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