野村 朋弘(准教授:主任)2022年9月卒業時の講評

年月 2022年10月
2022年度秋期にご卒業される皆様、お疲れ様でした。
今期、卒業研究の提出は83件ありました。昨年度に比べても多くの卒業生を送り出すことになりました。ご卒業おめでとうございます。謹んで言祝ぎ申し上げます。

芸術教養学科では、卒業研究の成果物として地域の文化資産を調査しまとめることが求められています。多くの方がご自身に関わる地域の題材を選び考察されたのではないでしょうか。
関わる地域を調べることは、「今」ここにいる自分がどこから来たのか。そのたどった道のりを知ることにもつながります。
地域の年中行事、祭礼、建築物、コミュニテイと取り上げる題材は様々です。
何か賞を取ったとか、文化財指定をされているといった明確な尺度がない文化遺産も数多あります。その題材の価値をどのように捉えるのか。またどのように比較考察するのか。そうした思索は、芸術教養学科の学科専門教育科目の中で培われていたと思います。
卒業研究は大学での学びの集大成といわれる由縁はそこにあります。
芸術教養学科で培った、学びの眼線を大切にしていってください。

卒業研究をご提出された後、様々な思いが去来しているかも知れません。
精一杯やりきったと思われる方、提出された後に「ああ書けばよかった」と思われる方、「とりあえず合格して卒業できればよい」とほっとしている方、様々かと思います。
何はともあれ、卒業研究を期限を守って提出したということは、重要なことです。
特に通信教育課程の場合、お仕事やご家庭と様々なご事情がある中での学修をされている方も多くいらっしゃいます。そうした中で、数多くのテキストや文献と格闘し、レポートを数多くまとめ、最後の卒業研究をなしとげた皆さんは成績の善し悪しは別としてまずはご自身を褒めてあげてください。

そして83件の卒業研究を読み、それぞれの視点に感心しつつ一研究者としても学ばせていただきました。ありがとうございました。
ただし、私が担当した卒業研究については、些か厳しめな講評を寄せさせていただきました。それは真摯に学ばれた皆さんに対し、こちらも真摯に研究者として相対して採点・講評をしようと思ったからです。個別の講評が皆さんの後の学びの指針となれば幸いです。

最後に毎年書いていることではありますが、卒業をされたあとも新たな「知」との出会いを愉しんでください。卒業生の皆さんのこれからのご活躍を祈念しております。

野村朋弘拝